マスター☆ロッド げいんざあげいん

第四話 魔王トールとハルマ君(4) ステラちゃんの場合 前編


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 徹1号と徹2号が、それぞれシーリスとクレスタに色々といたずらをしかけているころ、徹3号は何気にステラへの攻略に苦戦していた。

「……何か変なの。よくわからないけど、ものすごく、変」
「んー? 変ってなにさー」

 先程から何回も徹とステラの間で繰り返されるこの会話。

「……わからない、だけど、何か変。……すごく嫌な予感がする」

 ある程度の変化はあるものの、ステラのこの一言で会話が終わる。彼女は警戒を怠っておらず、媚薬ガスも早々に気付き魔法で薄い膜を張って防御していた。よって何かにつけて徹がセクハラしようとしても不自然になってしまう。

「……トール、シーリスやステラ達は、……本当に無事?」
「んー、無事だよ。クレスタの道にはガスは無いし、シーリスは少し吸い込んだみたいだけど治療中ってさっきから言ってるじゃん」
「うん……なら、いいけど……」

 ステラの様子に徹は首を傾げる。

(俺の言葉を無条件に信じる様に設定した論理封印ロジックシールの効きが甘いのかなぁ……)

 徹は右手に支配の剣マスターソードを呼び寄せる。

「……トール、その剣は何?」
                      ・・・ ・・・・・・・
「んー? 俺の武器だよー、ほら、杖と剣、――いつも、持っていただろ?」
「…………そう、そうね、なんで忘れていたんだろう、私」

 トールがおもむろにステラへと近づく。
 だがしかし、ステラはトールが近づいた同じだけの距離を後ずさる。

「――ステラちゃん?」
「――そう……持ってた。黄金の……武器。……だけど……違う、……剣じゃない、ハルマが持っていたのは……杖でもない」
「ハルマじゃないよ――、俺はトールだよ、ステラちゃん」

 徹の言葉に、ステラはうつむき、そしてトールを見る。

「――違う」

 五芒星を象ったステラの杖、その先が徹へと向けられていた。

「ちょ、ステラちゃん、落ち着こうよ――ほら、思い出して? 俺だって、一緒に旅を――」

 その徹の言葉を遮るようにステラの周りにヴン、と映像が映し出された。そこにはハルマ、シーリス、クレスタ、ステラが映っている。それは旅の記録。ステラがこまめに水晶に保存した、ハルマ達の旅の記録である。

「……わかってる、こうして確認してみるまで信じられなかった。……いえ、――今でも信じられない。トール、貴方の鮮明な記憶が今の私の中にあるのに」

 ――何故、貴方は私達の過去の何処にもいないの?

 ――と。

「――ふうん」

 徹が感心したように声を上げ、そしてステラは当然の如く警戒を強める。

「一応最後まで聞いてあげるよ、ステラちゃん。俺が君の記憶の中にいるトールじゃなかったら、――誰なのさ?」

 右手には黄金の剣、左手には黄金の錫杖。つい先程まで頼れる仲間だった徹の存在が、ステラの認識からバラバラと剥がれ落ちていく。

「……トール、……トールね。なんで私は、私達は……こんな簡単なことを認識できなかったの……」

 ステラが構える杖の周りに赤い火がぽつぽつと灯る。

「……私達が打倒しようとしていた魔王の名前もトール。……今でも信じられない。こんな、こんな、簡単なことすら認識をさせられないなんて……!」

 徹の口元がにやりと歪む。
 ステラの魔法発動は、それと同時だった。

 杖にまとわり付いていた赤い光が放たれ、徹の周囲に浮遊し――

「――リフレクト・レイ!!」

 徹の周囲の光点、その全てが熱線を生み出す火点となり、他の光点へ向かって放たれる。光点に到達した熱線は熱量を補給し、更に別の光点へ。超光熱の熱線の乱反射が徹の腹を貫き、腕をねじ切る。数十にも及ぶ光点に注がれる魔力が失われない限り、熱線の反射が止むことは無い。局地、対人に置いて最高レベルの破壊をもたらす魔法が徹の体を蹂躙した。

