「いやー、あれダメっス、どうにもならないっスね」
そうつぶやきながら、カイルは管理層への梯子を降りる。そう、当然のことであるが結局カイルはカレンが張った不思議テントの概念障壁を打ち破れなかったのである。
「くっ~っ、この体オークでお預けとかマジ地獄、なんというか出したいけど出っぱなしとか、マジこの種族絶倫すぎんだろ、常識的に考えてッス……」
股間から常時ガマン汁がたれ続けるという非情にシュールな状況でとぼとぼとかイルは管理層の通路を歩き続ける。
「あー、でもどうしよう、抜け駆けとかしてマスター怒ってるッスよねー……」
そろりと曲がり角から顔を出しながら、カイルは自分たちのベースキャンプを覗いてみた。そこで、彼はベースキャンプに明かりが付いていることに気づく。
――徹マスターも管理層に戻っている?
カイルの頭の中で、そんな思考がぽん、と浮かんだ。
(まさか、マスターも泣き寝入り!? うっひょ~、コレは渡りに船ッス、棚からぼた餅ッス!! もはや、マスターと自分はお預け食らった運命共同体!! さっさと抜け駆けのことなんてすっぱり水に流して共同戦線いくッスよ~~~~~~~~)
そう、頭の中で呟き、カイルはベースキャンプへと疾走する。
「ちょ、徹様、あれ、ッべーっすよ、めっちゃやべーっすよ、あいつら不思議テントなんて反則アイテム持ち込んでやがりまして、うへへ、それで一番槍の自分が報告に来たッスよ!!」
そして、がらり、と扉を開け、
「――ここは、やはり御大将の徹様自らがあのクソ忌々しい結界魔法をちょちょいのちょいと無効化して頂いた上でですね、ゲヘゲヘ、あの小生意気な巨乳娘をですね、ええいとする案はいかがかと――!! 不肖徹様の忠実にして一番の下僕、このカイルめが状況を報告するでありま――」
「――あんっ、あんっあんっ、徹様ぁっ、そんな、そんなボクのおっぱいばかり吸っちゃだめぇっ!! ――あんっ」
「ん~? 何言ってるのアルテちゃん、ほら、カレンちゃんのおっぱいもこうしていっぱい吸ってあげるんでしょ? だったらほら、しっかり覚えないと。いい? ――ほら、まずはこう咥えて――」
そう徹がはむ、とアルテと呼ばれた美少女の控えめなおっぱいを掴み、そしてぴんぴんに勃起した乳首を口に含む。
「ふああん」
と、それを呆けた顔で受け入れる彼女の股間には、淫らな木型がずっぷりとささり、ぶいんぶいんと音を立てて動いているのであった。
「――なんじゃあぁこりゃああああああああああああああああああああああああッス!!」
そんなカイルの血の叫びは二人には届かない。徹はアルテの乳首を楽しそうに弄び、アルテはその快楽に蕩けていた。
そこでカイルの陰茎の血管がぶちん、と切れ、彼は胸に手をあてその場に跪く。
「ぐはああああ、なんだか胸痛いっす、不意打ち過ぎてトラウマ復活ッス。誰だか知んないけど、またもやマスターに誰かの大切な人が寝取られてるッスーーー!! あーもうこれ、絶対しー姉の時と一緒だコレ。今度のいたいけな犠牲者君は何処っスか。――何たる悪趣味。これ、やられる方にとってはたまんねーッス、人生感変わるッス。あーもー、切ねぇし、ガマン汁とまんねーし、ちょっともう、自分苦悩と快楽の間でまた新しい何かに目覚めちゃいそうな気がしちゃって、もうチンコギンギンなんすけどコレ。――てかどういう事ッスかマスター!! 自分にナイショで別ターゲット用意してるなんてずるいッス!! 横暴ッス!! 下僕として失望ッス。 ――あ、言い訳はいいんでとりあえずそのショートカットの美少女ちゃんとの情事に自分も混ぜるっス~~~!!」
と、カイルが独自の思考変換で、ぴょーんと徹とアルテの濡れ場に飛び込んできた時である。
【支配者要求:進入禁止(ルーラーリクエスト)>カイル】
と、徹のマスターロッドによる概念障壁の属性変更が行われる。
――べこん、という衝突音と共に、緑の塊がずるると見えない壁に沿って落ちていく。
【支配者要求:変体解除(ルーラーリクエスト)>カイル】
