歪曲コミュニケーション

第20話 修学旅行 大生沢茜 結城姉妹⑨


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 修学旅行三日目の夜。例によって教師に秘密の宴会場、武智光博が占有している機材置き場。宿泊施設最上階のVIPルームに再び結城姉妹は訪れていた。二人の間でどんな心境の変化が訪れたのかはわからないが、二人はだぶついたTシャツとショートパンツとそれなりにラフな格好でやってきた。風呂上がりの上気した様子と、寝間着用だろうか、柔らかめの生地からにゅっと伸びた二人の太ももは健康的な淫靡さをむんむんと漂わせている。とはいっても武智にとっては見慣れた光景だ。彼はいつも通りに飲み物を勧め、三人は昨日の大生沢茜の痴態を肴にやいのやいのと盛り上がる。

 例えば、やれ武智の経験は本当は何人だの。牧村とは中学からヤっていたかどうだかだの。神田佳奈美とは本当のところどういう関係なのかだの。身内二人と武智だけという気を遣いようも無い人間関係のせいなのか、結城姉妹の言葉はそれなりに軽快であった。

 ちなみに他の参加メンバーはいない。牧村と大生沢は彼女達が誇る無尽蔵のスタミナも三日目の夜をして尽きてしまい、夕ご飯を食べた後にそのまま泥のように眠ってしまったらしい。牧村はまだしも大生沢は三日連続のビーチ皆勤の上、武智と徹夜であのSEXだ。まさに牧村が言うところの、明るくなるまでやるじゃん、を実践したことになる。疲れ果てるのも無理も無いだろう。今頃同室の女子に、牧村もろともなぜここまで同年代で乳の大きさの差が出てしまうのか会議に巻き込まれ、観察の対象になっているに違いない。

 真堂香は権野と深夜のデートだ。今日の昼の事である。こっそりと武智に対してGPSの迷彩依頼が、香本人から出されていて、この旅行中に頑張ってBまでは進めて貰うんです、などと言っていた。随分と変わっちゃったなー、香ちゃんとか武智は呟きながら、頑張ってね、と軽く香と唇を重ね、くちゅくちゅと舌を滑り込ませる。炎天下のテントの前、真堂香が前にかがみ、傍からはタオルと水を武智から受け取っているように見えただろう。それは隣で作業中の高村秋継にも悟らせない自然な動きだった。

「あれ、一年の真堂っすよね、先輩仲がいいんですか?」
「んあ? しらねーの、香ちゃんの彼氏が俺の親友ちゃんなのよ? 愛しのゴンちゃん」
「ああ、権野先輩っすね。把握しました。いやー、真堂って割と男子の間じゃ地味目で大穴枠だったんですけど……」

 小ぶりだけどしっかりと腰のラインがわかる真堂の後ろ姿を見ながら高村秋継はすこし遠い目をする。

「彼氏が出来てから妙に女っぽくなったとか?」

 そんな高村に対して武智は面白がるように問いかける。

「あ、当たりっス。なんというか丸みを帯びたというか仕草が違うというか、妙にクるんですよね」

 高村少年がそのように思うのも当然である。真堂香の体はこの数ヶ月で武智光博という異性に散々に弄ばれた。ベロチューを自然に受け入れるしなやかさも、長時間乳首や胸を刺激されることを受け入れる寛容さも、歯を食いしばりながら下品に潮を噴き、快感の中激しい手マンを耐える忍耐も、普通なら排泄ぐらいしか用途の無いアナルで男根を受け入れる業の深さも、決して以前から備わっていたわけでは無いのだ。

 閑話休題。

 だから今夜、いまから起こることをきっかけとして、今目の前にいる結城姉妹にもなんらかの変化は訪れてしまうのだろう。結城藤子は確かに言った。あのとき、結城祥子がいないその場で。

