さて、牧村真樹の寝起きはとても良い。朝夕部活に打ち込み、早寝早起き。食事は三度きっちり、好き嫌いは無いし、牛乳だってしっかりと飲む。
「あーもー……」
枕を抱え、パジャマ姿でじたじたと足を動かす。
――うん、みつひろの……かたくて……おいしい♡
「――じゃ、ないわよー!! あーもうっ、なんで私あんなこと言っちゃったんだか……、そりゃぁ、凄かったけど……」
自らの口をぬちぬちと、犯した武智の肉棒。牧村の意識はしっかりとその感触と味を覚えていた。イかされた直後で朦朧としていたとはいえ、口の中に出されて、たっぷりと飲まされた。鼻につく生臭い匂いと、気持ちが悪い喉越し、そして……やさしく、ねっとりと股間をかき混ぜる武智の指の甘い刺激。ちゅうちゅうと無意識に尿道の中まで吸いだすと、武智にご褒美に弄られて硬く凝った自分の乳首から甘い快感が伝わってきた。
「――あーもー、卑怯だよ、あんなの……」
そんな感じで昨日の部室での痴態を思い出すと、きゅん、と牧村は自分の股間がひくつくのを自覚した。
「はぁ、今日も一緒の電車かぁ……」
牧村の言葉とは裏腹に、彼女の声色に淡い期待と予感入り交じっていたことを本人が自覚するのはまだ先の話である。
「はよー……みつひろー」
「おう、――ってなんだよ真樹。今日は朝練直行?」
いつものホームの最後尾。いつもどおりに佇む武智に、テンションの低い挨拶をしたのは牧村真樹、上下ジャージの部活モードであった。
「だってさー、日直期間倍に増えちゃったじゃん、横溝先輩キャプテンが出れるときは出ろってさー、まったくどこの光博のせいだっての」
牧村はだだ下がりのテンションと共に武智への文句を吐き出すと両手をジャージのポケットに突っ込んだまま、ていっと武智に軽く体当たりを敢行する。
「痛ッ、……お前なぁ、ジャンピングショルダータックルで肩パンとか高等テクをさり気なく使うなよ」
「あっはっはー、バレー部の跳躍力なめんなよー?」
そんな感じで武智と牧村はいつもどおりの親友の会話を続ける。当然いつもどおりに電車がきて、いつもの場所に二人は陣取る
――ぎぃっと、どこかで、音がした。
武智も、牧村も、いやこの世に生きる一般的な存在はその音を聞き取ることができないが、それを認識できる何かはその音をこう評した。
『ああ、まるで何かを捻ねじるような音だね』
と。
通勤電車の角の角。人の流れの影響が受けにくいコーナーに武智が覆いかぶされば、牧村の居場所はプライベートゾーンである。当然牧村は嫌でも思い出す。胸を弄ばれたあの時と、部室で咥えさせられたその時を。
「――あ、あのさぁ、光博……」
「ん?」
多少不自然な声を上げて、牧村は先手をとる。彼女の心中に浮かぶのは昨日の情事のことだ。――やはり自分たちは間違っている。牧村はそう思った。確かに武智との行為は気持ちがよかった。中田と比べたら格が違うといってもいい。だけど牧村は、その快感に流されてしまうのはすこし違うと思ったのだ。それは中田浩二に対する後ろめたさからくるものではなく。牧村真樹という快活な少女の性格からきた、実にさわやかな快楽との決別の決意であった。
――やめとこ、ね?
