牧村真樹は疲れてぐーすか寝ているし、真堂香も何故か今日は疲れて早めに寝るらしい。ならば結城姉妹と予定を調整して、お先にどうぞとの事であった。
だから、今日は一人だ。一人だからこそ、大生沢茜は意気込んでいた。今日は答えを持って帰ると、邪魔な他人はいない。経験豊富な武智光博の知識と答えを持ってして、大生沢茜はかねてからの悩みを解消するのだと。
とはいえ、他人の男と二人きりの状況はよろしくない。彼女はきちんとジャージを羽織り、ファスナーを閉め、Tシャツとレギンスでガードを堅め、万一に備える。もっとも大生沢茜は武智に襲われるとはほぼ思っていないし、彼氏がいることもいってあるし、その上での相談ということも武智に伝えてある。いざとなったら携帯もあるしGPSの緊急シグナルもあるので、本当に万が一に備えてというか嗜みとしての、厚着《ガード》なのだ。と自分に言い聞かせていた。
もっとも、昨日のアレで今日である。
これから性相談をするのに、意識しないという方が無理がある。
男勝りな性格とはいえ、大生沢茜も現役の高校生なのだ。
大生沢が機材室のドアの鍵を開け、襖を開けると、そこにはモバイル端末をカチャカチャと打ち込む武智が目に入る。
「うーい、おちゅかれーい。祥子達から聞いてるぜ、今日はソロでのご相談ってな」
「う、うん。そのよろしく」
相変わらずの武智の軽さに茜は若干肩の力が抜けたのものの、やはり緊張がとけないのかどこかしらぎこちない。
「まー、素面で話すことでもあるめぇ。まずはいっとけ、甘い方が好きなんだっけ?」
「っていうか武智が場慣れしすぎなんだよ、え、えっちネタだぞ、こっちには死ぬほどはずかしいんだぞっ」
といいつつ対面に座り、大生沢は受け取った缶をぷしゅっと開け、くぴくぴと煽る。お風呂上がりなのも相まって缶の半分以上を飲んでしまい、はたとテーブルに置く。
「そ、それでさ。もうわかってるだろうけど」
「うむ、このエロ娘め。いっぱいイきたいと申すか、ほら、もう一度武智おじさんに聞こえるように言ってみよ」
「うわあああ、やめろぉぉ、く、くそ、これはセクハラだぞ、後で酷いんだぞ、武智ぃっ」
まるで黒歴史を目の前で読み上げられているように、茜は手で顔を覆い、その場で悶える。カッと体がほてり、さらに缶に残っている分を飲み干し、武智からタイミング良く投げられた二本目を間髪入れずあおるハメになる。だん、とテーブルに飲み干した缶を乱暴に置くと
「……まあいい、許すからさっさと教えろ、このエロエロ大明神」
一度恥をかいたらもはや二度目も三度目も一緒だ、とぶつぶつ言いながら、茜は武智を見る。
「んー、まあそうだな。方法は二つあってだなー」
と、ラップトップを横にどけつつ、武智は話し出した。
「一つ目はまあ、正攻法だなぁ、巧君だっけ? その茜の彼氏君に頑張って貰う方法だな、文学部の彼だろ? ちょっと線が細めの。まあ半年ぐらい足腰鍛えて、あとはバイアグラで持続力を確保すれば、一晩中絶倫君の完成だ」
だが、茜の反応はいまいちである。
「うー、巧は体が弱いんだよ。頭はいいんだけど昔から華奢でさ、でもでも、そこがかわいいんだけど、えへへ」