 生臭い油の匂い。火の魔法で生物を倒した時にいつもステラが嗅いでいる臭いがダンジョンへ充満する。熱線が乱反射したその場所はマグマのように鈍く赤い光を湛えている。

「ステラちゃん――、それは冗談きついなぁ」

 だが、そんな破壊の後もステラの前に立ちはだかるこのおぞましい光景に比べれば、納涼代を払ってもお釣りが来る。

 頭は熱線に貫かれ、炭化している。両腕は肘下からねじ切られ、肩口は完全に炭化している。右足などは跡形もなく、腹には大穴が空いている。何故太ももをえぐられて皮一枚で立っていられるのかなど、ステラにはわかるはずもない。――ただ一言。

「……化物」

 と、ステラは呟いた。体の震えを伝って、杖の先が細かく震えている。ステラは思う。まだ無傷で凌がれる方がマシだったと。防がれるということは防がなければならなかったということだ。それならばまだ光明は見えた。だが目の前にいるこの化物はそれすらもしなかった。

 次元が違う、とステラは心のなかで歯を食いしばりながら思考を続ける。
 ハルマだって、きっとこんな真似はできない。今目の前にいる魔王は自分達など歯牙にかけない位置にいるのだと。

「――なんだ、この程度で驚いてるところをみると、ハルマ君もまだまだなぁ、それともまだ見せてないだけなのかねぇ。ステラちゃん?」

 半分炭化した徹の頭部で辛うじて無事な口だけが動いた。

「……ハルマ、ねぇ……ハルマは、無事?」

 ステラはハルマの名を呼ばれ、一つの希望を見る。万が一徹を打倒する可能性があるとしたらハルマだけである。だからステラは徹に問う。彼が無事なら、まだなんとかなると信じて。

「ハルマくんねー、今彼はこんな感じだねぇ」

 ステラの前に遠視投影が映し出される。そこには今だ健在のハルマがいた。いや、いるにはいたのだが。ハルマの周りには無数のモンスターが徘徊している。だが、ある一定の距離を保ち、ウロウロと周囲をうろつくだけである。しかしもっと不自然なのはハルマ自身である。彼は戦闘態勢に入っているものの、まるで人形のように微動だにしていない。呼吸のための僅かな動きすらもない。そもそも重心がおかしい。あの姿勢では人は長く静止できない。

「……なんでハルマは動いていないの」
「――そりゃあ、止めてるからね」

 徹の何気ない物言いにステラは絶望する。

「……なに……それ、そんなの、……そんなの」

 空間固定か時間停止か、それを行使するのにいったいどれだけの魔力が必要なのか。

「――何、難しいことじゃない。そんなのあの場所ではそういう事にしちゃえばいいだけじゃないか」

 徹の言葉は全くのステラの予想したものではなかった。魔法ですらないその物言い。目の前の化物は自分達とは全く異なる法則でやすやすとあの事象をやってのけたと言うのだ。それを理解し、ステラの手からカランと杖が取り落とされる。

「ものわかりがいい子は好きだよ、ステラちゃん……」

 みりみりと肉が盛り上がり、徹の体が再生する。ものの数秒で傷ひとつない状態へと回帰した。

「……けて」

 ステラが呟く。

「……ステラちゃん?」

 前髪に隠れた、その奥に光る、強い意志。

「……助けて」

 徹の口元が歪み。

「……私はどうなってもいい。……だからハルマは助けて」

 股間に熱い血が滾る。

「……陵辱でも、魔物の餌にでも好きにして……、でもお願い、ハルマだけは助けて、ハルマは私の恩人なの……」

 徹の脳髄からだくだくと、欲望のアドレナリンが溢れ出る。
 それはシンシア、ローラ以来に徹の心に響いた原初の感覚。

 ――ああ、この――綺麗で美しい心と体を、

「……うん、……そ、それで?」

 ――ぐちゃぐちゃに犯したいしはいしたい。

 その反応に、ステラはなにか危うさを感じた。
 そう、まるで子供が大好きな玩具を見つけた時のような。

 しかし、

「…………何でも、――する」
「――するって言ったよね? ――言ったよね?」


 その声は、ステラの後ろか聞こえた。

「……ひっ」

 それと同時にステラの体をおぞましい感覚が駆け抜ける。
 脇から手を差し込まれ、もみもみと、胸を揉みしだかれ、ステラの意志ではコントロール出来ない感覚がぞぞぞと伝達される。