と、機先を制し、牧村は武智の手を抑え、満面の笑みで彼の行為を遮る。
――それが彼女にできていたら、もしかしたら牧村真樹の未来は変わっていたかもしれない。
そもそも、今日の服装が上下ジャージというのが牧村にとっての不運である。スカートを履いていないという事実が、彼女の下半身に対するガードを結果的に弛めてしまった。
彼女が拒絶の一言を発するその前に、既に武智の指が牧村の股間を弄まさぐっていた。武智の中指と薬指が牧村の割れ目を服の上からゆっくりとこね上げる。腰元からせり上がってくる快感の予感に負けまいと、牧村が抗議の視線をキッ向けた時、武智の指先が牧村のクリトリスを布越しに捉えた。モゾモゾとねちっこく撫でられ少しだけ牧村の腰が跳ねる。――それだけで、牧村の顔から勝ち気な表情が崩れてしまう。
「――んっ」
と、小さく漏れた吐息は牧村の意志に反するものだ。体が部室での行為の快感を思い出す。べとべとにされたクリトリスが武智の熱い舌と唇で吸引される快感、厚ぼったい舌肉に押しつぶされ腹の奥から愛液を溢れ出させたあの快感。クリの根元丹念に舌先でなぞられ、硬くシコった肉芽をじれったくちゅぽちゅぽとしゃぶられたあの快感。
そんな、どうしようもならないような期待感が、武智の指が股間で蠢く度に牧村の意志と裏腹に下半身で膨らんでは背筋を這い上がってくる。
内股に膝を閉じてる癖に、股は開いてしまう。
腕を突っ張っている癖に、指は武智の服を掴んでいる。
顔は拒んでいる癖に、口元は緩んでいる。
「あん――っ」
じゅん、と体の奥から染み出てくるようなむず痒い感覚が確かなものになる。味わったのは昨日の部室だ。クリ責めで盛大に股間から潮を吹いたあの感覚。ジャージの上からなので、まだ彼女に余裕はあるが、牧村は頭のなかでハッキリと自覚していた。この快楽に身を任せていたら、きっと牧村の愛液は、下着はもちろん短パンをも軽々突破し、ジャージの股間に言い訳のできないほどの恥ずかしい染みを広げてしまうだろう。
「……だめ……やだッ、――みつひろ……あ……あっ」
せめてもの快感を抑えようと、牧村は太ももを内側にくねらせるが、返って武智の指から伝わる感覚が伝わってしまい、ぴくん、と体が跳ねる。
「……ちょ、ちょっとたんま、みつひろ。お願いだからぁ……あっ……あっあっ♡」
牧村の下着の中でクチクチと粘膜が擦れ合いだす。指だけでなく、割れ目がほぐれて滑りだす。指との接点だけならず、牧村の柔肉自体が擦り合わされて、快感が増幅されていく。背筋をせり上がる気持ちい感覚が、牧村の頭の中に一気に流れ込んでしまい、理性のコントロールが効かなくなり、とうとうこの快感と理性の両天秤が快感に傾き始めてしまう。
くちゅくちゅきもちい、と牧村の下半身が緩みだす。これに屈したらもう戻れなくなる、と、牧村の理性が押し返が武智の指は止まらないのだ。
武智の指がこすこす、こしゅこしゅと、牧村の股間がこね回す度に、牧村の割れ目がくにゅくにゅ、くちくちと、囀る。
「ぁ……、あぅ……、あぅ……、ぁぁ……♡」
と、牧村の口から吐息が漏れ出す。気持ちよさはどんどん湧いてきてそのくせ理性はどんどん蕩けていく。そんな彼女の脳内に、トドメを刺すかのように新たな快感が追加される。
彼女のたわわな胸。股間の快感と連動して、ジャージ越しに自己主張を始めた牧村の乳首が、こしょこしょと撫でられる。
「ふぁ――」
甘い声とともに牧村の体が気持ちがよいと捩れる。きゅっと腰が惹かれて、ぴくんと肩が震える。それを皮切りに牧村の乳首がどんどん勃起を始めて快感を求めて衣服に擦れだす。
武智の指が立てられて、牧村の胸の先っちょをくりくりしながら、ずぶずぶと沈み込ませてくる。牧村はこの後に来るであろう快感に、口の中に溜まった唾液をごくん、と飲み込み――、
――手近にあった武智の太ももをぎゅうっと抓りあげた。
「――いたっ。――いたた、……なんだよ真樹」
そんな武智に、牧村はむぅっと下から睨みつける。口を尖らせて、武智にジト目を向ける牧村。何をしてくれているんだと訴える表情の牧村に対して、武智は、首をかしげる。――そして、ああ、と何か思い当たったような顔して、
「あ、わりぃ。もしかして気乗りじゃなかった?」
そんなことを宣ったのだ。
牧村は武智をきっと睨む。気乗りとかそういうことではないと、牧村は心のなかで叫ぶ。
もう、その気になってしまった。