「いきなりノロケか。案外かわいい性格なんだだなお前。男扱いしているバレー部の奴らにも愛想をの振りまいてやれよ。アイツらオナネタが、ネット緊縛プレイとか、バレーボールスパンキングから、ラブちゅっちゅエッチに変わるかもしれんぞ」
と武智が言うなり茜が怒鳴る。
「いーやいやいや、どっちもお断りなんですけどー? え、ってなに、それ、あの、私、その、もしかして、"使われてる"の? そういう意味で? え、まじで?」
「使われているも何も、多分割と、いやかなりめちゃめちゃにされてるぞ。いつも勝ち気なお前は、おセックスになると途端に従順モードが、鉄板ネタだそうだ」
「いやぁぁあ。聞きたくなーい、それ聞きたくなーい。なによそれー、そーいうの真樹のフィールドと思ってたよ、わりかしマジで!!」
「ぶはは、何気に酷いこと言ってるね。まあ真樹ちゃんは中田パイセンと付き合ってることがおおっぴらになったからにゃー」
「それ、何が関係あるのさぁ」
不満げに漏す茜に武智は当然のように言い放つ。わからんのかと。
「いいか茜。"あの"クソが三個ぐらい付くほど真面目を着込んだような中田先輩が、思春期の高校生男子を満足させるドスケベセックスをしていると想像出来る? できねぇべ? あ、これ真樹には言うなよ。もちろん先輩にもな」
「……すっごい失礼で気まずいけど、凄い説得力あるわぁそれ……、てか言えないわよ、そんなこと」
「そういうことだ、お前も巧君とのことおおっぴらにしたら? あ、でもそうなるとオネショタかー、オギャリティ感じちゃうなー、バブみしみ出しちゃうなー」
「やめて、なんか言ってることわかんないけど、飛んでも無いこと言われてる気がするからやめて」
二人の話題が弾むと共に空き缶が増えていく。実は今の会話に大きな矛盾点があったのだが、大生沢茜は気づけなかった。お互い三本目の缶を飲み干したところで、武智がぽん、と手をついた。
「ああそうだ、本題忘れてた。てか茜結構話せるのな。安心しろ今日の経験値を積んだら、エロ経験値で先を行く真樹や香ちゃんとも話が通じよう……、そう、この二つ目の方法を実践すればな」
「……期待してるんだけど。何か凄い嫌な予感がするんだなー、これ……」
ごそごそと鞄をあさる武智をジト目で茜が見ている。
「お、あったあった。巧君強化計画がダメなら、もうコレしか無いな。ほれ」
と、ごとん。とテーブルに武智はあるモノを置いた。その瞬間、大生沢茜は口に含んだ酒を盛大に吹き出す。霧状のべた付いた飛沫が武智の顔面に降り注ぐ。武智は反射的に机上のモバイル端末をささっとどかすが、自らの顔面と上半身は守れなかった。
「……何してくれちゃってのよ、茜ちゃん。端末こわれたらどーすんの」
結果、被害を大きく被った武智が、Tシャツで顔をごしごしと不満げに擦る。
「……な、……な、だからって、これってこれって、なんてものを出すのよ、このバカ武智ぃーーーー!!」
顔を真っ赤にしながら、わたわたと大生沢茜がテーブルに載っている物体を指さす。
「何って極太バイブの鉄人アラブ君、直径五センチ版だ。こいつにかかれば、どんな猛者でも、ぶしゃっと一発、マジイキ1000%間違いなしだぜ!!」
と、ぐいっと拳に中指を食い込ませた卑猥なサイン付きでどや顔する武智に、
