マスター☆ロッド げいんざあげいん

第四話 魔王トールと生徒達 アキ=カーマインの場合①


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  次の日の朝、リアラとアキはそれぞれの部屋のそれぞれのベッドの上で、自分の目の前に浮かぶキューブを見つめていた。

 アキが、赤いキューブにおそるおそる指を入れると、青いキューブから差し入れた指先がにょきっと突き出る。

 リアラが目の前のキューブの蛇口をひねると、その水はコップに注がれ、いつまで経っても消えやしなかった。

 ――おすそわけ

 半信半疑であったステラの言葉の真の意味を二人は理解する。体験サンプルまで完備とは、実に至れり尽くせりな試練であると、少しだけ呆れた気持ちもある。しかしそれと同時に予感めいた言いしれぬ不安も感じていたのだが、そのことに気づくのは二人が欲望という魔性の泥沼に、すでに後戻り出来ないところまで浸かってしまった後のことである。

「おはよ、アキちゃん」
「ん、おはよ。リアラ」

 食堂でぎこちなく二人は顔を合わせる。昨日の夜はお互い激しかったねとか、教授やステラにどう返事をしようかなど、お互い色々言いたいことはあるようであったが、一番に出てきたことは『おすそわけ』の効果のことであった。

 実は二人は困惑していた。それは、自分達の願いが叶うことでも無く、トール教授という得体の知れぬ存在に巻き込まれた訳でも無い。

 二人は朝食を済ませた後、授業を欠席して街道外れの野外演習場へと訪れる。今はこの演習場が使われる季節では無く、リアラとアキの二人以外の利用者はいない。施設の管理者はもちろんいるが、彼らは通常練習場外の詰所でのんびりとしている。

 そんな中二人はおすそわけの検証をしていた。
 この、自分たちの願いを叶えて、有り余るほどの力の――

 アキのキューブが展開する。
 彼女が放った矢が赤のキューブに吸い込まれ、青のキューブから出て、的の後方から突き刺さる。そう、この赤青キューブが通過させるのは水だけでは無いのだ。

 これが、弓矢では無くて剣や槍だったら、――炸裂弾や魔法だったら。いや、用途は戦闘だけでは無い。今はこれだけの大きさしか通過させられないが、物や人が通過できる大きさであったならばその価値は計り知れないものであろう。

 リアラはアキの能力に比べて自分の能力が少し劣っている物と最初は思っていたが、それは大きな間違いであった。キューブを出し、蛇口を捻ると水が出るという単純な魔法であったが、単純故にその能力は恐ろしく尖っていた。

 水ならなんでも出るのだ。いや、どんな水でも出てくると言ったほうがいいかもしれない。
 かけるだけで怪我が治る水だろうが、それこそ猛毒であろうが、強力な酸であろうが水という形状ならばなんでもでてきてしまう。

 この力は何でも出来る、いや出来てしまう。

 ・・・・・・・・
 出来過ぎてしまう。

 リアラとアキ、二人に去来するのはどのような思いだろうか。有り余る達成感であろうか、満たされた幸福感であろうか、それとも無敵の万能感であろうか。

 夕食時、二人は一緒にいたリューイに質問する。
 リューイはその槍を手に入れたとき、どうだったか、と。

「んー? どうだろう、俺、生まれたときから持ってたらしいからなぁ」

 その答えは、二人が望んだ回答とはほど遠いものであった。もしリューイが彼女達と同様に、自分の能力について真摯に向き合っていたのならば、きっとここで正しい言葉が彼の口から出せたかもしれない。

 これはツケである。

 分不相応な力を持ち、真正面から力と向き合わなかったリューイ=コトブキのツケなのだ。支配の槍と一緒に成長し、尚且つ一つの概念技法しか習得出来ていない稲本竜一の、溜まりに溜まった怠惰の塊である。

 結果として、期限の2日が過ぎてしまう。リアラとアキ、そしてリューイの関係性が変わってしまうこの日が来てしまったのだ。

 それはまず、リューイにとっての違和感として現れた。リアラとアキがまたもや授業に現れない。その理由について自分は思い当たらない、という違和感。リューイと彼女達はこの数年間ずっと一緒に旅をしてきた。恋愛感情はわからないがお互いにある程度の信頼感は得ている。どちらかの行方がわからないなんてことは至極珍しいのだ。そこで不審に思ったリューイは今を持ってようやく動き出す。たわいも無い学生の話や目撃情報、教師など学校関係者の接触情報を元に彼女らの行き先を割り出し、そして彼は、リアラとアキの二人の訪問先である『トール教授の研究室』の扉の前に立つ。


 だが、事はその数時間前に始まっていたのだ。


 ――


「――失礼します」

 そう扉をノックしてトールの研究室に入ってきたのは、

「おや、アキちゃん。今日は一人なのかい?」
「はい、あの子には聞かせたくない話もありますので一人で来ました」

 と、言ったアキの表情が、一つ成し遂げたとばかりに引き締まる。どうやら彼女はただ流されてここに来たわけでは無いとトールは思い、そしてまたギシリと股間の海綿体に血液が流れ込むの感じた。

(あ゛~、若々しいおにゃのこが頑張ってる顔はえろいにゃ~)

 と、実にくだらない理由であるのが、当の本人は大まじめである。

「まあ、立っているのなんだからどうぞ、あのソファまた使う?」

 とのトールの言葉にアキの動きが一瞬止まる。アキは別に構わないですが話になりませんよ、という表情でじっとトールに視線を向けるが、それだけだった。

「――あれ、もしかしてじゃないけど結構覚悟完了しちゃってたりする?」
「覚悟かどうかはわかりませんが、私のお願いを聞き届けていただけるなら――」

 トールの疑問にアキはゆっくりと呟きながら歩み寄り、王立魔法学院の制服である上着に手をかける。するりと言う衣擦れ温の後、彼女がいつも着ている制服はタイトスカートにチューブトップのタイプである。上着を脱ぐと真っ白でつややかな肩と、ささやかだが膨らみのある胸元が空気に晒された。