牧村の2つの乳首が朝練用にしてきたスポーツブラの中で刺激を求めてウズウズしている。コリコリに育ったクリトリスは今も感度は収まらず、股間からはとろとろと愛液が滴り落ちている。こうなってしまってはたまらない。どうしようもなく、たまらないのだ。
特快最後の停車駅が開き、車両の中が乗客で満たされる。押しに押され、武智と牧村の距離が更に縮まる。そして重なる吐息の中、牧村真樹は車両の角に体を預けながら、潤んだ瞳で武智を見つめた。
牧村の手がゆっくりと彼女の体を伝いジャージの首元と移動していく。
彼女の人差し指と親指が、ファスナーを掴む。
口元は吐息で湿り、少しだけ荒い。
牧村の乾いた喉に、唾液が通り吐息が湿る。
ゆくっりと、ゆっくりと牧村のジッパーを摘んだ左手が降ろされていく。電車の走行音にかき消され、ジー、と静かに降ろされていく。緑色の指定ジャージの中から真っ白なTシャツと、たわわな彼女の胸が武智の前にさらされた。彼女は俯き下を向いたままだが、その雰囲気に拒否の色は無い。
「……こっちなら……いい」
顔を紅潮させながら、目を合わせずそう呟く牧村。
熱を持った彼女の大きな双丘が、吐息に合わせて上下していた。
――この次の行動を、今までの武智であればここから先は少し自重したかもしれない。
車両の角とはいえど、なんだかんだ言って満員電車である。胸の先を擦るくらいならともかく、おおっぴらなエロ行為は流石に周囲に気づかれる。そう判断してこれ以上の情事には及ばない。彼は負ける試合はしない男なのだ。快楽に流される弱い精神は持っていない。武智は牧村とのこの行為も、通学中における刺激の一つぐらいしか考えていなかった。所謂セフレの一種である。お互い気持ちよければいいじゃないか、と。
――武智の右手の指輪が、怪しく輝いている
武智は、――彼はなぜか今日は多分気づかれる事は無いだろうと本能的に理解した。何故か都合よく周囲のサラリーマン達が背を向けている。こちらを気に留める様子は無い。
で、あるならば。
――周囲はこちらに気づく様子が無い。
――牧村が結構ヤル気である。
(なーんか知らんが、GOな気がするね、これは)
と、武智は楽観的に心の中で呟くのであった。
牧村は後ろに手を回し居心地悪そうにモジモジとしている。ファスナーの中から現れたTシャツの白い膨らみが武智の目の前で存在をアピールしている。気の強い女の部類に入る牧村がここまでしおらしい雰囲気を出すのは、珍しい。期待が篭っているのか、たまに上目遣いでチラチラと武智を見るその視線が彼にとってはかなりぐっと来る仕草であった。
揉むかつつくか、と迷った武智の一手目は、撫でる、であった。ジャージの襟を少し開き、脇の下に手を差し入れ、乳房の横を撫でまわし、そしてそのまま手首を内側に動かし、全体を撫で撫でと擦っていく。途中で武智がかるーく指を押し込むと、牧村の胸元はふにふにと、柔らかく指を沈み込ませていった。
「……ん…………んぅ」
心地よさそうな吐息を牧村が吐く。そんな彼女をみて武智はいいことを思いついたと、牧村の耳元でこそこそと、囁いた。
「え……?」
その、提案を聞いた牧村は、一瞬拒否の表情をするが、武智が胸の近くで人差し指を立ててくにくにと指先を動かすのを見ると、諦めたように頷いた。
――真樹、乳首の場所教えて?
そう、武智は牧村の耳元に囁いていた。
牧村の顔が真っ赤に染まる。電車の中で股間を湿らせて乳首を勃たせているだけでも卒倒ものなのに、おねだりをしろと来たのだ。だが、なんでそんなことをという感情よりも、羞恥と快感を牧村は選んでしまう。
牧村の左手が武智の右手首を掴み、そして自分の左胸の先っぽに誘導する。部活用のスポーツブラにはパッドが入っているため乳首の形は出ないが素材は薄いため上から触られれば容易く刺激を通してしまう。
つん、と武智の指が牧村の乳首へと布越しにあたる。
「よしよし、ごほーびだぜ?」
と、武智はわしゃわしゃと三本の指で先端を軽く掻いた。
「……あっ――あっ――あっ……」
胸の先端を武智の指が擦る度に牧村の背中に刺激がゾクゾクと駆け上がる。柔らかい肉の先端で圧迫されている突起が、あっというまにシコリ固まった。
「あ……ふ……ぁ♡」
甘美な感覚が、牧村の右胸から新たに発生する。ちょんちょん、と武智の人差し指が牧村の右胸を叩いている。武智の意図は分かっている。だから牧村はその手に腕を添え、先程から弄って、と懇願している右の乳首へと武智の指を誘導する。
(あー、もう私なにやってるのよぉ。……もぅ……はぁ、でも、きもちいなぁ……んっ♡)