「――入るか、こんなもーん!!」
と、茜はテーブルのアラブ君を掴み、そのままスパコーンと武智に投げつけるのであった。
同時にスイッチが入り、う゛いんう゛いんと鈍重なモーター音に加えて凶悪なうねりで荒ぶり出す。
アラブ君だけに。
と、ボケた武智に、茜の座布団が飛んできたことは言うまでも無い。
「わ、きゃ、止めて、これどーすんのよ。止めて止めて、はーやーくー、はーやーくーぅ」
「なに、なんなの。あ、サイズ? サイズがあかんのか? んじゃイボイボついてちょっと初心者向けじゃないけど、こっちのガルガンチュアZはどうよ」
武智の手に新たなバイブが握られ、カチ、というスイッチオンの音と共に半透明の本体がエレクトリカルに光り輝き、うねり始めた。
「ぎゃー、やめろー!! ていうか、なんで光っているのよ、なんで光る必要あるのよー!!」
そんな茜のツッコミを武智はまじまじと彼女の顔を見返し、口を開く。
「あん? 本番中の暗がりでこんな危険物を間違ってケツにでも入れてみろ、飛んでも無い大出血パーリーが始まっちゃうだろうが、手元を明るく照らして危険も減って気持ちがいいし、なんかテンションも上がるという最高の企業努力に気づかんとは、お前、本当はまだ処女だろ。このなんちゃってビッチめ」
「ち、ちがうもん。処女じゃないけど、ビッチじゃないもん。黒いのは日焼けしやすいからだし、外練習多いからだし、私だって普通の女の子だもん!!」
そして、少し下をうつむき、
普通の女の子である大生沢茜は呟いた。
「――女の子だから、ちゃんと、イきたいんだもん」
心の底からの本音を。
外聞を気にすること無い純粋な彼女の欲望を。
武智光博という男に話してしまった。
お酒を飲んで、笑って話して、外面を徐々に徐々に取り払った状態で。
「ああ、それだよそれ。なーんか引っかかってる理由がわかった。茜、お前はちゃんと、男とセックスしてイきたいんじゃん」
武智が気づいたのは、ちゃんと。のくだりある。何がちゃんと、なのかだ。普通にイきたいのなら、玩具でもバイブでも使えばいいと思っていたのだが、どうにも違うらしい。きっと、大生沢茜は普通にセックスして普通にイきたいのだろう。温かい誰かにしがみつきながら、行為の最中に相手を感じながら。
なるほどそうかそうか。と武智は合点がいった。彼氏である巧君と大生沢茜が経験してきたセックスは、絶頂は無くとも、きっとそういう幸せな行為だったのだろう。お互いに認め合い、差し出しあい、与え合う、愛の営み。なるほど素晴らしい。きっと塔田巧と大生沢茜の未来は明るい。この二人は時間が経てば、幸せな関係を気づき、そして理想的な家庭を気づくであろうと。そう、武智は思ったのだ。
だが、唯一の問題は、大生沢茜がその前提で身体的な快楽に興味を持ってしまったことが原因であろう。無理も無い。大生沢茜の体は熟れている、他の生徒と比べても明らかに女っぽい。
「でもさー、茜よーぅ」
武智はため息をつきながら、もじもじしている大生沢茜をみやる。武智の視線が雄弁に大生沢茜に語りかける。"おまえ、自分が言っている意味わかってんの?"と。
彼氏は頼りない。
成長を待てない。
一人遊びはなんか違う。
――誘っているの?
――襲って欲しいの?
