マスター☆ロッド げいんざあげいん

魔王トールとリヴェリタさん②


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 ヴィンランドル王国城下正門前。対魔王征伐隊としてまずは先制の一撃を見舞った彼女達はそこで足止めを喰らっていた。バージ砦から魔都と化したヴィンランドルまで向かうリヴェリタ一行の前に敵らしい敵は現れていない。支配者の杖の射程外から放たれた支配者の剣と第三世代株分け十一本による斬撃は、砦から魔都までの一筋の道を作り、周囲を取り巻く結界を吹き飛ばし、王城ごと断ち割るに至った。おそらく魔王は内部を修復するのに手一杯で力を思うように行使できないはずだと彼女達は推測する。

「力が使えないなら、株分けなり配下の軍なり出てくると思ったのですが」

 副官であるセシリアが眼鏡をかけ直しながら呟いた。実は彼女達は拍子抜けしていたのだ。この大斬撃の御技は比類無き攻撃力だけではなく、その斬撃跡の上にも概念効果を発揮し続ける攻防一体の奥義である。この斬撃跡上で敵を迎え撃つ限りこちらの優位は揺るがない、そんな目論みであった。なので彼女達は抵抗らしい抵抗をせずに、沈黙を守る魔都とその正門に対して、わずかばかりの不気味さを感じていた。大斬撃で断ち割れたはずの正門は今や元通り。正門からの角度ではもはや見えないが中の王城も同様だろう。アーシアやリリアン達がてーい、だのよいしょぉだの門を切りつけているがビクともしない。

「もう一度概念同期(イデア・リンカー)を使いますか?」
「……いえ、その必要はありません、どうやら動きがあるようです」

 開かずの魔都正門の中心に光の亀裂が入る。重い音を立てて周辺を覆うダンジョン構造体が蠢き不気味な産声を上げた。開かずの扉がゆっくりと開き、不吉な何かを連想させる気味の悪い音が響き渡る。そして、少女達は光の中から出てくる存在に目を見開く。仰々しく現れたその男は片手に黄金の杖を持つ褐色の男。遠視投影の魔法で全世界に顔が割れている魔王その人が直々に彼女達を出迎えたのだ。

「あ~、リヴェリタちゃんとやら、随分とお痛をしてくれちゃったじゃないのん?」

 褐色類-全裸目-権太科-カリ高属-魔王種。今日もご立派な第三の足をぶるんぶるんさせながら、魔王トール様が少女達の前に登場した。厳かとはほど遠いがこの空間の空気が震える。そう、目の前にいるこの魔王は確かに只者ではないのだ。支配者の剣を持つのならばわかるであろう、圧倒的な何か。生半可な行動など言葉一つでひっくり返されてしまう概念戦闘が火ぶたがいつ切られようともおかしくない中、緊張と圧迫を持った静謐の間合いにらみ合うトールと支配者の剣十二本の使い手達。目に見えない圧力がぶつかり合い、鎬を削る。そして均衡が崩れる、そんな予感が誰かしらに走ったときだ。

「で」

 最初の一言を零してしまったのは、おそらくこのメンバーの中で一番の常識人であり、客観的な視点を持っていたアーシア(十●歳)。

「でっか!!」

 思ったことを何でも素直に言葉に出してしまう明朗快活なこの少女は、ついに目の前の事実に耐えきれずに言葉を漏らしてしまった。

「……アーシア」

 副隊長のセシリアが彼女を諫めるが

「いやだって、セシリアさん。やばいですって、なんですかアレ、なんかごん太な何かってレベルじゃないですってばーっ。あんな化け物に責め苦を受けたら絶対リリアンなんか壊れちゃいますよ。いっつも猫被ってるシャーロットだって絶対イき狂わされていえーい、今私犯されちゃってまーすとか全世界にアへ顔放送されて、男勝り気取ってるラコ先輩だって一瞬で牝犬になってやだやだぁとか素直で意外な一面見せちゃうヤツですよぅ。は、うわああああ、あの巨大なおたまちゃんから出たド汚い爆濃白濁液でセシリアさんのメガネが、メガネがああああああ!!」
「……こらアーシア、へんな妄想はおやめなさい、大体私のメガネは神聖なメガネです。そんなはしたない男の精液などに絶対屈服しません!!」