視界の下で揺れる自分の乳房に、武智の人差し指がずぶずぶと沈み込んでいくのを牧村は見た。その人差し指の先端には先程から快感の元となっている牧村の両乳首だ。まん丸いおっぱいの中心が押し込まれていやらしく形を変える。武智が人差し指を上下に揺さぶると、牧村は思わず両手で口を抑えた。体操着越しに乳首を押し込まれた牧村の胸がぶるんぶるん上下に揺らされる。揉まれるとも舐められるとも違う新しい感覚。胸の中心からずんずんと湧き上がる気持ちよさが止まらない。
(ふぁぁ……ぁぁぁぅ♡……んぁぅぅぅ♡)
武智が指を引き、ぽよん、と牧村の胸が開放される。だが同時に2つの先端をやさしく武智が撫あげたために、牧村の頭の中の安息はまだ来ない。ゾクゾクと駆け上る快感の神経伝達はまた一段階心地よいものとなって彼女の脳髄に流れ込む。
「はぁ……はぁ……はぁ♡」
そんな自分の乳首を撫でる武智の指を陶然と見守る牧村。彼女の精神は半ば蕩けさせられており、武智の指の動きに対して無防備になってしまうのも仕方がなかった。
だから、
武智の右手が牧村のTシャツの中に入り、彼女のスポーツブラに指を掛けるまで、彼女はだらんと両手を下げている事しかできなかったのだ。
くい、っと武智の右中指が、牧村の左胸のカップに下からするりと滑りこむ。牧村は慌てて武智の腕を掴むが、もう遅い。滑り込んだ指は手首を返すだけでその布地を浮かび上がらせ、そのまま上に手首をずらせば、牧村のたわわなおっぱいが外気に触れる。
「……ちょっと光博、やりすぎだって……んぅっ♡」
右と左、双方から指を滑り込ませられ、牧村のスポーツブラがまくり挙げられる。大きめのTシャツはお腹までめくれ、不自然に盛り上がった胸の部分の中では、牧村のぴん、と勃起した乳首が外気に触れて、ふるふると自己主張を初めていた。
「……光博、……怒るからね?」
牧村は両手で光博の手首を抑えながら、キッと睨む。
だが、武智はTシャツの中で、牧村の勃起乳首を親指と中指でゆっくりとつまみ。
「……だめだって……だめ……だ……め……」
きゅ、ふに、と生乳首を押したり捻ったり
「……みつ……ひろ、……やだ……やだぁ……んぅ……あぅ♡」
きゅきゅ、くにくにゃ、こりこり、こちょこちょ、ふにふに、すりすり
「…………ん♡…………ぅ♡……ばかぁ……もう……あぅぅ♡」
いつの間にか武智の両手首を掴んでいた牧村の両手が力なく垂れ下がる。生で乳首を弄られている間に、牧村の中で何かの決着が付いてしまった。悔しいけれど、恥ずかしいけれど、後ろめたいけど、気持ちがいいんだから仕方ないと。どうせ、中田先輩はあずかり知らぬことだからと。
唯一彼女の計算外は、そんな彼女の諦めたような蕩けた顔が、武智を本気にさせてしまったことである。むくむくと武智の心のペニスが勃起する。悪意の蛇が鎌首を擡げる。バツが悪いのか中田先輩に気兼ねをしているのか知らないが、ビクビク体を震わせながらも、まだ快楽に遠慮がちな牧村の表情は、武智にとって
――あー、こいつめっちゃくちゃにしてやりてー
とか思ってしまうのである。
武智の両腕が牧村の肩を掴み、くるりと彼女の体を反転させる。車両が揺れて少し角に押し付けられる牧村。少し突き出されたお尻に武智の股間がぐにゅっと密着する。武智の制服のズボンと牧村のジャージの生地越しに、武智の硬いペニスが牧村の柔らかい臀部の割れ目に押し付けられる。牧村の下半身にむず痒いような快感が生じるが、直ぐにそれは脇の下から差し入れられた武智の両手によって、意識を上書きされてしまう。
「ちょっと、みつひ――――あっ――ん――んっ♡」
もみもみ、いや、ぐにゅぐにゅ、といったほうが正確であろうか。擦る、撫でる、ひっかくといったスローな愛撫ではなく、牧村の胸が激しく武智の指に揉み込まれる。乳首は手のひらに当たり、相変わらずの快感を供給し、揺らされ、捏ねられる牧村のおっぱいが、揉まれる度に柔らかくとろけて行く。
「ん――――んっ――――んぅっ♡」
口元からこぼれる吐息に牧村は思わず周囲を見る。だがしかし、何かに魅入られたように周囲の通勤客は後ろを向いて、こちらをみてなかった。
(気付いてない、なんで――なんで? ――ひゃ♡)
Tシャツの下でぐにゅぐにゅと乳首が胸肉ごと押しつぶされる。
(ああ……やだぁ)
牧村は思う。今までこんな形に胸がなったことは無い。こんなに強く激しく揉まれたことなんてなかった。捏ねられ、引っ張られ、寄せられ、揺すられ、どこまで柔らかく武智の指によって、牧村の胸が柔らかくされていく。