「対価を支払う覚悟はしてきました」

 と、言い切ったアキではあるが緊張で膝は震え、手先は不安のせいで胸元でぎゅっと組まれている。時折身体を這うように値踏みするようなトールの視線から気恥ずかしく目を反らし、身じろぎながらも、――決して、後ずさることは無い。

「いいね」

 と、トールの上機嫌な声が部屋に響き、そして彼の指がパチンと鳴る。ドアが閉まり、部屋の調度品や家具が一瞬にして消え、そこにあるのはテーブルが一つと椅子二つ。

「さあ、子細を詰めようじゃ無いか。わかってるよアキちゃん。是非安心してほしい。アキちゃんの乙女の恥じらいはそんなに安いもんじゃ無いし、こちらも足下を見たりしない」

 トールがそう言って、一方の席に着き、

「ここで果たされた約束は未来永劫守られ、それが反故にされることは――」

 アキも椅子を引き、座る。

「ないよ、神に、いや魔王に誓おう、――支配者要求≪(ルーラーリクエスト)≫」


『誓約空間』≪僕は君を裏切れない≫


 バキン、と何かが割れるような音が空間に響きわたる、と同時に部屋の中の何かが変わる。違和感がアキの五感を占拠して、さらに背筋にぞわぞわと得体のしれない感覚が立ち上る。それは、自分の周りのこの空間が、目の前の男の都合のいいように書き換えられているという事実、世界の法則を冒涜するしているにも等しい暴挙。その現場に自分が居合わせるという恐怖。


 ――そして、高揚感。


「いいかい? この空間で交わした約束事は俺でも破れない、その代わり強制力は折り紙付きだよ?」

 そんなトールの言葉が、アキの背中を押し、誘いこまれるように交渉の舞台に上がらされる。彼の言葉にそれ以上でもそれ以下のも無いのであるが、トール自身も破れないという彼の宣言はアキに信用という感情の種を植え付けてられてしまった。その条件は彼女だって同じであるのに。

「では、子細を決めようか、アキちゃん」

 椅子の上でぐるりと足を組み替えるトール。当然その股間からは一物がそびえ立っていてアキの視界の端で存在を主張していた。あのステラ先生を後ろからぬぽぬぽと犯していた映像がアキの脳裏に浮かび上がるが、それを振り払うようにアキは顔を上げた。

「そうですね、その約束事を決める前に少し質問があるのですがいいですか?」

 アキの言葉にトールはいいよ、と頷く。

「その、トール教授の、せ、いや体液を飲む件ですが……その、やっぱりステラ先生みたいに、……えっちしなければダメですか……?」

 アキの中に覚悟はある。かといって、その覚悟が揺るがぬほど強固かというとそうではない。そこまでの覚悟をするには決定的に時間と情報が足りないのだ。だからアキはトールに投げかける。能力獲得の最低条件は、どこかと。

「うんにゃ、イチャイチャしながらのちゅーでもいいし、手コキしてくれてもいいし、おしゃぶりしてくれるなら俺は幸せだけど、基本的に1ヶ月間毎日俺の何かを飲んでくれれば、能力獲得は保証しよう」

 あの程度の限定能力ならそれで足りるはずだよ、と事もなしに後付するトール。必要以上、というかアキが知りたいことをほぼトールは応えてしまった。

「ち、ちなみに能力の期限とか、消失の条件とかありますか?」
「ないよ、それどころか頑張って修行すれば成長だってできる。取り込んだ術は、アキちゃんの一部になるからね、当然俺が死んだって消えやしないさ」

 デメリットは無い。とアキは思った。そしてなさ過ぎるとも。なので、アキは勇気を持って一歩踏み込むことにした。もしかしたら、この質問をすることでトールが気分を害し、この話が無くなるかもしれない。だが、それでも――

「仮のお話なんですが……、もし、一日1回、トール教授の唾液をカップにいただいて、それを私が飲むという方法でも能力は獲得できますか?」

 その質問と、同時にトールの表情が激しく歪む。

「アキちゃん……」

 ゆらりと、トールの上半身が蠢き、威圧感が増し、これは失敗したかとアキが身構える。

「うっぐすっ……アキちゃん、そんなに俺のこと嫌いなの……?」

 勇気を持って一歩踏み出した結果、アキは30代成人男性のガチ泣きという実に見苦しい醜態を目にすることになった。

「あ、あー、その、あー……、なんかすみません。その嫌悪感とかそういう意味じゃなくってですね……」

「ふぐぅ……親戚JKのよしこちゃんの徹おじさんを見る目が、まるで生ゴミを見るかのような視線で、う、うぉえ……フラッシュバックしちゃうの……、う゛っぐふぅ……」

 トールが徹であったころ、親戚の集まりで受けた仕打ちが脳内に蘇り、椅子の上で体育座りで震だすトール。思ってた以上にベクトルが異なる結果にアキは頭を抱えるが、

「あーもう!! 大の大人がみっともない!! なんなんですか、なんなんですかもう!! びくびくしてたのがアホらしくなるので立ち直っていただけませんか?」
「だって、アキちゃん俺のこと嫌いって、ちゅーも手コキもいやだってぇ……」
「トール教授の頭の中の私はどんだけビッチなんですか、普通二日前にあった男性とちゅ、……いやキスとか、そのえっちな事とかに積極的な女子なんてあまりいませんよ?というか愛情表現の尺度がちょっとおかしいというか、なんてキスの後が手コキでフェラチオなんですか、ちょっと大人の階段飛びすぎなんじゃないんですか?」
「うわー、手コキとかフェラとか言っちゃって顔を赤くしちゃうアキちゃんかわいい!!」

