マスター☆ロッド げいんざあげいん

第四章 プロローグ


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 のんべんだらりと続く、代わり映えのしない日常。さえなく潤いのない、孤独な自分の人生。彼はそんなつまらない時間の螺旋から抜け出たはずだった。何がキッカケだったのかはわからない。初めは一人異世界に放り出され嘆いた彼であったが、今はそんなことはどうでも良くなっていた。

 ――なぜなら、
 この世界で、彼は力を手に入れた。
 この世界で、彼には心か信頼出来る仲間もできた。
 この世界で、恋人だって出来そうだった。

 そう、彼は初めてのこの世界での居場所を得たのである。

「――フハハハハハハ、世界のおにゃの子達よ、またせたな!!」

 そんな彼の頭上から降り注ぐ徹の叫び。それは彼を蝕むウイルスに似た不快感を彼に呼び起こした。同時に彼の中で尋常ではない怒りが巻き起こる。そう、冗談ではないと。

 ――この世界は、僕の世界だぞ!!

「いやああああ!! 助けて!! 助けて勇者さまっ!! ああっ、――おね――」

 ――ぱん

 という、乾いた音とともに、ローラの痴態を写した遠視投影(ディスプレイ)がゆらぎ、砕け散る。魔力が拡散したその場所に、一枚の護符が浮いていた。

「――許せないな」

 そう呟く彼の姿に数人の仲間がそれぞれ応える。

「……酷い……ッ、絶対許せない」

 軽鎧に細剣、茶色の髪をまとめあげた女の子はシーリス。風の魔法と突剣術を得意とする魔法剣士である。

「……でも怖いです……王都が一瞬で落とされるなんて、どうやったらああなるのかしら……」

 と、神官のローブに身を包み、体を固くしながら寄り添うのは、クレスタ。回復魔法が得意な後衛である。ローブの裾から上目遣いの視線と、金髪の短い髪がふわりと覗いた。

「……女の敵……、……潰す」

 ボソリと、物騒な言葉を漏らしたのはステラ。右手に持たれた星を象ったその杖は、彼女が五属性の魔法の使い手であることを証明していた。腰まで届く黒く長いストレートに加え、前髪も目にかかるほど伸びている。きっと前髪の奥に隠された目の中にはどす黒い怒りの炎が燃えていることであろう。

「今からヴィンランドルに行くとなると、二週間はかかるね……、結構たいへんな戦いになるけど――、みんな、僕についてきてくれる?」

 このセリフを、三十過ぎたおっさんがいったらドン引きの嵐だが今は違う。シーリス、クレスタ、ステラの目に映るのは――、

 不思議な護符を操り数々の事件やクエストを解決し、シーリスを御家騒動のごたごたから救い出し、クレスタを狙うセクハラ神官長を一蹴し、学院の在籍を人質にステラの魔法研究と体を手に入れようとしていた悪徳教授を出し抜き凋落させた、世間では勇者と名高い謎の銀髪オッドアイの護符使いカードマスターハルマ=ウィングステンである。

「――ばか、行くにきまってるじゃない!!」

 と、ぴん、とハルマのおでこをシーリスが指で突けば、

「ふふ……守ってくださいね、ハルマさん」

 と、クレスタがハルマの腕にギュッとその豊満な胸を押し付け、

「……心配なら……行く前に私の処女膜を破っていくといい……」

 とステラがローブの裾をたくしあげた所で、――やめなさいはしたない、とハルマの護符がぺたん、と彼女の行動を制限した。

「――ありがとう、僕の仲間がみんなでよかった」

 そんな彼の眼差しは、彼女たちにとって甘い甘い蜜のような囁きである。そんな彼女たちの反応にハルマは心の底から安心感を得る。ああ、この世界はすばらしいと。

 ――だって、なんでもぼくの思い通りになる

 それは、ハルマという人間の元になった人格の昏い願望。そして概念武器の支配の護符マスターカードに彼が選ばれた理由でもある。




「潰された遠視投影(ディスプレイ)を見てみれば」
「――あらあら、微笑ましい方々ですのね」

 そんな二人の間では、侍女のニナが前後から二人に突かれながら、体をよがらせていた。前は徹の肉棒で、後ろはローラが付けたディルドーで。

「……ああ、こうして責める側に回るというのも、存外に楽しいものですわぁ……、ほらニナ? おしりの穴をゆっくり抜かれると、たまらないでしょう?」
「んはああああぁ……、ろーら、さま……、ゆるして……、んああああっ」
「だめだよニナちゃん!! そんなにえっちな声を出されちゃうと、また出ちゃうよ!!」
「ひゃああ――だめ、――だめだめ、……もうだめ、――イク、――またイッちゃう、あああああ……、――いくいくぅ!!」

 ローラの緩やかなアナルの愛撫と、徹の激しい肉棒の抽送に、本日十回目の絶頂がニナの体を駆け巡る。股間からは止めどなく愛液が吹き出し、遠視投影越しにハルマ達がべとべとに汚されていく。

 彼らを待ち受けるのは魔都ヴィンランドル。今や栄えた王都の面影は既になく陵辱と痴態が繰り返される淫欲の象徴、魔王トールの居城である。出入りを四方の迷宮に限られた難攻不落の要塞。そこにはモンスター達が常に潜み、彼らにより徹の支配領域は日々この世界を蝕み続けているのだ。

「――さあ、お手並み拝見だ、勇者君。まずは俺の所までこれるかな?」

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