 私は、祥子を犯したい。

 と。

 結ばれたいのでは無い。いや結ばれたいとは思っているが、その思いよりも圧倒的に決定的に、結城藤子は結城祥子を肉欲のままに犯したいと告白した。彼女が結城祥子に対して持つ願望は、それこそ男が異性に持つ暴力的且つ独善的で都合のいい性願望に近い。

 共通の彼氏を作り、隠れ蓑にするその前に。
 いや、それとは別にと言った方が正しいかも知れない。
 この問題は既に相思相愛である結城姉妹同士の問題であるからだ。

 早い話が、結城藤子は結城祥子をレイプしたい。
 性欲のはけ口にしたい。
 自分にチンコがあるなら結城祥子のオ○ンコに突っ込みたい。
 勃起が出来るならば、あの胸にチンコを挟み込みたい
 射精が出来るなら、その顔と髪にぶっ掛けたい。

 ぐにゅぐにゅと豊満な胸を揉みしだきながら、乳首を引っ掻き、波打つ胸元から首筋に舌を這わせて、唇に舌を突っ込み、くちゅくちゅと舌を絡み合わせながら、果ててみたい。

 そんな告白をした結城藤子に、武智光博は手の平にのせた錠剤を一粒見せる。

「じゃあさ、一緒に犯っちゃう?」

 ――なんて、武智はちょっとお茶しない、程度の気軽さで結城藤子の最終防衛ラインを軽々と踏み越える。これは三日目お昼の管理テントの中でのお話。結城祥子が建物から出て、管理テントへと戻ってくるわずかな間。この時結城藤子は武智光博を悪魔のようにさえ思ったかも知れない。

 武智光博は結城藤子と視線を合わせず、机の下で手の平だけを差し出す。藤子は戻ってくる祥子と武智の手の平を見比べつつ、一瞬の逡巡の後、その薬を手にした。

 武智が彼女の渡した薬は通称トリック。二年前にとあるヤクザ崩れのチンピラがばらまいた、体も心も気持ちよくなってしまう合法なおくすり。一錠だけなら依存症は限りなく薄く、天国に心も体もイケるエロ本のような魔法のチケット。水にすぐとけ、相手のコップにとぽんと入れればそれでOK。なぜそんな薬を武智光博がもっているかを説明すると少し話が長くなる。神田佳奈美との出会いから説明をしないといけないからだ。神田弘蔵との契約にも関係する。ただ確かなのは武智光博は決して人の道を外れたジャンキーなのでは無く、仕事上必要だからこの薬を数錠のみ携帯していると理解を願いたい。

 そして、高村後輩と双子が入れ替わった後、武智の端末に着信が入る。それは結城藤子からのメッセージ。同時に武智の指輪がぎぃぎぃと何かを歪めるような音を放つ。

 ”使い方を教えて”

 この瞬間、結城藤子は結城祥子を売り渡した。詰まるところ、双子の絆も遺伝子の壁も、自我から発する欲望には勝てなかった。綺麗事や建前やちんけなプライドのなんとはかなく脆いことか。だが無理も無い。武智光博によって大生沢茜の願いがあんな形で適うあの場面を見ていなければ、こんな思考を結城藤子はしなかった……かもしれない。

 "武智光博という禄でもない人間が、他人に対してあんな事までしていいなんて教えてくれやがったから”

 のような言い訳など、きっと形を変えていくらでも彼女の中ででてくるだろう。

 そう、結城藤子は決意したのだ。
 揺るぎない決意を。


 ――だって、こんなチャンス。一生に一度あるかわからない。

 と。

 こうして舞台は三日目夜のVIPルームに戻る。テーブルを挟んで武智の向かって左前に結城藤子、向かって右前に結城祥子。主題も無く、脈絡もそれほど感じられないテーマで続いた会話が二十分も続いたことはある種の奇跡かも知れない。しかし、悲しくも運命の時は訪れる。ふと会話が途切れて、