 と、会話の中でいつの間にか復活しているトールにアキは大きくため息をつく。

「はぁ……、それで質問の答えを教えてください」

 最低限の接触での能力の獲得。アキに都合が良すぎる方法。当然受け入れられるはずが無い、とアキは思っていたのだが、

「まあ、別にいいよ。問題なし。他に質問ある?」

 と、トールがあっさり肯定してしまった。

「……」

 アキがトールをじっと見つめる。

「何? アキちゃん、おしゃぶりでもしたくなってきちゃった?」

 と、トールががばっと股間を開いてかまんと、上半身でアピールをする。

「いいんですか? 私に都合が良すぎません?」
「いいんだよ、概念魔法なんてものは、その人が望み望んで、さらに渇望して、その上で都合の良い方法で手に入れでもしなきゃそもそも動かないものなのさ――」

 概念魔法とは究極のわがままなんだよと、そんな静かなトーンではあるが、重い何かを含んで語られたトールの言葉はアキとの間に再び緊張感を呼び戻した。

「『誓約空間』に宣言しよう、俺の一部を取り込む方法はアキちゃんに任す、そして得られた能力はアキちゃんのモノであり、時間や外部干渉によって消えるものではないと」

 バキン、と空間がきしみ、何かが割れる音がする。同時にトールとアキの心中に楔が
 埋め込まれた。

 到達地点である。アキは、至ったのだ。こちらの条件は限界まで積み上げた。少女一人という価値に見合わぬ能力。それを手に入れるための、そして手に入れたあとの保証まで勝ち取った。都合がよい話ではあるが、ここにきて、初めてアキは覚悟を決めた。何かを切り捨てて、前へと進む覚悟を決めたのだ。今までの彼女の周りにあった、何かを切り捨てる覚悟を――。

「ではトール教授の方でなにか私に約束をしてほしいことはありますか」

 だから、こんな失言をしてしまった。
 トールはなに、簡単なことだよ、と笑う。

「――アキちゃんは、僕に対して、嘘がつけない」

 一瞬、アキは沈黙するが、すぐに拍子抜けな表情でトールに呟く。

「……そんなことで、いいんですか?」
「うん、俺はこれだけでいいよ」

 アキは考える。特にアキはトールに対して嘘やそれに類するものを用いようとは思っていなかった。そもそもこのトールと接触し能力を獲得できるというのはアキにとっては破格のチャンスなのだ。ちょっとアレな所もあるが、トールは強要や脅迫などの手段は今の今までとってはいない。あくまでもアキ自身に選ばせるように仕向けている節もある。故に、一抹の不安は残るものの、アキにとってその条件は特にデメリットに思えなかった。なので――

「わかりました、ではその条件でお願いします」

 と、無自覚に一線を踏み越える。信用と信頼という一線、人ならざるものとの契約、と、いろいろな一線を今アキは越えたが、もっとも重要なことは、彼女が自ら歩み寄ったという事実である。彼女は欲望の一歩を踏み出してしまった。決して止めることの出来ない、その一歩を。

 自ら、踏み出してしまったのだ。

 二人の背景に先の約束事の光の文字が現れ、それらが弾けてトールとアキの体内に埋没する。『誓約空間』が役目を終え、二人は研究室へと舞い戻る。

「よし、それじゃさっそく飲んどく?」

 と、トールが笑顔で自らの股間を擦り始める。

「ちょ、いきなりですか、というかさっきのガチ泣きテンションは何だったんです?」
「いやぁ、よくよく考えてみればいたいけな美少女に俺汁を飲ますって十分背徳的じゃん?萌えるじゃん? 燃えるじゃん? 我慢汁でちゃうじゃん?」
「いや、あの、さすがにいきなりその……せ、精液はちょっとレベル高いんですけど……、ですけど……!!」

 しゅこしゅこと目の前でしごかれるトールの剛直を直視しながらアキは首を背ける。

「ですけど?」

 と、呟くトール。

「……き、キスぐらいから、お願いできますか?」

 膨張した股間の横から見上げるようなマジメ眼鏡系少女のキスのおねだり。言うなればマイクタイソンのナンバーシステム“Six”“Seven”“Four”。つまりは左の肝臓へのボディフックでガードを下げさせた後の右のショートアッパーが顎にHIT、そのまま返しの左フックがテンプルに直撃。

 要はノックアウトである。

「いいの? アキちゃんはセクハラ教師に対して汚物をみる目系女子じゃないの?」
「それはまあ、そうなんですけど、教授からは能力いただけますし――」

 アキの手がおずおずとトールの胸板に伸びる。

「――筋肉質の男の人って、割と嫌いじゃ無いんですよね」

 そういえば昔にリューイに抱えられた時もどきっとしたものだ。だが目の前にいるトールの肉体は彼よりも数段鍛えこまれていて、なにより大きかった。

 ――アキはトールに対して嘘がつけない。

 心も、身体も。強い雄に対して、雌の興奮を禁じ得ない。彼女自身が気づかなくても。彼女の身体が疼き出す。身も心も、知らないうちに緩くなる。

 トールがぱちん、と指を鳴らすと、ぽん、という音と共にアキが座っていた一人用の椅子が三人は余裕で座れるサイズのソファベッドに変化する。

 緊張で身体を固くするアキの首筋をトールの左手が優しくなぞり、そのまま彼女の左耳をこしょこしょとくすぐる。アキはびくんと肩を強ばらせるが、それだけである、みみたぶをやわやわとこねられて気持ちよさそうな顔をしてトールの腕に身体を預けていた。