(ああぁ♡ だめ……、だめぇ……♡)
掬われるように胸を持ち上げられ、乳首を親指と人差指で捏ねられると、ぞくぞくと牧村の背筋に快感が走りぬけ、そのまま左右同時に揺らされるとたぽたぽと胸同士でいやらしい音が鳴る。Tシャツと擦れあった乳首が、ぶつかる胸同士の衝撃で甘美で痺れるような重い感覚が、牧村の脳裏を揺さぶっていく。乳首を摘まれたまま、ぶるんぶるん上下に揺さぶられれば、その刺激で牧村の腰はカクカク動き、武智の股間を熱く擦り上げてしまう。また捏ねるように大きく揉み込まれると、むくむくと牧村の乳首は武智の指の間で硬くなり、快感のはけ口を求めて、服の中であちらこちらに引っ掛かりだすのだ。
「……ん……だめ……みつひろ……あ……ん♡……あっ……あっ……あっ♡」
「……真樹、ちょっと声でかい」
そんな光博の言葉に、そんなこと言ってもしょうが無いという咎めるような視線とともに振り返る牧村。
「――んふぅ」
その濡れた口元に武智の右手中指が滑りこむ。同時に武智は、牧村にぐいっと体を寄せる。彼の左手は大きく開き、牧村のTシャツの中で胸を弄ぶ。牧村の豊満な双丘をその手に余らせながら、ぐにゅぐにゅと、揉み込み、そして器用にも広げた中指と親指で両乳首をカリコリと刺激した。
一方牧村の口内に侵入した武智の指は卑猥に動く。指先で彼女の舌先を弄び、抽挿で唇を蹂躙する。牧村が頭をふり、ぬぽんと、指が一時抜けるが、彼女の唇から引かれた唾液の糸が、どうしようもなく、彼女の心を揺さぶる。再び牧村の口元に武智の指が近づいてくるが、牧村は拒めない。ぬぽ、ぬぽ、と甘んじて口内を犯される。
思い出されるのは、部室でのフェラチオ。あの口の中で広がる熱く硬い感触。牧村は知らない。にゅるにゅると、うごめく武智の指先を知らず知らず、ちろちろと舌先で追っている事を。無意識にちゅぱっちゅぱっと、軽く吸い付いていることを。それと連動して武智が牧村の乳首を捏ね回していることを。
「真樹、ご褒美あげる」
そんな武智の要望に、牧村は一瞬正気に戻るが、――彼女は武智に言われた通り、おずおずと、Tシャツを捲りその口に加える。そして、あらわになった牧村のその胸の先端を、唾液でネバネバになった武智の右手が
――ねちゃり、と撫であげた。
「――ふぁ♡」
にゅるにゅる、にゅるにゅる。粘着力に富んだ唾液がぷるぷると乳首を震わせる。乾いた状態で弄られるのとは全く異なる感覚。胸先で指が動く度にあらぬ方向に乳首が跳ね、その度に甘い感覚が響いて、彼女の精神の壁がまた一つ削られていく。
「――んっ――あっ――あっ――やぁ♡」
牧村はぴちぴちと指先で跳ねられる乳首へ視線を落としながら惚けていた。彼女の頭のなかでは、後で部室で乳首を舐めてもらおうかなぁ、などという妄想が浮かんでいたかもしれない。
だが、牧村の背筋に予期せぬ快感が走り抜ける。快感の元は自分の股間、みれば武智の左手が牧村のジャージの下、いや、短パンの中へと侵入している。
――くちゃり
そんな音が牧村の耳元に届いた気がした。
――くちゃっ、くちゃっ、くちゃっ、くちゃっ
「……ぁ……ぁっ……あっ……あっ」
――くちゃくちゃくちゃくちゃ
「……んっ……あっ……あっ……あんっ♡」
――くちゃん
と、一際大きくかき混ぜられた牧村の股間から武智の左手が抜かれる。
「……ふぁっ――はぁっ……はぁんっ♡」
突然武智に股間をかき混ぜられ、今までとは異なる直接的な快感に、肩で息をする牧村。彼女の前に糸引く武智の指がにちゃにちゃとこれみよがしに見せつけられ、牧村の左胸にまぶされていく。
「やだぁ、だめぇ……あ……は♡」
そして、Tシャツの中では、にゅるにゅると武智の両指が蠢き、彼女の両乳首と両胸を弄んでいく。牧村はもう、何も考えられなかった。胸元で這いまわる指も、じくじくとひくつく股間も、お尻にぐいぐい押し付けられている硬い感触も。全部、気持ちのいいことだからだ。
「お……願い、……みつひろ、……だめ、――だめっ……んっ……あっ♡」
電車はまだ止まらない。
牧村の体は完全に脱力し、武智にされるがままである。再び股間に手を入れられるのだけは懸命に避けてはいるが、ゆさゆさと後ろから胸を揉まれ、搾乳されるように乳首を絞られる。口元はくぐもった吐息に彩られ、時折ぬぽっ、ぬぽっと指の抽挿を受け入れさせられる。蕩けた頭は刺激を受ける度に尻の谷間で武智の股間を圧迫していることも意識できず、電車の揺れに合わせて牧村は武智にさんざん嬲られるしか無かったのである。