なんて、武智は言わない。
それは正しい道では無いからだ。
沈黙の中、武智はぽちぽちとスマホをいじる。指紋認証を解いて、暗号化フォルダにパスワードを打ち込んで、マナーモードをオフあんどボリュームMAX。
そして、
そのスマホをぽいっと、うつむく茜に無言で渡し――。
「ん……ぁううぅあぁあっぁあっ……ぁふわっんんっ♡ ぁあっんんっ♡」
「ぁっあっぁあっ……ぁあっううぅあ、やだぁ……やだぁ……いくぅいってるぅ♡」
スマホの中で、ぱんぱん、とわんわんスタイルで、犯されている少女の映像に、再び大生沢茜は口の中の内容物を大いに吹き出すことになる。
「んんっ! ぁんんんっ! ふわっあふわっ またいく、いっちゃう♡ ひろくん、ひろくーん♡」
「武智、いきなりなんてもん……」
そう言い切る前に、ひろくんというキーワードから、大生沢茜は気づいてしまう。
「……え、これ、神田先輩? ってか校内で、え、え、ええええ?」
「許してぇ、ああぅ許してぇ。もうつまみ食いしないからぁ、……ううぅぁんんっ! んんっ! あっぁ♡」
神田佳奈美の上半身は既に崩れ落ち、後背位と言うよりも、臀部だけ武智に引き上げられて、無遠慮にぱんぱんと肉棒の注挿を繰り返され続けていた。
「へいへい、佳奈美先輩。そんなこといって全然反省してないでしょ。だーめですってば。入学後は最低半年経たないと、新入生には手を付けちゃだめって、理事長《おとうさま》と約束したじゃん、でも、つまみ食いしちゃったじゃん。ダメじゃん?」
行為の間に入る、聞き覚えのある声。
明らかに今、目の前にいる武智光博が、この行為を行っているという証拠。
「 ううぅっんんっ! ううぅんんっ! んぃいいいい、いってる、いってるよぉ、ひろくん、きもちいよぉ……もっと♡ ……もっとぉ♡」
ぐちゃぐちゃという淫らな水音。
リズムよく続くぱんぱんという小気味よい肌と肌がぶつかる物音。
あの完璧美人の神田佳奈美という存在が。
四つん這いになって腰を小刻みに震わせて、振り返れば、
涎と涙をだらしなく溢れさせながら、
――気持ちよさそうに
――嬉しそうに
その映像の中には、大生沢茜が求めた答えがあった。求め、恋い焦がれた快楽がそこにあったのだ。そして、同時に最悪のことに気づいてしまう。今、この場にもその答えが揃いつつある事に。
隔離されたこの部屋と、
自分と、
武智光博という男が、
揃ってしまっている。
そう、茜が自覚したとき。
彼女は選択を迫られる。塔田巧を裏切るか、否かだ。ごくん、と大生沢茜の喉が口にたまった唾液を嚥下する。と同時に彼女は対面の武智を恨めしそうに見た。いったいなんてものを見せてくれるのかと訴えている。
しかし、武智のそれに対する答えは単純なものであった。
「様はさ、挿れなきゃ、セックスじゃないわけじゃん?」
と。
「男にイかされれば、いいわけじゃん?」
と。
うねうねと、見慣れた武智の無骨な指がうねうねと、茜の目の前で動き出す。その指はさっきまで映像の中で、神田佳奈美の尻を掴んでいた指である。気持ちよくて泣いちゃうぐらい、喜んでいた神田佳奈美の体を支えていた腕である。
再びゴクンと、大生沢茜は唾液を飲み込み、そしてくぐもった熱いため息を付く。
と、同時にテーブルの下で、武智の脚が伸ばされる。その先は硬く内に閉じられた大生沢茜の膝だ。脚の親指で、大生沢茜の内膝をちょんちょん、とノックする。びくっと体を震わせて、茜は武智を見やるが、テーブルの上は武智が顎肘でじっと茜を見ている。彼女の様子をうかがうように、試すように。
ちょんちょん、と大生沢茜の膝をノックする。