 そしてトールの右指先がアキの顎を下からくいっと持ち上げる。段々と近づいてくるトールの顔に、アキは少し視線をそらすが唇より先にお互いのおでこがこつんと接触し、同時に左耳をもにもにしていた指が首元を優しくなで回す、

「……あ」

 と、小さく開いたアキの口元に顎付近を支えていた指が滑り込んだ。あまりにも無骨で堅く逞しい男の指がずずっと少女の口元を犯していく、下唇を撫で上げ、つまみ、ほほ肉をつつき、舌の腹をくにくにと押し込まれる。

 にゅくにゅくにゅる、と

 まだ二人の唇が触れていないというのに二人の棒(指)と穴(口)は限りなくそれを模倣していた。彼の男の指が彼女の口を蹂躙すればするほど、彼女は身体に覚え込まされてしまう。上顎を擦られると、頭がぼーっとしてまうことや、舌先を摘ままれたり、ほほ肉や歯茎を擦られることが心地よく思えてしまう。

 都合十分。耳とほほ、そして首元と口内をトールの無骨な指でじっとりとかき回された結果。アキはゆっくりと抜き出されるトールの指に対して、

「ん……ちゅ……む」

 と、無意識に吸い付くまでに躾けられてしまった。入れられたら吸い返す、吸い返したら擦ってもらうという交換条件が少女の身体に刷り込まれる。

 ちゅぽん、という音と同時にトールの指がアキのお口から解放される。彼女は、はぁはぁと息を切らしているが、それが単なる息苦しさからなのかそれとも口内を犯された興奮からなのかはわからない。確かなことは、アキの右耳にトールの舌が這っても彼女の口から出る吐息は変わらないということだ。

「や……は……」

 むしろアキの視線は訴えている。指と耳と、指と舌と、そして舌と耳でもこんなに気持ちが良いのだと。舌と舌が絡み合ったらどれだけの刺激が得られるのであろうかと。そんな恍惚とした時間に、突如ノックの音が鳴り響く。

「騎士科1年リューイ=コトブキです。教授のお部屋に魔導科1年アキ=カーマインはお邪魔しておりませんでしょうか?」

 その声に、アキははっと我に返る。とても彼にはこんな所は見せられないと。アキはトールに目で訴える。だが、

「大丈夫、見えなくするから、だから、続きしよ? ね?」

 トールから返ってきた言葉は無残にも彼女の想像を大きく超えるもので、そして断りがたい誘惑でもあった。でも、でもだって、でも無い。トールはアキにこう問いかけたのだ。

 続きがしたくないの? と。
 このままやめちゃっていいの? と。
 リューイ君ときもちがいいの、どっちをとるの? と。

 アキ=カーマインはトールに対して嘘がつけない。
 嘘がつけない。そんな絶対の約束をしてしまった。
 きもちがいい方がよいと、思ってしまったのだから仕方ない。
 視界の端で、服を着たトールのコピーが作られドアへと向かうのが見える。
 それと同時に迫ってくるトールの唇を、アキは当然の如く避けれなかった。

「んむ……やぁ……はむ、ん……ふぁ、ん……ん……っ」

 押し倒されるような形で重なり合う二人の体と、そして口元。

 ちゅぽ、ぬぽっと、ねちょ、じゅるっと、先ほど指で散々犯された行程を舌でなぞられていく。肉感溢れる舌と舌とのコミュニケーションは、アキの想像以上の快感を彼女の脳髄に届けてしまった。

 すぐ側ではリューイがいるのに。

「あー、いきなりで済みません。アキ=カーマインって女子、お伺いしてないですか?」

 ちゅっちゅ、ちゅむちゅむ、とお互い唇を吸い合う音が部屋中に響く。

「ああ、アキちゃんのこと? さっきまでいたけどもう帰ったよ?」

 にゅるりと唇の間から唾液が流れ落ち、時々ごくんとアキの喉がなる。

「あれー? すれ違いかな、っと、すんません、あのソファにかかってるのアキの上着じゃないですかね? ちょっと入って確かめてもいいですか?」

 めざとく彼女の上着を見つけたリューイが部屋に押し入る、その横で、透過された二人の舌がてろてろと絡み合い、そしてアキは恥ずかしそうにリューイから視線を外す物の、舌の動きは止まっておらず、むしろ積極的にトールの舌先を自分の舌で探していた。

「かまわんよ、気が済むまで探すといい」

 そういえば上着を脱いでいたことをアキは思い出し後悔するが、舌先をお互いチロチロさせるともの凄く心地が良いことも思い出す。気づけばアキはトールにしがみつきお互い抱き合うようにソファの上で唇をむさぼっていた。

 ――ぴちぴちぴち、ちゅ、ちゅるる、ちゅぱちゅぱり。一息おいて、またちゅぱりと。

「トール教授、失礼を承知で言わせていただきます。疑うわけじゃ無いけど、何か隠してませんよね?」
「くっくっく、初対面だけど失礼な奴だねぇ君は、でも嫌いじゃ無い。隠していると思うなら暴いてみるかい、自慢のその槍で?」

 ――んっんっ――んっんっ、とアキはトールにしがみつく。万が一槍の力で透過がばれた場合、姿がなるべくリューイに見えないようにと。だが、その行為は逆効果である。ぴったりとくっついた身体と身体。トールの鍛え抜かれた肉体はアキの柔らかな部分にぐいぐいと沈み込む。