「あ、私。ちょっとトイレ」

 と祥子が席を立った。
 この場で結城藤子か祥子の、どちらか一人が席を立つ。
 そんな場面が訪れてしまった。

「応、リビングを抜けて左な? いっしょに行こうか、げへへへ」
「やーだ、犯されそうだし」

 きゃはは、わははとお互いに笑い、結城祥子はこの居間を去り、リビングを抜け、角を曲がる。

 ・・・・・・・・・・・・
 その様子を確実に見届けて

 結城藤子は結城祥子が飲んでいたコップの中に錠剤を入れた。しゅわりと跡形も無く錠剤は溶けて消えた。結城藤子は明らかに興奮をしている。まるで初めてオナニーを覚えた小学生のようにそわそわし出す。

「純愛だねぇ」

 と武智はまるでそんな藤子を見て、幼子を見るように呟いた。そして、数分後、結城祥子がこの場に帰ってくる。席に戻るその瞬間まで、きっと結城藤子にとっては数時間にも感じたであろう、勝負の時間。

「いやー、暑い暑い、ここってトイレの中まで冷房効いてないんだねぇ」
「そりゃスペースと効率のせいだな、流石にトイレの狭さに収まるエアコンってあまりないべ」
「言われてみればそうだねー」

 と、結城祥子は席について置いてある自分のコップに手を掛けた。

 そんな、運命の時。

「わ、私が先なんだからね、たけちーは後なんだからね」

 と、期待と欲望に満ちた表情で、藤子は呟き。

「わはは、まあ落ち着けよ藤子ちゃん」

 と、武智は片肘を突いて事態を見守り。

 結城祥子は自分のグラスに口を付け、
 結城藤子は犯る気満々に景気よく手持ちのグラスを飲み干し、
 武智光博は、この二人の新たなる一歩を祝福し、ぱちぱちぱちと拍手した。


「祥子ちゃん。――君の勝ちだよ」

「はぇ?」

 とカクンとテーブルに突っ伏す結城藤子と、
 落ち着いて口からグラスを離す結城祥子。

 ――双子。

 そう、同じ受精卵から分かたれ、それぞれの個を内包しながらも同じ容姿、性格をして育つ希有な存在。そんな存在が、あんな大きな違和感に気づかないはずも無い。ましてやこの結城藤子と祥子は十何年も一緒にいたのだ。そんな存在がもう片割れの異変に気づかないはずが無いだろう。

 結城祥子の口が淫靡につり上がる。

 旅館からの呼び出しに藤子が一緒に来ない。そんな大きな違和感に結城藤子の友人を、相棒を、家族を、姉妹を、恋人を十七年間もやってきた結城祥子が気づかないわけない。藤子へのメッセージに返信をした後に、武智の端末は結城祥子のメッセージを受信する。

「まあ、流石双子ちゃんだよねぇ」

 と、武智は端末の履歴を呼びだしてクルリと回してまだ事情を飲み込めていない結城藤子へと画面を見せた。

 "藤子ちゃんに何かしたでしょ"
 "あ、やっぱわかる?"
 "内容によってはヒドいことしちゃうかも"
 "やめい、なんもしてないし、そもそも何かされちゃうの、祥子ちゃんだし"
 "どういうこと?"
 "藤子ちゃんが祥子ちゃんとにゃんにゃんしたいから、気持ちよくなれるおくすりあげました☆"
 "……それで?"
 "祥子ちゃん、怖いって"
 "……だからそれで、たけちーはどっちの味方なの?"
 "俺は女の子の味方だにょん? だから――"
 "ちゃかさないで"
 "祥子ちゃんの味方だとも言えるね?"
 "……"
 "ちゃかしてないよ"
 "……だめだよ"
 "何が?"
 "許さない"
 "誰を?"

 チャットのログが、

 "だめだめ"
 "絶対ダメ"
 "だめだめだめだめだめだめだめ"
 "ゆるせない"

 狂気を孕む。

 "し、祥子ちゃん?"