開かないかなーと。
緩まないかなーと。
なんて、言われてるみたいに。ノックから、のの字にのの字から、すりすりという摩擦に。
膝元からくる多彩な感覚に、大生沢茜はなんで脚の指でこんな器用な事ができるのかとか、そもそも、さわり方がいやらしいとか、いろいろな感情がぐるぐると巡っている。
いつのまにか、触られるという行為を許している自分に気づかずに。
そして、じっと見つめてくる武智の視線から、単に無意識に逃れようと気を抜いた時である。
油断したわけでは無かった。
脚を開いた分けではなかった。
単に、気持ちを緩めたら体も緩んでしまったのだ。
わずかに緩んだ茜の膝の隙間から、柔らかいふとももをふにふにとかき分けて、武智の足指が、茜の股間に到達してしまう。ふにゃんとしたその感触は、茜にとって、武智には絶対知られたくなかったであろう。
お酒が入り、猥談を重ねそして神田佳奈美のあられも無いハメどりを見せられて、健全な女の子の股間が無事なわけが無い。ずっと刺激を求め、渇望していた大生沢茜のいやらしい割れ目は、布の外からやってきた圧迫に、容易にその形を歪めた。
「…………ん!!」
茜が今まで押し殺してきた感覚が、その刺激によって漏れ出してしまう。布越しだというのに、ジャージもレギンスもショーツも何の役にも立たなかった。
「……やめてよ」
と、茜は口では言うが、彼女の体は動かない。視線をそらしたまま、膝は開いたまま。そして、武智の足指は動いたまま。
「あっ……あっ、だ……めっ」
柔らかく解されてしまった割れ目から、クリトリスがこぼれだし、布越しの武智の足指と擦れてしまう。聞いたことが無いような声を出してしまい、思わず腰を引く。聞いたことの無い声といったのは、それをもたらした快感が、今まで感じたことが無かったものだからだ。優しく擦られるいつもの感覚で無い。無骨で乱暴で、だけど妙に後味が残ってしまう。武智の愛撫。
ぐにぐにからくる、じんじんとした感覚。
くにゅくにゅから感じてしまう、びりびりとした痺れ。
彼女の口のまわりの湿り気が収まらない。申し訳なく開いた口の中から無意識に舌が水分をいくらでも供給してしまう。荒い呼吸で唇が乾く度に、溢れそうな唾液を舌で塗りつけ、あまった分をごくんと飲み込んでしまう。
きっと、引き返すならば、今だったであろう。今、拒絶をすれば何事も無く、彼女は今日という日を終えることが出来たに違いない。だが、大生沢茜は無意識に姿勢を直してしまった。
何の気なしに、まるで彼氏との行為のように、体を若干後ろに倒し、両手で支えて、その緩んだ股間をきゅう、っと目の前にある誰かの指に押しつけることだけしか、考えていなかったのである。自ら腰を差し出した分、武智の足指が深く沈み込む。
「……ぁぁううぅっ」
快感と、後悔が同時に大生沢茜の胸に去来する。巧以外に体を開いた後悔と、自ら迎え入れたことで手に入れた快感だ。まず大生沢茜の心にのしかかったのはとうとう越えては行けないラインを越えてしまったという猛烈な罪悪感、それが――
ぐじゅり
と、いうあまりにもいやらしく響いた股間の擦れ音で、一瞬に上書きされてしまう。
ぐにぐにぐに、、ぐちゅぐちゅぐちゅ。
茜が膝を緩めて、股を許したおかげで、武智の足先が縦から横へとなっている。縦割れを横にくにゃくにゃ弄ばれる動きから、筋にそってなぞられて、緩んでしまう。
「あぁあっ……あっっあっ♡」
武智の指に擦られる面積が増えてしまい、茜が感じる快感が嫌でも増えていく。股を開かされて、よりにもよって足の指で好き放題かき回されているという屈辱的な行為なのに。