 なんの地雷を踏んだか知らないが諫めるべき立場のセシリアがあっというまに同じレベルにまで転げ落ちる。

「り、リリアン。あ、あれくらい平気だもん。何するかわかんないけど大丈夫だもん!!」
「てめぇ、アーシア。それをいうなら俺より、マリーとサリエラだろ。体つき的に絶対男好きするって、ていうか気取ってるってどういうことだこら」

 リリアンとラコが反論するなか、シャーロットが続く

「し、失礼ね。猫かぶりはシーラさんやクラネスさんじゃないですこと? ていうかなんで私だけ犯されているのに楽しんでいるんですかっ、訂正を、訂正を要求します!!」
「シャーロットさん、私達猫なんか被ってません。私とクラネスはどちらかというとネコじゃなくてタチ側です!! 誤解されるような言い方はよしてください!!」
「そうそう。大体ネコはシャーロットじゃん。いつも強気責めから一点攻勢されてお潮噴いちゃうのは誰でしたっけー?」
「あーあーあーあーあーしーりーまーせーん、そんなのしーりーまーせーん」
 
 巻き込まれて暴露されたシーラとクラネスがシャーロットにつっかかり、
 数人を残して、新しいタイプの自爆拷問が繰り広げられた。

「あー……君らは参加しないの?」
 
 その光景に珍しくどん引きしているトールが呟く。

「あ、私達けっこう男大好きなんでー」
「さようかー……」

 すっぱりとマリーとサリエラは言い切る。視線の端でトールのチンコをがっちりと捕捉ているところを見ると、どうにもこうにもガチの肉食系らしい。

「えー……そちらの君たちは?」

 同じく一歩引いているエレーティアとキャロルに問いかけると

「あ、自分リヴェリタ隊長専門でありまーす。ガチレズレイプ純情派でーす」
「あたいオナニストなんで」
「で、ござりますかー……」

 そしてわいわいと騒がしい自爆問答へとトールは向き直る。
 そこには現状の純情な乙女の惨状を前にうろたえているリヴェリタがいて――

「くっ魔王めっ、さては既に精神汚染の概念魔法を――」
「いや、使ってないから」

 ぶんぶんとトールは顔の目の前で手の平を振る。彼に珍しく真顔である。
 思わず二度見をするリヴェリタ。

「……」
「なんも、全く、欠片も使ってない」

 彼女に対してうんうんと頷くトール。

「……」
「……」

 沈黙と喧噪の中、いたたまれない空気が蔓延する。

「だ」
「だ?」

 リヴェリタが口を開けた。

「だーっしょい、こんこむすめんぽろちきだったとりやがねぇ、ころごもっすらぁ」
(訳:だああああ、いいから黙れこのクソ○ンコどもが、ケツからてぇ突っ込んで口からだしてやるぞおんどるぁ)

 それは割とどぎたないヴィンランドル地方北部弁であった。
 その瞬間副隊長セシリア以下、十二人の乙女がビシリと直立不動で整列する。

「じけんつっがらおのごれぇあんだんでるっちもぁべろんぐもんねぇえ!!」
(訳:お前らみたいなクソ尖った変態クソ○ンコどもボスは誰だ!!)
「リヴェリタ=アーカス隊長であります!!!!」 

「あんだらったじゅうじぜいきょうら、こそどばゆっぞうろっぞ?」
(訳:教会ではみ出しモノだったお前らに力を与えたのは誰だ!!)
「リヴェリタ=アーカス隊長であります!!!!」

「もんごろぐっぞいんがもんろぐぐんげろう゛ぁぁりぶれぁあ!!」
(訳:それなら黙ってお前らくそ○ンコどもの役目を思いだぜ、お前らの主人は!!)
「リヴェリタ=アーカス隊長であります!!!!」