そこから、どうやって学校に来たのか、いや、この状況になったのか牧村は記憶が定かではなかった。気付いたらここにいた。そういう記憶しか彼女にはない。実際は腰砕けになった牧村を駅からタクシーに乗せ、そのまま体育館裏に武智が連れ込んだという顛末である。
場所は学校の体育館裏、中ではバレー部が朝練を行っている。威勢の良い掛け声と、ボールの弾む音、シューズと床が断続的に擦れる音が聞こえてくる。
「よーし、ダッシュあと3本!! いくぞっ」
特によく響くのはキャプテンである中田浩二の声だ、そう、牧村真樹の彼氏の声である。
体育館の音が筒抜けなのは窓が全開だからである。ただ、この窓、大きい出窓のようになっており、下が死角になっている。裏口はあるのだが、防犯上基本的に施錠されている。よって、武智と牧村の行為を見咎める者は、誰もいなかった。
「あっ――あっ……はぁはぁ――あぁぁぁ、だめぇぇ……♡」
武智の右手が、壁に背を預けている牧村の股間でぬくぬくと蠢く。ジャージに手を突っ込まれた武智の指が、ゆっくりと牧村の股間をこね回す度に、断続的に彼女の口から吐息が溢れだしていた。
武智の中指と薬指が、ずっぽしと、根深く牧村の腹で蠢いている。
締め付ける膣の中で、くにゃくにゃとゆるやかにバタ足をするように武智の指が前後に動く。
くちゃ、くちゃ、にちゃ、にちゃ
という淫靡な水音が牧村の耳にも当然届いている。牧村の股間がほぐされて、溶かされて、武智の手のひらでは収まらず、お漏らしのように汁を垂らしてしまっている。下着なんてもうびしょ濡れだ、短パンだって愛液まみれである。ジャージにも股間に大きな丸い染みが出来てしまった。
「光博……イッてる、またイッてるから……っ……あっあっ、お願い、指止め……て、ゆ……び、とめ……あぁぁぁぁ……うぁぁぁ♡ いっ……くぅ……っ♡」
牧村の体が反り、腰がカクカクと震える、もはや5回目となった膣の収縮が武智の指をぎゅうぎゅう締め付け、同時に熱い粘着性の愛液がブシブシと牧村の割れ目から吹き出した。
「……はぁっ……はぁっ……う……ぁ……ふぁ……ん♡…………」
大きく肩を上下させる牧村の顔を覗き込み、武智は呟く。
「どうよ、する気になった?」
「……だから部室でだったら………………――あっやっ――あっ♡」
「そっかー、今度はクリでイきたいかー、しょうがねーなー、しっかし真樹のボディはわがままだなー」
「……あっ……やぁっ、――ばかばか、なんでそうなるのよっ……んっ……はぅ♡」
「だからって外で、しかも、ここでなんて絶対イヤっ!! あぁぁぁ……もう、弄るなぁ!! あぁん♡」
「えー、だってさ、なんつーか燃えるじゃん? もちろん本気じゃなくてさ、ごっこ、ごっこでいいんだよ、真樹、な、頼むよ、友達を助けると思って!!」
武智の指がもうぐちゅぐちゅにふやけたクリトリスにゆびの腹を当ててぐにぐにとこすり上げる。直接的かつ即効的な快感が牧村の頭のなかを塗りつぶしていく。そんな彼女の耳元で――、
「――入れるぜ、嫌なら拒否しな?」
そう言って武智は牧瀬の右足を膝まで下着ごと下ろしたジャージから抜いた。そしてそのまま右足を抱え込み、イチモツを取り出して、牧村の股間にくちゅりとあてがう。
「おらー!! ダレてんなよお前らー!!」
その壁越しに聞こえる中田浩二の声に牧村の理性は最後の覚醒をした。体は抵抗を試み、片足を抱え上げて挿入しようとする武智を拒み、背を向ける。
――だが、それだけだった。
ぐちょぐちょに濡らされた股間からつーっと武智の人差し指が愛液を掬い、牧村の後ろの割れ目にぬりぬり、と塗りこまれる。
ぬりぬり、ぬりぬり、
校舎裏で、外で、股間をぐちゃぐちゃに弄られて、イかされて、下半身は丸出しで、
ぬりぬり、ぬちゃぬちゃ
壁越しに彼氏がいるのに、友達がいるのに
くちゃくちゃ、くちゅちゅちゅ
「……――はっ……はっ――ふぅ――はぁっ♡」
なんで、自ら尻を突き出しているのだろうと牧村は蕩ける頭で考える。体は動かないが牧村の思考はクリアだ。彼女は今だって何をされているかハッキリと分かる。
自分のお尻の肉は武智に掴まれてあろうことか尻穴をおもいっきり広げられている。なんで背を向けているのに分かるかといえば、時折肛門に風が当たって気持ちいからだ、尻肉を掻き分けた親指の先端でぐちゅぐちゅと弄ばれていて気持ちがいいからだ。