 "だ っ て 藤 子 を 最 初 に 犯 す の は 、 私 な ん だ か ら"

 そう、結城藤子と結城祥子は悲しいまでに似通った双子だったのだ。ただしその形は、陰陽印のように切り口がぴったり合う相互補完で無く、ハートマークを縦に割ったような線対称。当然形は一緒だが、その形は一面では噛み合うが、一度角度を変えてしまえば全く噛み合うことが無い、歪な形。その形故にぶつかり合う箇所も出てこよう。

「お互いがお互いを思い合い、犯し合いたい。大変な純愛模様で、結構なド変態姉妹だよ君たち、だからお手伝いしてあげようと思ってさ」

 結城藤子の負けを決定的にしたのは、結城祥子がトイレに立ったときに一緒に行かず、最後まで彼女の姿を見届けてしまった事だ。時折結城祥子が振り返り、手をふりふりしていたこともそれを手助けした。

 結城藤子はその間だけ、自分のグラスから視線を離してしまった。後ろで武智が錠剤を一粒、彼女のグラスに入れていることも気づかずに。逆に結城祥子がその一部始終を確認する為に振り返っていたことも気づかずに。

「――ひゃ」

 藤子が甘い悲鳴を上げる。その後ろから祥子が抱きつき、Tシャツの上から藤子の豊満な胸をむにゅりむにゅりともみ上げている。

「ああ、藤子ちゃん。やわらかーい、やわらかいよぅ、えへへ。うへへ、今日はいっぱい気持ちよくしてあげるねぇ?」

「あっ、やだっやだっ。――ふぁぁ♡」

 祥子のもみもみという手の動きは揉みしだきから、つんつんと頂点を撫でる動きへ。

「わぁ……。乳首かったぁい……。ほら藤子、さすさすきもちい? ん? こんなに硬くして、きもちいんでしょ? いいんだよ、抵抗しても。ほらぁ、さすっちゃうよ、つんつんしちゃうよ?」

「んっ、あっ、からだ、……力はいらない、なんでぇ、あっあっ、やだぁ、こんなのやだぁ。あん♡」

 祥子は藤子の後ろから手を回し、藤子の乳首をTシャツとブラ越しにきゅっと摘まんでは離し、さすりさすりと撫で回し続けている。そこに拘束力は全くないが、藤子は祥子に逆らえない。快感の強さか、それとも薬の効果なのか。祥子はここぞとばかりに自分の欲望を藤子へとぶつけていた。まるで玩具で遊ぶような手つきで、くりくりと、すりすりと、服の下で勃起しているであろう藤子の乳首を弄ぶことに余念が無い。

「んぁぁぁっ」

 祥子の親指と人差し指がぎゅうっと藤子の胸の先端を絞り引っ張っていく。

「はぁ、藤子ちゃんかわいい。ん~、お耳もやわらかいねぇ、流石私の藤子ちゃんだよぉ、えへへ、かわいいね、かわいいね?」

 ぺっちゃぺっちゃと耳元で囁かれる祥子の甘い声と、涎に塗れた舌で嬲られる音と、胸の先端からぴりぴりと絞り出される快感が、薬の効果も相まってどんどん藤子の中で理性の箍が外れていく。声を出すまいと我慢をしても、口元は緩みっぱなしなのだ。

「ほら、祥子ちゃん声出して!! 乳首気持ちがいいでしょ!! 私と同じで、こんなおっきくて、こんないやらしくって、やわらかいんだからっ!!」

 藤子の乳はぐにぐにと揉みこまれ、こすこすと擦られ、そして思い出したように摘ままれる。

「はぁ……うあぁ……あぅ……んはぁ……だめ……それだめぇ……ん♡」

 結城祥子が結城藤子に行っている愛撫のそれは、女の子同士の胸の揉み合いっこという行為を完全に逸脱していた。執拗に、そして念入りに乳首まわりを刺激し、くにくにと先端付近を摘まむように揉み込む。乳首にはしばらく触れず、丹念にまわりを揉みしだき、布と突起を焦れったく擦らせて――。