 かつん、と踵を返し、リヴェリタが振り返った。
 そこに、驚くほどの冷たい笑みを張り付かせて。

「よろしい、魔王は?」
「殺す!!!!」
「力は?」
「奪う!!!!」
「国は?」
「潰す!!!!」

 それは明確な殺気。今や彼女に付き従う十一人の乙女は全員概念魔法の影響を完全に受けている。

「いけませんね、ちょっと緩めるとすぐこれです」

 こき、こき、と首を鳴らすリヴェリタ。  

「なるほどねぇ、こりゃあ正十字の爺さんも君たちを持てあますわけだ」

そういってトールは次元の狭間から一つの書簡を出し、彼女へぽいっと投げ渡す。リヴェリタはそれを無造作に受け取り、中身を読むとそのままぐしゃりと握りつぶしてぽいっと放る。

「――裏切りましたか、あのクソ教皇」
「リヴェリタちゃん、正十字教会の名を傘に結構ヤバいことやってたみたいね。例えばなんの罪もない信者の女の子達を私的な操り人形にするとかさー」

 彼女の後方に整列し居並ぶ娘達を見ながらトールは呟く。先ほどの彼女達の情緒不安定さもリヴェリタの支配の歪みからでてきたものだろう。だがそのトールの言葉に彼女の表情が酷く崩れる。それは怒りという表現ではおさまらない、憤怒とも激情とも取れる感情の動き。

「魔王、それを貴方がいいますか。私の国を、私の姫様を、あんなにも傷モノにした貴方に――。今度は貴方の番です。眷属もろともひねり潰して差し上げましょう」
「うんにゃ、別に悪いと言ってるわけじゃない。ただ俺たちが持っているコレ(支配者武器)はそんな動機や感情じゃあ、ここまで根付かないんだよなぁ」

 そういってトールは腰を落とした。同時にリヴェリタも剣を掲げる。

「支配者要求(ルーラーリクエスト)――」
「支配者要求(ルーラーリクエスト)――」

 二人の支配者の詠唱が始まり。

「神器業成(ザ・ワン・サイザー)」
「刃偽変成(フェイカ・ブレイズ)」

 トールの支配者の杖に槍と剣と符が合成され、長槍のような形状に数個の光のリングがまとわりつき、その周囲を符が周回している。一方、リヴェリタ以外の乙女達が消失。その身を黄金の武器に吸い取られ、十一枚の刃となってリヴェリタの後方に翼のように浮遊し展開する。奇しくも両者がとった行動は武器の錬成による力の集約。その瞬間リヴェリタの口の両端がつり上がる。斬り合い、突き合い望むところである。強制的に常時概念同期(イデアリンカー)状態の自分に断ち切れぬものなどない。砂粒の一つよりも小さな物質になるまで触れれば断ち割れ続ける大斬撃の十二連撃。どんな陣も防御も攻撃も、究極の斬撃概念の前に無限に断たれ続けることになるのだ。

「――さあ、いきますよ。」

 自信満々にリヴェリタが剣を掲げたその時である。

「あーんど、――淫従召喚(サモン・ザ・フリーク)」

 トールの二重詠唱が完了する。神器業成したときにのみ、それを核として召喚できる完全自立型究極決戦概念神獣。

「いでよ、あらゆる形状の触手による乳首弄りとアナル開発が大々大好きで、特に騎士とか修道士とか姫とか気の強い女の子目がなくて、半日はイクにイケない焦らしプレイがデフォルトで、苗床プレイの疑似体験もできるけど、別にお願いすればいつでも吐き出してくれる優しさを持ち、二十四時間不眠不休で働き続ける全攻撃無効で忠実な、ぬるぬるした生暖かい生ものぉおおお!!」

 トールの叫びと共に合成された概念神器ビカーッと輝き、がしがしごりごりずごごごと空間自体がパックリとそぎ落とされた。まるで異なる世界から今世に流れ落ちる異物が真っ黒に切り取られた空間からまろび出ようとぐいぐいと身じろぎ――