「う……っあ♡」

 服越しにトールの胸板にアキの乳首が擦れ、刺激される。突然の快感に一瞬アキがトールを突き放し、トールとアキの間に距離が生まれた。それは自分以外の何かによってもたらされた初めての感覚であり、新しい甘美でもある。そして、アキの表情に反映されたのはその新しい快感への期待であった。


「支配者要求>万能運命打破!!≪我が前に立ち塞がるな≫」


 それとリューイの支配の槍が発動したのは同時である。彼の前に立ち塞がる何かを壊し、無に回帰する支配者要求。おそらくではあるが、槍の突くという行為を、前に立ち塞がる存在を滅ぼすものと仮定し。前方に対して万能の威力を発揮する概念武装として昇華した力。

 方向性と関係性を限定した万能効力。
 決まればほぼ無敵とも言えるが、残念ながら今回は何の効力も発しなかった。

 そもそもコピートールはリューイの進む道に立ち塞がっている訳では無い。部屋には招き入れたし、自由に探せとも言った。リューイの目的にとって障害ではないものにその力を振るっても、リューイの運命に何も関係がないものに力を振るっても、何も起きない。惜しむらくは、その力をアキとトールがイチャイチャしている方向にさえ向けていれば、トールが片手間で設置した透過障壁ぐらい無効化できたかもしれない。そもそも概念障壁をはったのはイチャイチャしている方のトールである。出迎えたコピーは何もしていないのだ。

「んっ、んー、君、中々の痛い子だねぇ、なんかそれ、流行ってるのそれ? 勇者ゴッコ?」

 槍を突き出したままのリューイにコピートールはプークスクスと吹き出しながら煽る。こんな筈では、という表情で固まるリューイ。

「くそ、なんでだ、リアラ達が僕と顔を合わせない日が3日も続くなんて……、この数年なかったことだぞ……!! 絶対に何かあるはずなのに……っ」
「まあまあ落ち着けよ。アルバの勇者の卵、リューイ=コトブキ君。何、僕は君の敵じゃぁ無い、ほら座れよ。困り毎があるんだろ? 相談にのってやるよ、教授職は伊達じゃ無いぜ?」

 そう言ってトールは訝しげなリューイをソファに無理矢理座らせる。まさにアキとトールがイチャイチャしてるソファの対面に。そしてコピートールはアキの隣に腰を下ろす。アキを真ん中に挟んで、本物トールが座り直す。

 そして始まるコピートールと、リューイのたわいも無い世間話。
 槍がなんたら、リアラとアキの二人がなんたらと、そんな二人の真横で、アキがびくびくと身体を振るわせている。それは右と左からの同時攻撃。アキのチューブトップの胸元の防衛線を突破し、トールの右人差し指と、コピートールの左手人差し指が彼女の乳首をコロコロと転がしている。

「……ふっ……んっ……こんなの……、こんなの……っ……ん……あっ♡」

 指の腹で頂点を優しく撫でるように、時折くにくにと、押し込むように。

「んっ♡ はっ、……あ、……あ、……あん♡」

 アキの乳首が固くしこる。押し込みや撫で掏りに負けないように。こりこりと反発させらていく。そうなってくると当然撫でるや押し込みだけではない、乳首の側面をこすこすと擦られたり、指先で弾かれたり。

「いやぁ……いやです……、そんなに激しく……ぁ、ぁ、ん♡ だめ……はぁん♡」

 ささやかに膨らんだ胸肉を押されたり、その度に乳首が制服の内側に擦れ未体験の刺激がアキの脳内を埋め尽くしていく。心地よくも気持ちよい指の愛撫に身も心も委ねてしまう。だがしかし、気持ちいと感じ認識することは、同時に慣れも引き起こす。人差し指だけの乳首転がしが、新鮮で甘美な刺激からじれったさを含む快感にアキの中で変わりつつあるとき。すっかり忘れていたリューイの存在がアキの思考に割り込んできた。

「あの、トール教授、気になってたんですけど、その左手の指の動きなんですか――」

  と。

 その左手の動きとは、コピートールの左人差し指がリューイとの話の最中にも止まらない奇妙な動作であり、当のリューイが気になるのも自明の理である。

「ああ、これ? 癖なんだよね、考え事するときの」

 と、コピートールはとんとん、と少し強めに中空で指を打つ。当然その先には透過したアキがいて、制服の上から胸の頂点をとんとん、とされるわけで。

「――んっ、――あっ♡」

 とアキが身じろぎをし、そして跳ねた彼女の身体を受け止めるように本物のトールが肩を抱き、半開きになった彼女の口に舌を差し込む。

「――んむ♡……んちゅ……ぷは……ぁ♡……はぁはぁ……ちゅむ、ちゅぽ」

 差し込まれた舌先を受け入れかき回されたあとに名残惜しく舌先を吸い返す。ゆっくりと抜かれるトールの舌先を追うようにぺろぺろと舐めるアキ。彼女は思う。短い間に随分と自分は遠いところに連れてかれてしまったと。目の前にいるリューイに少しだけほのかな恋心とも呼べるかわからないような思いを抱いていた事が随分昔のことのように感じた。いや、その表現は少し間違っている。彼に対する憧れや思い、そして恩情などはしっかりとある。

 ――だけど、この気持ち良さは別格なのだと。この後に何をされるかと考えてしまうと、どうせ目の前のリューイにはあずかり知らぬ事なのだと考えてしまうと、

 アキは、リューイを一瞬だけみて、そして躊躇うように、おずおずと、でも決してその動きを止めることはせず、その顔にリューイへの贖罪とトールへの期待の表情を貼り付けながら、背中の留め金を外し、そして胸元へ手をかけ、するりとゆっくりと、その胸をはだけた。