くちゃくちゃと水音が未だ牧村の耳に届いているのは決して尻穴のせいではない、と牧村は断言できる。彼女の肛門は「まだ」そこまで卑猥に開発はされていない。この水音はもっぱら、武智が股間の先っちょが牧村の花びらをくちゃくちゃとかき回しているからだ。
――牧村真樹の思考はクリアである。
では、なぜ彼女はこの状況を打開しないのか。
「……うっ……は♡、……んっ、……んぅ♡」
部室でしゃぶらされて、予想した。そして股間にあてがわれて初めて気付いた。
――武智の肉棒は、中田のソレよりも、圧倒的に、太く、長く、硬く、熱い。
――とても、大きい。
いれたい。――けど。
いれみたら。――でも。
いれられちゃったら。だけど――
牧村は思う。これは女の本能だと。どうしようもない期待感がせり上がってくるのだ。頭のなかの何かが、もっとと叫ぶのだ。理性も、背徳も、状況もスパイスにしかならないくらい、お腹の中が気持ちいのだ。
「――入れるぜ?」
「だめ……、みつひろ、だめぇ、あ――、……は、……あ……ふ♡」
そうでなければ、今ずぶずぶと、体の中に入ってくるこの肉棒を、牧村が壁に手を付いて、膝を踏ん張って、受け入れるはずがない。
「――あはぁっ♡」
ずぶり、武智の肉棒が牧村の股間に沈んでいく。擦られた牧村の膣壁からどんどん愛液が溢れだす。
「ばかぁ……、だめっていたのに、いれちゃだめっていったのに……あっ、あん♡」
入れられたら、戻れなくなってしまうから、案の定、中田のモノでは決して辿りつけない、箇所まで牧村の中は犯されて、中田のモノでは決して埋まらない肉の隙間は埋められて、その硬いカリが牧村の心を弄ぶように蹂躙していく。
もう、いいのだ。どーでもいいのだ。
中田のことはどうでもいいぐらいに牧村の体と心は気持ちがよくなってしまった。
ぱん、ぱん、ぱん、と小気味良い音が体育館裏に響き渡る。武智の腰と、牧村の尻が打ち合わされる音である。
「ふぁぁ……こんなの、こんなのずるい、あんっ――みつひろずるいよ、ずるいよぅ……♡」
「そんなこといってもなぁ、真樹だってエっロい腰使いしやがって、ちょー乗り気じゃん。 中田先輩に教えられたの?」
「あ♡、こんなかっこで……やるわけないじゃん、……あぁん、やだぁ、もうなんでこんなにきもちいのよぅ――」
「つまり、真樹はビッチってことだな、まーこの状況じゃしょうが無いね、うん。かわいいから、ちょっと本気出す」
そういって武智はリズミカルなピストン運動から激しく強く真樹へ腰を突きこむ。
――ぱじゅ!!、――ばじゅん!!
肌が叩かれる音と、粘液が弾ける淫靡な音。
「あっ――あぅっ――、あぅっ――あ♡――ひんっ――いやっ、――や゛ぁっ、きちゃう――、きちゃうぅ♡」
――ぱんぱんぱんぱんぱん!!
さらに激しい抽挿に、牧村の膣がぎゅうっと締まる。
「いやぁぁぁぁ、いく、いくぅっ、んぁぁぁぁぁぁ♡――うぁぁぁぁぁぁぁ♡」
――ぱんぱんぱん、――ぱんぱん!!
だが激しく収縮し、熱く蕩けるような快感を大量に牧村の脳に送り届けるために動く武智の肉棒は止まらない。きゅうっと締まって脈打つ牧村の膣内をより熱く硬くなり、犯すのだ。
「あああああああああああん♡――ばかぁ♡――もうばかぁ♡――こんなの知らないぃ♡」
牧村は壁についた手でもはや体を支えられない。尻だけを突き出し、犬のように四つん這いになり、腰を上げてカクカクと腰を振り乱す一人の牝である。
何度絶頂したであろうか、股間から垂れ流され続ける愛液をぴゅ、と下半身を締めて、噴出させるぐらいの余裕を牧村が取り戻す。驚くべきことに武智の肉棒はまだ萎えていない。もはやほぐれきった牧村の肉壷をやわやわとこね回す。なんど後背位でイかされたか。こんどは前でもイかせてもらおう、などという淡い期待を持って、牧村は振り返り――、
――後ろの武智を、見てしまった。
――スマートフォンを、録画モードで回す彼の顔を。
――見てしまったのだ。
全て撮られていた。
いつから、どこから、そんな思考が牧村の脳裏を掠めて、――そして消えた。
――不意打ちのようにハメ撮りされた。それは酷いことかもしれない。
――彼氏がそこにいるのに、躊躇なく犯された、それは酷いことかもしれない。
普段なら牧村真樹はこんな嗜好をしない。
そんな思考パターンは彼女には無い。
――いつも淡々飄々として、何かに本気で興味を示すことのなかった武智光博という男が、あんんな顔で、動画を撮っている。あんな、嬉しそうに、自分を撮っている。
もしかして、撮られるのを許容すれば、もっと光博は私を気持よくしてくれるんじゃないのか?