 どぷん

 と、ついにその黒い空間からおぞましく背徳的な何かが流れ出てしまう。無形の塊は現在進行形で蠢きこの世界の魔力や物質を取り込み受肉を始めた。そんな隙だらけのトールと謎物質を前にリヴェリタは動けない。
 当然である。嫌でも一定の力があるものならわかる。目の前に蠢く奇妙でおぞましいコレは、間違いなくこの世界の何かを司る高次元の何かだ。それも概念武器に力を供給する側のような圧倒的高位存在。この世界のルールを司る神。そんなものを一部でも前にして正気でいられるだけまだマシなのだ。これが普通の人間であるならば発狂していてもおかしくない。

 そして正円・真球に受肉した肉体からずぼぼと手足が生え揃う。現世で言うところの一昔前のバレーボールのマスコットや巨大ロボットアニメにでてくるボールっぽい形状のナビゲータに、冒涜的にも逞しい人間の手足がにょきにょきと生えて蠢いた。これがつるつるの皮膚ならまだ見ていられるが、もれなくおっさんの手足として形成されている。そして球の真ん中にびしりと割れ目が入り、ぎょろりと巨大な目玉とお口が現れた。

「う゛う゛……ぁあわワ、わこそはぁああ、エログチャ・ロドリゲレレーロ・エクストゥス・アリリナアーレ・チクネブリィ……」

 別次元から響き渡る声と共に頭部からうねうねと触手が現れる。そしてぶあっさと体を捻り触手が七・三に分かたれ、

「いえーいエロエア君、ひっさしぶりー」
「……イイイィい? あ? あー! トール氏ー、トール氏じゃないですかー。久しぶりぶりでござるよー」

 ぱん、ぱん、と海外の映画で陽気なヤンキーがやっていそうなハンドシェイクが軽快に行われる。そして、

「紹介しようリヴェリタちゃん。彼はこの世界で遥か彼方古代からアナル開発と乳首弄りを司るエロエア君だ」

 そんな巫山戯た神がいてたまるかぼけええええええええええええ!!
 とは言えなかった。
 既にリヴェリタの胸に、かの生ものの触手がにゅろん、と伸びていたからである。

「ふやぁん」

 なんと恐ろしいことか、服の上からちょろりと撫でられただけでもこの感覚。まるで直に彼女の右乳首を、三十分はぬっとりこしょこしょした案配にまで崩してしまう恐ろしい力。刃化の概念魔法がとけて、十二人の乙女達がその場にどさっと投げ出される。

「お、トール氏ー、今回の贄ってあの娘達? あの娘達? わー、拙者たぎるでござるよー、ドフフフ、ヌプゥ」
「ひ、卑怯な、こんなの卑怯ですわよ」
「そんなこと言われても元々十二対一じゃん? 卑怯はどちらかといえばそっちじゃないかなー。あ、安心して欲しい。エロエア君は乳首とアナル専門の最高触手神なんで――」
「拙者が嬲って」
「俺様挿れる」
「イって噴いたら」
「拙者がすする」
「と、相性は、ばっちりなんで是非とも安心して欲しい」

 ビシリとポーズを決める変態魔王と安心して欲しいでござる、と続く変態最高神。
 リヴェリタは尚も抵抗しようと剣を取るが、刃化が解けたアーシア達に止められる。

「だめですって、リヴェリタさん、アレほんまもんのやべーやつですってば」
「に、逃げましょうよ。私達このままじゃ割と酷いことされて、世界の男共の夜のオカズにならんじゃいますって」
「たいちょー、なんだかよくわかんないけど、リリアンまだお尻の穴は清く正しく使いたいです!!」

 と隊員達が彼女を諫めるが、
 リヴェリタは頑なに撤退を拒んだ。

「なりません!! 良いですか。私達はなんのためにここに来たと思っているのです、思い出しなさい!! 貴女達が自ら私の人形になるべきと決めた、あの決意を!!」

 そして、叫ぶ。魂の叫びを。
 その叫びは隊員達の本来の願いだ。
 彼女の檄は乙女達の究極の思いを今この場で明確に思い起こさせた。
 彼女達の目に再び光が灯る。
 そう、かの十一人の乙女達はなにも無理矢理付き従わされていたわけではない。
 彼女たちは彼女達なりの何者にも代えがたい目的があったのだ。