「あ、あぅうう」

 藤子の快感が蓄積したところで、一気に愛撫をするのだ。さっきは人差し指と親指でくりくりと摘まみ上げた。その前は中指でぴんぴん弾いて、今は人差し指をずっぽしと乳首ごと胸に埋没させて、ぐにぐにとかき回している」

「あっあっ、祥子、やめて、やぁっ♡ あっ あっ、だめ、だめ♡」

 結城藤子の体がよじれ、顎が上がる。そこにぬろん、と彼女の耳たぶをなめ回していた祥子の舌がおりてきた。

「あん♡」

 ぬろんと舐め上げる行為は、昨日の武智から学習した動きだろう。当然首すじを舐めきった後に標的になるのは唇だ。

 結城藤子は蕩ける快感の中。
 結城祥子は背徳に震える歓喜の中。

 その、近すぎる距離と、濡れた唇と、お互いの胸で感じるそそり立った乳首に、二人は初めて性的な口づけを意識する。ああ、今から行われるのは双子同士隠れてしてきたスキンシップのキスなど、比べものにならない、濃厚で、性的で肉欲に塗れた接吻となるであろうそんな雰囲気。十数年の思いを吐き出す側と受け止める側。藤子は本当は吐き出す側になりたかった、結城祥子に対して、心の内の思いを、秘めた肉欲を吐き出したかったけれど。

 ぺろ、っと祥子が藤子の唇を舐め上げる。感覚神経が集中する舌の先が呟いている。ざらざらと、ぬるぬるが両立する藤子の粘膜の先っちょが囁いている。やわやわとした祥子の舌の先と自分の舌先がちろちろ絡まる度に出る吐息が雄弁に語り出す。

 ――きもちいから、もういいかな、と

「ん、あ」

 と、二人の声が重なっていく。ちゅぴ、ちゅぱ、ちゅぽ、と絶え間ない粘液の音をリズム代わりに、

「んっ……はぁ」

 と漏れる吐息をベースとして。

「んっ……あっ……藤子ちゃん、藤子ちゃんっ♡」

 結城祥子は結城藤子をいつの間にか押し倒し、そしてのし掛かりさらに藤子の唇に舌をねじ込む。薬で力の入らない藤子は基本されるがままである。祥子は藤子の体にぴったりとすり寄り、足を絡ませ、股間を腿に押し当てる。同時に彼女の膝はぐいぐいと藤子の股間を圧迫しており、たまに行われるぐりぐりとした圧迫に藤子の腰がぴくんと跳ねた。

 結城祥子は今幸せの絶頂にいた。一生適う予感が無いと思っていた自分の夢が適っているのだ。自分たちがSEXを楽しむ為には、共通の恋人を作るしか無いと思っていた。うすうす感じていたのだ。きっと私達は、お互いを犯したく思っていると。だが、当たり前のことだが、結城祥子が結城藤子を犯すと言うことは、結城藤子が結城祥子に犯されることである。

 今までずっと一緒だった。
 それでなんとかうまくやってきた。
 その形が壊れてしまうかもしれない。

 その一点が怖かった。

 だからそう、二人とも。

 犯るなら私が最初に犯りたかった。
 アドバンテージを握りたかった。

 あの大生沢茜だって、あんな簡単に変わってしまった。武智に雌犬みたいに腰を振る淫乱な女の子になってしまった。ならば、きっと、と思ってしまったのだ

 私が惜しみないセックスをしてあげれば、きっとあの子も変わってくれる、と。

「だから藤子ちゃん……。 んふ♡ きもちよくしてあげるからねぇ?」

 仰向けに寝転んでも形が崩れず、むしろ主張してくる藤子の胸に愛しさを感じながら、祥子は、藤子のTシャツの中に手を伸ばす。

 その時、結城藤子は諦めの涙を流し、
 結城祥子は歓喜の涎を口から垂れ流した。

 結果。

「「ひゃぁん♡」」

 結城姉妹は、揃いも揃って、それはそれは可愛らしい喘ぎ声を上げてしまう。

 いったい誰に?
 決まっている。当然この場にいるもう三人目。武智光博その人である。


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