「……く……ぁ」
「ステラちゃん、結構着痩せするねぇ、クレスタちゃん程はないけど、うん、やわらかくていいおっぱいだ」
「……すきにすれば、いい……ぁっ」

 再びステラの体が小さく跳ねる。
 下を見れば、右足と左足それぞれに新たな徹がまとわり付いていて。

「太ももいい感じだねぇ、うはーやーらかーい、ぱんつ何色かな~?」
「シマシマかー、いいねー、こういうのは全世界共通なんだねぇ」

 とローブの中に手を挿れて内腿を撫でたり、まくりあげて顕になった柔らかいステラの肌にちゅ、と吸い付く。

「…………ぁ……、……いやぁ……、あっ」

「俺様四人目参上!! よう俺、おっぱい独占してないで一つ俺にくれよぅ」
「おう、俺、すっげーここち良いぞー、ほれ」

「……ぁ………………ぁぅぅ……」

 両手でステラの胸を揉み込んでいた徹が、右に回り、そして左側に四人目の徹が付く。

「おー、ぽよぽよだねぇ、ね、ステラちゃん、どういう揉み方してほしい?」

 一つの胸に2つの手。ステラの両胸が左右合計20本の指で嬲られ始める。

「……そんなの……好きにすれば……いいじゃない」

 そんなステラの強がりに。

「んー? いいのかなー? ハルマ君助けなくてもいいのー?」

 目の前でじっくりとこの場を鑑賞している徹がステラに問いかける。
 ステラの目の中で、絶望と、諦め、そして羞恥と屈辱が混ざり合う。

「……く…………で」
「聞こえないよ、ステラちゃん?」

 ステラの目から大粒の涙が落ちる。

「……自分で慰める時は、ゆっくり……揉む……わ」
「――だそうだ、俺達よ」
「イエッサー俺!!」
「丹念に行くぜ俺!!」

 左右の胸担当の徹がびしっと敬礼し、
 まずはステラの左胸の下から救い上げるように5本の指がむにい、と食い込む。そしてもう片方の指は上から親指でステラの左胸の根元をかるく掴み、左右にゆさ、ゆさと揺らしていく。

「……ぁ…………ぁ…………ん……」

 右胸は両手でステラの胸を挟みこむようにやわやわとゆっくり揉みしだき、時折親指で乳首の辺りを優しくなで上げる。

「ぁっ…………ぁ…………ぁっ」

 下半身は相変わらず二人の徹がローブの中に頭をツッコミ太ももの感触を楽しんでいた。時折指でつんつんとステラの股間を突く度に、ステラの体がビクンと震える。

「ゃ……ぁぁっ……いゃぁ……」
「ステラちゃん、乳首こりこりしてきたねぇ……」

 ローブ越しにぷっくりと、ステラの乳首が存在を主張する。
 胸担当の徹二人が、両側からゆっくりとステラの胸を揉みしだきながら、人差し指でくい、くい、とステラの乳首の頭を撫でた。