こんなこと、巧ともしたことがないのに、と思いつつも、大生沢茜は感じてしまっていた。じんじんびりびり来る大量の快楽の波に、いまだかつてない行為に期待してしまう。
そんな気持ちで、茜は武智の顔をみる。彼女の思いが通じたのかどうか、武智は足を引いて立ち上がり、テーブルをまわって、隣に座る。そして無造作に彼女の腰に手を回して、ずるりと、その右手を茜のジャージの中に滑り込ませた。
塔田巧とは全く異なるごつごつな何かが、茜の下腹を撫でて弄る。無遠慮とでも言うべきか、それとも手慣れていると言うべきか、軽くひと撫でしただけで、武智は茜のクリトリスをいとも簡単に見つけてしまった。挨拶代わりのくにくにという皮越しの圧迫に、思わず声を上げてしまう。
「あっ、ふあぁん♡」
それは、今までよりワンオクターブ高い、甘えた声。いつも塔田巧だけに聞かせていた、彼女の素直な甘えた声。
「きもちいか、茜?」
茜の耳元で武智が囁く。同時に股間を弄るスピードが上がる。
くっちゃくっちゃ、ぬっちゃぬっちゃと指の動きに合わせて茜の股間が鳴いている。
「やぁ♡」
茜は口を押さえて被りを振る。気持ちよくないわけが無い。でもそんなことを言える分けが無い。その時、武智の指に、クリが無遠慮に潰される。
「あふっ……んんんっ!」
皮をむきむきされて、撫でられる。
「……ふわっぁあっ……っあっぁあっあっっ♡」
割れ目から溢れる、お汁をすくわれ、まぶされる。
「ううぅううぅん……んあんんっ! っあっ」
ぬるぬるとした粘液を潤滑油にして、ぴちぴちと勢いよく弾かれる。
「やぁぁぁ♡、いやぁぁぁぁ…・…♡」
くちゃくちゃなど生ぬるい。もはやぐっちゃぐっちゃという耳に届く下品な音と共に。
大生沢茜の股間から愛液があふれ出た。
「やだよぅ♡、たけち、だめだよぅ♡、うぅぁぁ、あっ、あっ……♡ きもちぃぃ、きもちぃ……♡」
茜の体がくねるが、武智の左手ががっちりと腰をホールドしているので、いくら彼女が暴れようと、武智との距離は決して離れない。従って彼の右手も動きを止めることが無い。
「だめ……だめぇ♡ もうイったよ? イってるよ?♡」
「ばーか、こんなの序の口、序の口♪ ほら、力抜けよ、そーら」
股間の武智の右手から感じる圧迫感。クリを焦れったくしこりながら、いったい自分の体に何をしようというのだろうかと、茜は不安がる。
「え、やだぁ。だめだよ。……あっ、擦るなぁ、あっ、あっ、あう♡」
つぷぷ、と違和感を感じたとき。武智の指が、自分の中に入ってこようとしていることに気づく。思わず反射的に茜は自分の膣を締めてしまうが、一回いった後の膣壁が、ぎゅうぎゅうと互いに擦れ合い、また体感したことが無い快感の波を彼女の脳髄へと伝えてしまった。
「おお? きっつ、えっろいアソコしてるなぁ茜」
そんなことをいいながら、武智は中指滑り込ませると、くちゅくちゅくちゅくちゅと、茜の膣口を弄ぶ。
茜はやまぬ快楽の刺激の中、自分の股間で蠢く、武智の指をじっとみている。
ジャージの中で股間で蠢く武智の指を想像する。
硬くて太い。
熱くて、強い。
そんな何かが自分の中に入ってくる。
茜は怖いけど期待してしまう。拒みたいけど、押し入って欲しいと。そんな矛盾が彼女の心と思考を埋めてしまう。考えの全てが自分のお股でくにゅくにゅ動く指先のことしか考えられない。
「んあぁぁぁ♡ んぃぃぃ♡」
だから、その最中に優しく耳を舐められても。舌で弄ばれても、すぐに茜は気づけない。濡れの濡れの股間をぬちゃぬちゃされてしまう気持ちよさが勝ってしまう。その首筋を舐められても。髪に顔を埋められ、匂いを嗅がれても。柔らかな頬を舐められても。