 当然彼女の胸があらわになり、ささやかな膨らみと、入念にしこり固まらされた彼女の乳首が外気に晒される。力を抜き、うつむく彼女の表情は見えないが――

 アキののど元がゴクンと、動く。表情は見えないがその口元は羞恥を含んでいる。両手は自然に脇におかれて、何より、かわいらしい彼女の胸と乳首が、ツンと勃起する様は彼女の期待の表れである。

「――はぅん♡」

 トールとコピー両方の手の平が、アキの膨らみをもにゅんと、優しく鷲づかむ。先端だけを弄られて溜っていたアキの快感のプールが大きく波立ち、揺らされる。アキの胸はお世辞にも大きいとは言えないが、トールの手の平と指が巧みに揉みしだき、少女のしこりを解してしまう。

「あっ……あっ……あっ、――ふぁん♡ や、…あっ――んっ……あぁぁぁ♡……ふぁぁぁ♡」

 トール二人の指が胸肉を揉みほぐすために指の付け根で乳首がしこる。トールがちょっと指を狭めればびくっと、アキの肩が跳ね上がる。

「――はぁ、はぁ、――ん、んっ、ふぁ♡」

 胸元からこみ上がる快楽と刺激の中、自然と開くアキの口元にトールの舌が差し入れられる。ぴちぴちれろれろと舌先の快感に酔うアキ。トールの唾液がアキの口内を満たし、アキの目がそれを受け入れとろんとまどろんだときだ。

「――ひぁ」

 彼女の両方の乳首が人差し指と親指で摘ままれ、ぎゅぅっと強く引っ張られる。

「……あ♡……あっ……く……あっ……」

 ぎゅうっと固くこりこりした先っちょを潰されて、柔らかくなった胸肉は引っ張られて、予想外の刺激に、アキは大きく肩を跳ねさせて、

 ぎゅむぎゅむと、限界まで引っ張られた彼女の乳首がさらに圧迫され、

「だめ……それだめ……で、……あ……あっ♡……あっあっ♡」

 そっと、離された。
 びくん、と彼女が震える。

「――ふ、は♡……ん……あんっ♡」

 かわいそうにアキの乳首の周りが少し赤くなっている。
 突然の刺激に身体が追いつかず痙攣が止まらない。

 再びトール二人の指先が彼女の乳首へと迫り――
 彼らの手を、アキの両手が阻んだ。

「やだ……、これ…だめです……だめで――、んはぁぅ♡」

 だがその手はトールの指を防ぐ力は無く、再び彼女の乳首は摘ままれる。
 ぎゅうっと強く引っ張られた乳首の先が固くなる、さらにぐりぐりと絞られることでアキの中の知らない何かがどんどん緩くなる。

「――んはあぁぁぁ♡」

 と、アキは今まで聞いたことの無い下品な自分の声を聞いてしまう。同時に胸からせり上がってきた何かが下半身を熱くするのを感じ――、

 アキはこの快楽にまだ先があることを自覚してしまう。

 目の前のリューイがコピーと話しを続けているということだけは視界の端で確認できる。
 視界の端なのは、よく見えなかったからだ、アキを囲むトールの数は三人に増えていたし、リューイは場所を移してコピートールと何かを話している。

 そんな事よりも今のアキにはこっちの方が問題である。ソファにもたれかけた彼女の両乳首がちゅうちゅうと二人のトールに吸われている。いや吸われているだけならまだいい。はむはむと、吟味され、てろてろと舐めとられ、つんつんと刺激され、ぴちぴちといたぶられ、そしてじゅるじゅると辱められている。

「ああん、やだぁ♡、あん、あんあん♡ うああああん ふああああん♡」

 アキの両手は脇の下に抱えているトール達の頭を押さえようとするが、次第に快感によるかきむしりに変化し、愛撫が一周する頃には力なく抱きかかえてしまう。三人目のトールと言えば彼女の頭を優しく撫で続け、必要とあらば口の中を舌や指でかき回し、