「……ぁぅぅ……やぁ……」
「よーし、それじゃあ、レッスン1だ、ステラちゃん!!」

 ステラの痴態を眺めていた徹が近づき、そして淡い快感に耐える。ステラの顎をくいっと、持ち上げる。

「「「「れっすんわーん!! らぶちゅっちゅー!!」」」」

 周囲の徹4人が揃えて声をあげた。
 そして、目の前で徹の舌がステラへと差し出される。

「さあステラちゃん!!」
「俺の舌先をぺろぺろした後に!!」
「ちゅっと吸いつくんだ!!」
「そしたら、今度はステラちゃんが舌をだーす!!」

 そんな煽りにステラは泣きそうな顔を一瞬するが、
 諦めたように徹へと向き直り、自らそのあどけない舌先を伸ばして、

 てろん、てろん、

 と、徹の舌先を舐めとった。
 お互いの吐息が混ざり合う。

 ステラの舌先がくい、くいと動く度に徹の舌先もステラの舌先をチロチロと舐った。

 くちゃん、ぬちゃん

 舌先が動けば動くほど、お互いの唾液が絡まり、周囲に水音を弾き出す。

「……はぁん…………ん…………ぁ……」

 胸をゆさゆさと揉まれ、太ももや尻肉を摘まれ、鈍い快感がステラの体に徐々に蓄積する。

(ああ……ハルマと、……したかったな)

 そんな思いに苛まれながら、ステラは徹の舌先を優しく口先に含み、

 ――ちゅぱ……ちゅぱ……

 と、吸いとった。

「よく出来ました。ステラちゃん、なかなか気持ちよかったよ? それじゃあご褒美だ俺からもしてあげる。舌だして?」

 それは一時的な思考停止、ステラは徹に言われるがままに、舌を伸ばす。
 先ほどの繰り返し、ちろちろ、ちろちろと舌先の愛撫が二人の間で行われる。

 それは、傍から見ていったいどの様に移るのであろうか。
 例えば音声が無く、映像だけだったら?

 一人の女の子が悪い男たちに囲まれて。

 ――まさぐられているのに、
 ――いじられているのに、
 ――自らキスをせがんでいるように見えなくもなかろうか?




   ・・  ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・
 ――なあ? ハルマくん。君にはどう見えてるのかなぁ!!




 体が止まってはいるが意識は止まっていないハルマへ、徹は遠視投影越しに視線で訴えかける。アングルを変えて、上から。見下ろすような映像と映像の中から見上げる徹。ちゅぱちゅぱと絡まり合う舌と唇の横で、ステラの乳首がこりこりにしこり、徹に摘まれている映像が流される。

 唐突に音声がONになる。

 くぐもったステラの喘ぎ声と徹の声がハルマの耳に届いた。

「……あ……んっ……んむ、ぷは……ちゅぱ、ちゅむ……んっ……あっ」
「ほうら、俺のキスでステラちゃんの乳首はカチコチだぞぉー」
「……や、強くしないで……はぁ……ぁ……あっ」
「強くしてないよ? ステラちゃんの乳首がしこってるから気持よすぎちゃんだよ?」
「…………ぁ…………だめ♡……ぁ♡……ぁ♡」

 ――ちゅぱちゅぱちゅく、ちゅむちゅむちゅぱ、くちゃくちゃ

 嬌声の間に水音が割り込む。
 緩んだステラの口を徹の舌がかき回してる音だ。
 だが、それだけではこんな音はでない。ステラの舌も徹の舌と口内で確実に絡まっている。

 そしてステラの口が徹の口に完全に塞がれ、

「……ん……んむ…………んっ……ふっ……んんっ……」

 リズミカルに胸を揉まれる中、ステラの口内が徹の舌と唇に完全に蹂躙された。数分後、漸く離れた徹とステラの口の間に唾液の橋が出来、ステラは口をあけて徹の唾液を受け入れていた。

 そして、ステラはまた舌を出し、

 そこでブツンと映像が切れる。
 全ての概念干渉がとけ、ハルマの自由が戻る。

「……ふざけるな」

 周囲のモンスターがハルマに襲いかかるが、一瞬にしてカードにて調伏された。

「……認めないぞ、こんな展開はぁああああああああ!!」

 ハルマは知らない。ステラがハルマを助けるためにこの行為に及んでいることを。
 彼の終着はまだ先である。

 彼の絶望は、残り二人の状況を見届け、さらにそれを超えたところにあるのだから。

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ぬける  
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