「そうだ、私はあの王女様とラブラブ貝合わせをするめために!!」
 元気いっぱいの快活少女。二つのお下げが特徴のアーシア。

「リリアンは、リリアンは、あのクソ生意気に可愛い王女様に激しい手マンで垂直に潮を噴かしてあげるために!!」
 常に正十字を手放さない最年少でマスコット的存在のリリアン。

「わたくしはっ、あのローラ様のにお尻をぺんぺんされながら、ワンワンプレイを!!」
 清楚で慈愛に溢れたまるで修道女の鏡のようなシャーロット。

「いやー、ローラ様はぜったい露出似合うってー、市中引き回せるってー」
 寡黙でつっけんどんだが、兵士達への差し入れをいつも忘れないサリエラ。

「はぁ、ローラ様の貧乳一日中しゃぶっていたぁい」
 修道女にするのがもったいないぐらいのスタイルで人気だったマリー。
 
「お、俺はそのなんというか、同意の上というかだな、そのな」
 男勝りで兵士達と腕相撲など勤しんでいたが、割と素がが可愛いラコ。

「つまりローラ様とレズ3P」
 前髪が長くて素顔が見えにくいが、とても美人なクラネス。

「はい、ローラ様のアナルを責めている隊長のアナルに挿れたいであります!!」
 隊長大好きを決して隠さない百合娘のエレーティア。

「あたい愛用のバイブでローラ様とオナニーみせっこしたいんだ」
 料理がとても上手く、厨房の花であったキャロル。

「ローラ様のおしっこのみたい。私のも飲ませたい」
 面倒見が良く水仕事も進んで引き受ける世話焼きのシーラ。

「ローラ様に首輪を付けて、お尻にヒールで靴跡をつけるのが私の夢!!」
 副隊長であり、参謀でもある。頭がきれる眼鏡娘、セシリア。

「うああああああ!! ローラ様のアナルもアソコも私のものなんですぅうううううう!! ぐっちゃぐっちゃのべっちょんべっちょんに犯すんですぅううううう!!」
 そして、隊長でありヴィンランドル王国の元貴族、リヴェリタ=アーカス。

 彼女達のクッソ変態極まるガチレズな正直な叫びともに、支配者の剣十二本が再び輝きを取り戻した。

「みんな、ここが正念場よおおおお!!」
「イエス・マム!!!!」
「う、おおお、これは一筋縄じゃいかないようだぞ、エロエア君!!」
「プフォォ、望むところでござるよ、トール氏ぃいいい!!」

 そんな地獄な現場を遠視投影で覗いていたローラは、

「これどっちに転んでもやっべーやつですわ」

 と、逃げようとするのだが。

「か、体が動かない?」

 既に戦いの余波が彼女の場所にまで干渉を始めているのだ。まずい状況である。かつてない規模とスケールの変態同士の戦いが現実を侵食し始めているのだ。ローラは反射的に支配者の剣を抜き、ばきんと周囲の権限の書き換えを行う。しかし、拘束が解かれたその時である。緊急用の遠視投影が開いて

「ろ、ローラ様。なんかヤバいです。なんか変な触手と修道女がーぁ、きゃ、ふぁぁぁ」
「お、アルテ氏じゃないですかー、こんにちはついでに楽しむでござるよ~」
「お、なんかリリアン屈服させがいのある青髪僕娘を見つけたです、即手マンするです!! 噴かせるです!!」
「やっ、やぁっ、なんでこんな小さい娘が、ふぁぁぁなにこれぇええ、やだやだ、触手でつんつんだめぇ」

 というところでぶつんと通信が切れる。
 ローラの顔から一気に血の気が引く。
 なんだかよくわからないが、いつの間にか自分がターゲットにされてる。
 いやそれは、まだ百歩譲っていい。
 しかしである。
 万が一あの節操の欠片も持たない変態乙女十二人とトールとよくわからない最高神が、
 変なタイミングで自分の目の前に揃ってしまったら――。
 自分の身に降りかかるであろうとんでもない災厄にめまいを起こす。

「に、逃げなきゃですの。壊されちゃう前に――。ど、どどどこか、できる限り遠くへ!!」

 こうして魔都内における不思議な戦いが始まったのだ。

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ぬける  
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