「ほーら、アキちゃん、ちんぽを舐める練習だよ~、ゆびちゅっちゅしようねー」
「んむぅ、――んんん、……んっん♡」

 等と色々とお楽しみ行為に耽っていた。

「そーれ、アキちゃん、ほら四つん這いになってー?」
「――え? ――あの、きゃ、やん、やあん♡」

 ソファに手を突かされてお尻を突き出した格好のアキの下方から、二人のトールがそれぞれの胸先にちゅうちゅうと吸い付く。

「やぁ♡ ちょ、恥ずかしい……あっんっ♡」

 そんな彼女の股間に――

 つぷ、と下着越しに三人目のトールの指が沈み込む。

「――――んぁ♡」

 当然アレだけの愛撫を受けたアキの下着の中は大洪水である。それこそ下着越しに指をぐにゅぐにゅするだけでくちゃくちゃといやらしい音が鳴り響く。

「――あっあ♡――うっあん♡」

 ぐちゃり、くちゅりという淫靡な音と、アキの嬌声が混ざり合う中で、トールはアキの耳元でひっそりと囁いた。

「ね、ね、アキちゃん、お願いがあるんだけどさ――?」

 と。

「え? ……はぁはぁ……んっ、でもそれ取引に関係ない……やっ、ぁん♡」

 股間をかき回されつつも、土下座する三人のトールを見るアキ。

「ア、ハイ」と一人目
「だけどみたいんです」と二人目
「あ、そう、その変態を見るような視線、実にGOODです」と三人目

 そんなことお願いするまでも無くやらせればいいのに、とアキは思うがそこでステラの言葉をふと思い出す。

『トールはものすごくみもふたもなくえっちだから――、こうして手伝ってあげるとすごーくやる気が出る』

 アキにとってお願いされたことは今までなんやかんやでされてしまったことに比べれば大したことはない。もちろん顔から火が出るほど恥ずかしいことは変わらないのであるが、

「……わかりました、ここでやるんですか?」

 と、アキはその場で立ち上がる。
 と、同時にトールその1がぽんとお立ち台のような台を出した。

「ささ、どうぞ、ずずいとアキちゃん様」
「一段上がって、是非」

 とトールその2とその3がアキを促す。

「まあ、別にいいですけど……、まったくなんでこんな……きゃっふともも撫でないでくださいっ、もうっ」

 台の高さはそんなに高くない、精々が20cmぐらいである。そしてその高さはちょうどかがんだ三人のトールとアキの股間の高さが一致する高さであった。

「そ、それじゃいきますよ、……その、あんまり真剣に見ないでくださいね?」

 そして、アキは三人のトールに見守られる中、おずおずとタイトスカートの中に手を入れ、一瞬の逡巡の後、ゆっくりと、その下着を下へとずり落としていく。

 若々しくも、しっかりとしなった腰つきにそって、ぷるんとしたお尻を経由し、そして柔らか太ももまでアキの両手が下げられたときである。

「おお……」
「うむ……素晴らしい」
「……アキちゃん、これは感動ですよ、感動」

 とそれぞれのトールがアキの股間に向けて、ふんふんとその顔面を近づけていた。

「ちょ……いったい何を――を……あっ」

 彼女のが刷り下げた下着の股間部分から彼女のタイトスカートの中。おそらくはたった今まで彼女の秘所に接触していた部分にむけて、愛液の糸がぬっちゃりと糸を引いていた。まだ少女の面影が残る女の子がさんざん弄られた後に下着をずり下ろしてみたらばっちり感じていました。と自ら告白したようなものである。

「きゃあ!!」

 顔を真っ赤にしながら可愛い悲鳴と主にアキが股を押さえてしゃがみ込むが、素早く三人のトールが彼女の身体を捕まえて――、一人はアキの胸と乳首を後ろから、そしてもう一人は股間へと素早くポジショニングし、そして彼女の目の前に、最後のトールの勃起チンポがスタンバイされる。その巨大とも長物とも表現できそうなゴツいそれは、アキの目の前でかつて無い硬化とそして脈打つ熱さを顕現させた。

 そしてそれは今までの愛撫が全くのお遊びだったことをアキに自覚させるのに十分な卑猥さを持っていたのである。あまりのインパクトに思わず身じろぎしてしまうアキであるが、

「んっあっ、だめ、やだぁ、……ふぁぁぁ♡……んぁぁぁ♡」

 それを待っていたようにアキの乳首が転がされ、股間の舌が蠢き出す。特に直に舐められ、辱められている股間はアキに取って未知の快感である。散々慣らされてしまった乳首と一緒に弄り回されることにより、容易にアキの身体は、口は、開いてしまう。

「んああああ♡ やああああ♡ だめぇ♡ それはまだだめぇえええ♡」

 どんなに拒否をしようとアキの口は拒否できない。犯されることを拒否できない。
 なぜなら、口の中を擦られると気持ちがいいことを既に知ってしまっているから、指でも気持ちいのだ、舌でも、蕩けるのだ。当然指より硬くて太くて舌より熱くてぬろぬろしているそれに犯されたら――。

 アキは思う。どうなるかわかったもんじゃ無い、いや、それは嘘だ。どうなるかわかっているのだ。わかっているから拒否できないのだ。嘘がつけないのだ。

「だ……め……♡」

 言葉と裏腹に緩んだアキのお口に段々とトールの剛直が近づき、そして―

 口元から喉奥までゆっくりと、挿入され、熱くて、固いソレが、ずるずるとアキの口内を犯した瞬間――。

 ちゅる、と
 ちゅぱ、と

 アキは自ら吸ってしまった、吸い付いてしまった。
 だってしょうが無い。アキ=カーマインは嘘をつけない。
 彼女のお口に固くて熱い物が入ってしまったら、ちゅうちゅう吸わずにいられない、拙い舌腹でじゅるじゅる絞るしかないのだ。

 気持ちがいいから。
 気持ちがよくてたまらないから。

 ちゅうちゅうと吸って、ご褒美のように弄られる乳首と股間が気持ちよくて仕方ないのだ。

「んむぅ……んっ………んん♡ んっ――んっん、――んっん♡」
「あ~、アキちゃん、かわいいよ、ほら、前後してあげるからもっと吸い付いて、ほら、ほらほら!!」

 アキの口元でちゅぽちゅぽと水音が激しくなる。彼女の唾液とトールの精液が絡まり口内で熱く絡まり、そして嚥下されていく。

  「ん♡ んふぅぅぅ♡ ちゅ、んむ♡ んむぅ♡」
「一生懸命舐めて吸ってるアキちゃん可愛いなぁ、ほら乳首ぎゅー、だよ? ご褒美だよ?」

 こりこりと後ろから執拗な胸の愛撫をしてトールが慈しむような目でアキの固くなったさきっちょをぎゅうぎゅうと引っ張り、そして爪ではじき出す。その度にアキの身体はびくびくと震える。