茜が気づいたその時には、武智の唇が、目の前にあった。
無抵抗の唇を舐められる。丹念に、ぺろぺろと舐められる。
お互いに濡れた唇をぷにぷにと重ねあう。
ちゅ、っちゅと、茜は優しい愛撫を一瞬受け入れてしまう。
それが、キスであるという事に気づいた茜は、思わず顔を背けるが。
くっちゃくっちゃ、くっちゃくっちゃ、と。
股間の動きが激しくなる度に、また唇を許してしまう。
「だめ、だめだよ、武智……んむぅ♡」
唇が重なり舌が吸われる。くちゅくちゅという下半身の音をBGMに、ため息交じりのディープな喘ぎ声の時間が段々と長くなる。
「んっ…ふっ……んふ……はぁ♡」
ぷはっという息継ぎ、絡まる唾液。
舌と舌がぴちぴちとお互いをなぞり合うたびに、
武智の右手中指が、どんどん茜の膣に沈み込んでいく。
「あっぁ♡……ぁあっ……ぁあっおく、奥が、すごぃ♡……あっあっううぅ♡」
くにゅくにゅという、慎ましやかな水音が、いつのまにかぬっぽぬっぽというだらしなく下品な音に。
「た、たけち、だめ、くる、来ちゃうまたきちゃ――っふわっあっっんんっ!♡」
「んー? なんだよ、巧君のチンコじゃここまで届かなかったんか? ほーれほれ、ほーれほれ。気持ちがいいのはこれからだぞーっと」
「やだぁ、これ、きもちぃ、やば、やばいよ、あっあっあっ♡ あうんっ♡」
ぬぽん、と勢いよく指を抜くと、茜はびくんびくんと体を震わしぐったりと寝そべる。武智はその横へと添うと。無造作に彼女のジャージをレギンスごと脱がす。そしてもはや、ぐしょぐしょになってしまったショーツをぽーんと、投げやり、ぐぐっと茜の両膝を開かせ、赤ちゃんの様にM次開脚をさせた。
「やだぁ、恥ずかしいよぉ……っふあぁ♡」
という茜の抗議は、武智のクリへのぬっとりした舌の動きで、すぐに染め上げられてしまう。たっぷりの唾液と、たっぷりの愛液が混じり合った股間をにゅるにゅる、ぬろぬろと武智の舌が這い回る。
「ああ……ぁんんっ♡ んんっ! んあぁ♡」
ぱっくり割れた谷間全体を吸い付かれ、ちゅるちゅると柔らかい何かが好き勝手に茜のアソコを蹂躙していく。
そこから、しばらくの間、茜は詳しいことは覚えてはいない。もはや彼女が今までささやかな愛撫しかしてこなかったアソコは、武智の無骨な指を二本とも根元までくわえ込んでいる。皮の上から優しく揉まれていたクリトリスは、無慈悲にもその肉芽を外気に晒し、武智の左手で弄ばれている。
そう。
弄ばれ続けている。
「いやいやっ♡ ――わたしまたイクぅううううっ……っんあぁぁっっっ♡」
絞り出す様な、茜その声は膣の奥で本イキだ。ごりごりと、膣壁を武智の指で擦られて、涙を流していきんで、潮がぱしゃっと出る。
「あっあっ♡ あーん。イくイく♡ そう、それ、きもちいの、すごいの、あぁんもっと、もっとぉ♡」
茜のお気に入りはクリイキらしい。手軽に何回もイケるのがよいのか、キスをせがんだり、舌どうしを絡ませながら、イキ顔を見られるのがいいらしい。
「ひゃぁ、それやらぁ♡、だめぇ、らめぇぇぇ♡」
しかし、一番の甘え越えを出したのはアナルを舐め上げながらの三所攻めである。まんぐり返しから、みずから足を抱え込んで。ぴちゃぴちゃとふやけたアナルを舐められて、くにゅくにゅとクリトリスを揉み込まれ、潤った蜜壺をかき回されて、
「んあぁぁぁ、いく、イクイク♡ いくぅ、ああんっ、――きもちぃぃいいい♡」
そんなはしたない嬌声を上げながら、自らの股間から吹き出した快楽の飛沫をその顔に受けながら――。
堕ちていく。
堕落し、取り込まれていく。
武智光博という男の欲望に。