さらに、徹の属性変更要求。がカイルにかけられる。徹に体をまさぐられ、虚ろな目でその状況を見るアルテの前に、記憶変体を解除されてぶっ倒れている素っ裸のカイルが現れた。
「んあっ、――すごい、んっ……、ホントにカイルだ、――誰でも変身できるんだね……あんっ」
「まだ信じてなかったの? んふふ、まあそういうアルテちゃんの現実的なところも嫌いじゃないなあ俺は!!」
そう言って徹はアルテの股間に刺さるバイブをちゅぷちゅぷと小刻みに前後にゆする。
「――ふああああん!!」
すると、アルテは本日何度目か分からない絶頂を再び迎えるのであった。
「そ、その声、ま、まさか、――いやでも!! アルッスか、アルッスか、この子!!」
そして、概念障壁に頭から突っ込んだダメージなど何のその。カイルは、アルテの絶頂の声を聞いた途端にガバっと起き上がり、食入いるように障壁にべったりと顔をつける。
「ふおおおおおっ、前からちょっと女っぽいとが思ってたけど、マジ女ッスか、――こりゃたまらんわーッス、カレンは知ってるんスこれ。――ととと、とにかくマスター、自分友達が実は女だったとかいう未体験シチュエーションに、かつて無いほど興奮してるッス、今なら、アルをオカズにご飯五、六杯いけるッス、さあ、今こそ夢のサンドイッチッスよ!! そこの生意気僕っ娘ショートのちびっこを前から後ろからガンガン責めてやるッスよぉおおおおおおおおおおおお!!」
というカイルの魂の叫びは、
「えー……、だってお前抜け駆けしたじゃん。あとアルテちゃんはもう俺の便器だし」
と徹に冷たく却下されるのであった。
「うーん……、ボクもカイルにいいようにされるのはちょっとヤかな……、でも前と後ろでサンドイッチってのは興味あるかも」
そんなアルテの言葉に
「うっひょ~~~~~~~、さすがアル、わかってるッスね!! おませな顔して超淫乱ッス、ほら、この自分のチンコを見るッス、これで可愛がってやるッスよ~~~!!」
と、フリフリ腰をふるカイルを見て
「あー、でもカイル、そういえばキミ、ボクとカレンを嵌めたんだよね? ちょっと調子よすぎない?」
と、ジト目で睨むアルテに対して、
「――てへッス☆」
と可愛らしく舌を出したカイルは、
【支配者要求:縦穴創造(ルーラーリクエスト)>カイル】
徹の手により虚しくボッシュートされるのであった。
――ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
と落ちていくカイル。
「――ひどいっスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう」
という断末魔も再びイチャつきはじめた徹とアルテには届かない。
「――さて、めいっぱい楽しんだし、そろそろカレンちゃん食べに行こうか、アルテちゃん」
と、大きく伸びをする徹に、
「徹さま……、その、あの」
と、アルテが不安そうに体をもじもじさせながら徹に話しかける。
徹は、ああ、あのことね、と呟き。
「わかってるって、カレンちゃんの前の初めてはアルテちゃんにあげるから、――あ、でも」
いって徹はアルテの頭を両手で持ち、
「ムラムラしないように、ね? 最後に飲んで?」
徹はアルテの口へ逸物をずずっとつっこみ、そして腰をゆさゆさと前後させる。そんなイラマチオに近い前後の動きを、アルテは手を使わず、口だけでねっとりと徹の逸物に吸い付き、受け入れるのであった。
口の中で動く生温かい徹の肉棒も、
ずんずんと喉をつかれ、犯される感覚も、
ちゅぷちゅぷと唇を濡らす粘液も、
股間をかき回すバイブの痺れるような感覚も、
そして、びゅーびゅーと、口の中に広がる青臭い徹の精液も、
もはや『夢』を叶える目前のアルテにとっては、食欲を唆らせる前菜でしかなかった。
――ああ、ボクも、――カレンに!!
カレンが張った不思議テントの前に緑の塊が二つ。
歪んだ悲劇の宴の二幕は、こうして始まる。