――そんな巫山戯た選択肢が、牧村の目の前で揺れている。快楽という餌を目の前に、誘蛾灯のように揺れているのだ。
ぎぃ、っと誰にも見咎められず、武智の指で指輪が輝く。捻れていく。何かが捻れていく。取り返しがつかない方向に、元に戻らない形状に。
何かが。
「――な、なあ真樹、誰にも、誰にも見せねぇからさ」
捻れていく――
その日、武智光博は新聞の取材で学校を欠席、牧村真樹は体調不良で欠席した。
何事も無く月日は流れ、傍目には中田浩二と牧村真樹の関係は変わらず、そして武智光博と牧村真樹の関係も変わらない。
4月29日、武智は自宅マンション前のベンチで暇を潰していると、目の前を牧村が通りかかる。
「おっ? 真樹じゃん、なんだよミニスカートなんかはいちゃって、今日は中田先輩とデートかよ?」
そう言いながら武智は牧村に向けて卑猥なハンドサインをぐっと突き出す。
「あんたねー、天下の往来で女の子に声かける態度じゃないわー、男ととしてないわー……」
ジト目ここに極まり、とがっくし肩を落としつつも牧村は道路を横切り武智の側へやって来た。
「――たく、あんたこそ何してんのよって――」
「……ん? 真樹も見る? お前のイク瞬間を集めた作業用動画。ほら、これなんかおすすめ。お互い舌でチロチロしながら、何回もイッた時、よかっただろ?」
『んっ♡ んっ♡ いく♡ はぁん♡ んっ♡――んっ♡――んっ♡――もっとする、もっとぺろぺろするから、好きにしていいから――、ああん、もっと動かしてよぅ――ふああ、いく♡、いっ――』
「――だあああああああああああ!! あんたこんなの外で見て事故起きたらあんたを殺して私も死ぬわよ、割とマジで!!」
「うぐ、真樹、タンマ、ギブ、ちょ、逝く違う意味で逝くから、マジ逝くから!!」
顔を真赤にしながら、ベンチに座る武智の前で仁王立ちになり、武智の首を締める牧村。そんな中、春先のさわやかな風が牧村のミニスカートをふわりとめくっていく。
「きゃ」
と、急に女の子モードに戻り、牧村は武智の首から手を離す。
「あ゛―、ったく。――で? 今日は結局中田先輩とヤったの? ずいぶん時間的に早いけど」
と武智は値踏みするような目で牧村を見た。
なでり、なでりと、武智は目の前に立つ牧村のふとももを擦るが、牧村に拒絶の意志はない。
「……ヤッてきた、ただ早かっただけ」
「……そっかー、早かったかー」
こしゅこしゅと、ふとももを触る武智の手のひらが上を向き指が牧村の割れ目をなぞり始める。
「ん……んっ……」
こりこりと主張を始めたクリトリスをぐにんと押し込むと、ぐっと牧村は武智の指に腰を擦りつけてきた。
「……ん♡」
と、その顔には淫靡な表情が張り付いている。
「よーし、今日は新しい玩具に挑戦しようぜ?」
「――い、痛いのは、やだかんね」
まるで仲の良い友達が遊びに行くようなテンション。
そこに、違和感はあれど破綻はなく。ねじれ歪んでいるが、隙間は無い。
「やだ、光博、これ、恥ずかしいよ……んぁぁ♡……ふぁぅぅ♡」
「そんな事いってさ、真樹。ちょー濡れてんじゃん、ほら、もう1回、入れる瞬間しっかり撮ってやるよ」
細長いアナル用のピンクローターがぬるん、と牧村の肛門へと吸い込まれ、武智が線を引っ張ると、ぬぽん、と排出される。そんな自分の様子を見て、また下半身を硬くしている武智に、いっぱい貫かれる事を思い描きながら、牧村はお尻って出す時の方がきもちい、などと蕩けた頭で考えているのであった。
二人の関係は、続いていく。
どこまでも、どこまでも。