「ん~~~ぅ♡ うむぅ♡ ん♡ んっ♡ ん!!♡」

「ほ~らアキちゃん、クリちゃんずっと舐めてあげるよ、何回イっても舐め続けてあげるから、安心していってね?」

 タイトスカートの中でちゅぱちゅぱちろちろと淫らな音が響き続ける。目に見えてアキの快感が大きくなり、ここで初めて、アキのお口からトールのチンポが外れてしまう。

「ぷは………トール……教授…だめ、だめだめ。きちゃう、それきちゃうぅっ」

 アキが泣きそうな顔で股間のトールの頭を押さえるが、逆効果である。

 ちゅぱちゅぱという短音がじゅろろ、ちゅろろという連続音に変わり――

「あっあっ♡、だめ、だめだめ♡、やっ――あんっ♡、やん♡、すごいぃ♡」

 タイトスカートから伸びるアキの太ももからつま先がピンと伸ばされ――

「んぁああああああ♡ ――ふぁああああああああ♡ ――やああああああ♡」

 ――ちゅかちゅかちゅかちゅか、ちゅるちゅるちゅるるるるる

 股間の大きな波が、腰を通り、ぞくぞくとアキの背中を駆け上がり、爆発する。
 じれったくなるほど弄られた乳首への愛撫も絶頂への甘美なスパイスにしかならない。

「――だめ、ですっ……これ、すごい、だめっ――い……く……、――いっ♡」

 そのアキの弾ける快感と同時に、トールの白濁液がアキの口内にぶちまけられる。

「んむうううううううううう♡!!」

 初めての同時愛撫による絶頂と口内射精がアキの脳内を真っ白にする。口の中にのこる生臭さも嫌悪感も、胸とアソコからくる初めての快感も、全てイくことで、イかされてしまうことでアキは受け入れてしまった。

「はぁ♡ ――はぁっはぁっ♡ はぁ♡……はぁ♡ はぁ……んく♡ ふあ♡」

 二人のトールに身体を預け、気だるそうに身体をよじるアキ。
 彼女は口の中に残っていた粘つく精液をゆっくりと飲み干した後、

「――私、犯されちゃったんですね……♡」

 と、呟いた。紅潮する顔で、まだ期待をするように。

「まだ、固い……」

 口元のトールその1のチンポをちゅるり、ちゅるり、と舐め取る。

「あー……アキちゃん?」
「はい、なんでしょう?」

「欲張らなくても、ほら、あと二人いるし、ね?」

 アキが振り向くと、彼女の後ろには、それはそれはチンコを固くしてしまったトール二人――

「え、あの、さすがに、ちょっとそれは……、……ひゃぁ!!」

 アキの嬌声は、トールその1が彼女のタイトスカートの中に頭をつっこんで、尻肉をかき分け、アナルをチロチロしたからである。

「……あっ…それおしりっ…やぁ、だめ♡、あっ、それきもち……うっ、あっ♡」

 ちゅぐちゅぐとアナルの皺を解されてアキは思わず前のめりに倒れてしまう。
 当然ながら、彼女の目の前にはトールその2とトールその3のバキバキWチンポがあるわけで――。

「ほらほら!! ダブルフェラだよアキちゃん、」
「あ~これ贅沢、ごっくんとぶっかけ同時に楽しめるって分身便利だなぁ」
「やん♡ んむ♡ んん♡ ――ちゅぱ、ぷは♡ はむ♡ うむん♡ んむぅ♡」

 と、お尻から卑猥な指を生やしながらちゅーちゅーとチンポに吸い付かされてるアキができあがってしまったのである

「は~いアキちゃん、今日は小指くらい入れていこうねぇ? ほら、前もずっと弄っててあげるからねぇ? ほらほら、ほらほらほら!!」

「ひ……あ♡ だめ、これすごい、すごいぃいいい♡」





 ――その数時間後

「そっかー、いやー君も大変なんだねぇ」

 と、リューイと話しているトールの部屋にノック音が響き渡る。

「1年の アキ=カーマインです。トール教授の部屋に忘れ物をしてしまって……」

 と、アキが研究室に入室してきた。

「やー、アキちゃん、このリューイ君をそろそろ持ち帰ってくれよ、どーも僕がアキちゃん達に何かしてるとか因縁つけちゃってくれてるんだよねぇ……?」

 当のアキは大きくため息を付き、

 「――リュ~イ~?、アンタ、ステラ先生から紹介してもらった教授に何無礼働いてんのよ?」
 「いや、だって――アキ、いやリアラも、君たちの様子がおかしかったから――」
 「だーかーらー、人様にまで迷惑かけていいわけないでしょ? ほら、いくわよ?」

 と、アキは上着をトールから受け取るとリューイの手を取る。

 「う、うん」

 その時上着をそそくさと着るアキにリューイは微かな違和感を感じるのであるが、彼がその正体に気づくのは全てが手遅れになってからである。彼がもう少し大人だったら前世で異性とコミュニケーションが取れていたら、気づいたかもしれない。少し潔癖壁のあるアキから手を取られるということや、彼女の髪が少し濡れていたことや、首筋や胸元にキスマークと呼ばれる跡が残っていたとか、

「彼女が実は今もノーパンだとか」
「合計三人分のおしゃぶりゴックン済みだとか」
「イくだけならもう二桁イってるとか!!」
「手だけ飛ばして今も乳首こりこりしてるとか?」

 三人+一人のトールの猥談がぴたりと止まる。

「「「おま、それずるくね?」」」

 こんこん、と本日三度目のノックの音 。
 そこには胸元を押さえて顔を赤くしているアキがいて、

「あの、……ちょっと、その別に嫌じゃ無いんですけど、声とか我慢するの辛いんで……、部屋の中とかでなら、その……別に……んっ♡」

 ――本日アキが自室へと帰ったのは今から三時間後の事である。

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ぬける  
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