マスター☆ロッド げいんざあげいん

第三話 魔王トールと生徒達(2)


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 ぶるん、という擬音はどのような場合に用いられるべきであろうか。少なくともある程度の大きさを持っていない物体ではぶるんという力強さには及ばないであろうし相当の長さもないとぶるんという表現には似つかわしくない、その精々がぽろんとかぺろんとか可愛らしいもので収まるはずなのに目の前にある存在感は下手をすればぼろんとかでろんとかも表現できてしまう危ういオーラを出している。

 当然うら若き1年生である少女達にとってはある程度の知識はあれど、実物も写真や映像でチラ見するぐらいでこうして生のぶるんでろんぼろんを受け止められるほどの精神的許容量も正気度耐性も用意がない。

 一瞬で精神が焼き切れ、現実認識のために思考パターンが再起動する。自分たちの担当教師である、あの勇者ハルマのパーティーの一員にして屈指の魔法使いであるロリば、いやに20代後半しては幼い顔立ちだけどボディは実力派とか言われているステラ先生に自分たちの悩みと目的を相談したところ、自分は専門外だから他を当たってと紹介された先へ訪問したのであり、さらに彼女の

「よかったね、貴方たちの願いはきっと叶う」

 という意味深な言葉に期待半分、不安半分でこのドアを叩いたはずであった。だが自分たちの目の前に現れたのはあのぶるんぼろんでろんであり、これは何かの間違いだとリアラとアキはお互い目を合わせ、無言でドアを閉める。そして二人は改めてドアのネームプレートを確認すると、

 トール

 と、そこには書いてあり、再び二人は目を合わせた。

「アキちゃん、どうしよう? 私、またこのドアを開ける勇気がないよぅ……」
「そうねリアラ。でももう開けなくていいんじゃないかしら、割と二度と」
「いや、用があってきたんでしょ? ――失礼な。でもかわいいから許す。おっけい」

 と、突然上から聞こえてきた声に二人が見上げたその先には、上半身をドアからにゅっと出してサムズアップしている男の姿であった。

「え?」
「は!?」


 驚きよりも先に二人は声を上げてしまう。しかもアキに至っては不愉快といっていいほどの不満げな声。それも無理はない。アキは心中このように毒づいていた。

 この男は今、いったい何をしたのか。

 王立魔法学園の研究室にはそもそも研究内容や技術を守るために屈指の魔力抵抗術式が編み込まれている筈である。当然生半可な攻撃魔法は全て無効化されるし、透過、浸透、座標系の移動呪文だってその干渉を許されない。なぜならこの壁は絶対結界と言われているキャンプの実が応用されており、内部と外部を分け隔てるという力についてはこの国の最高位の魔術師であっても及ばない神秘の力の筈だ。それを事も無げに、儀式の時間も無く、呪文詠唱も無く、魔力発動の痕跡も無く、対象物の破壊も無く、にゅっと顔を出すという物質透過を披露されたのだ。

 リアラは驚きの先に希望を見つけ、
 アキは理不尽の先に答えの存在を感じてしまった。

 リューイ以外の可能性を。
 彼の槍より、具体的で確実そうな、願いの解決手段を。
 もしかしたら、と期待を持ってしまった。

 二人はしばらく見つめ合いそして意を決したようにお互いに頷き合う。

「――アキちゃん」
「うん、行きましょう、命までは取られないでしょ」

 二人はドアを開かされる。
 甘美で抗い難い、希望という罠に誘われて。

 部屋に入った二人を迎えたのは、相変わらずのガテン体型の全裸のトールであったが、二人ともとりあえず全裸という事実よりもコミュニケーションを取る利益が上回ったらしく、入室し、対面するまでは全裸という事実に臆すること無く頑張っている様であった。

「先ほどは失礼いたしました。その、私たちの年代では男性の裸体を見慣れてないものでして……」

 アキの言葉は半分嘘で半分本当である。
 その手の映像やリューイのものはチラ見したことはあるが、こんな規格外なものは見たことがない、が正解だ。

「あ、そうだね、ごめんね。いやー、つい服を着るの忘れちゃってさー」

 あっけらかんとしたトールの返答にリアラとアキは、はぁ、としか反応できない。

「ステラちゃんの紹介だったね、話は聞いてるよ。まずは座ってよ、あ、そこのソファーはお客様用だから俺が直に座ってたりしないから安心して座ってね?」

  と、トールは応接スペースらしき所に移動した。リアラとアキが視線を移すとそこには中々に柔らかソファが二つ、小さいテーブルを挟んで横に並んでいた。

「失礼します」

 とリアラとアキがお互いに目配せをしてソファに座る。

「やぁ、それにしても今まで大変だったね、東の辺境からアルバまで色々とあったろう、まずは溜まった疲れを癒やすといい」

 と、トールが和やかに笑ったところで、ソファにもたれかかったリアラとアキの視界がゆらり、と歪む。

「ふぁ……」
「リアラ!? く、これは……んっ……あっ」

 何故、私たちのことを?

 などと問い返す隙のなく、圧倒的な行使力もった何かが二人の体から、立ち上がる、身構える、抵抗するといった選択肢がごっそりと奪いさり――、




「あ゛~」
「う゛~」


 数分後、10代女子に似つかわしくない間抜け声を上げながらリアラとアキはソファに全身を預けていた。

「どうよ? 俺の自信作。人をダメにして尚かつ癖になり決して逃がさない魔法のソファ。疲労回復、代謝活性、心身調律、美肌効果、緊張緩和、その他色々詰め込んだ傑作だよ」

 おっさんのような二人声をバックにトールのそんな説明が二人の耳に入っては抜けていく。

「いや、その確かに気持ちいいし、疲れも取れましたし、緊張も解けたんですけど……」

 ぐったりしたままアキは辛うじて声を出した。しかしその隣では、

「ふぁぁ、アキちゃん、どうしよう、気をつけているんだけど段々足が開いちゃうよぅ……、それでそこをすかさずトール先生が覗こうとしてくるよぅ、でも凄い肩が軽くて、居心地良くて、あ゛ーもう悔しいけど力抜いちゃう抜けちゃう、足が開いちゃうけどダメダメダメぇ見えちゃう見えちゃう、でもすっごく癒やされちゃうぅ――」

 と、顔を真っ赤にしながらフレアタイプのミニスカートを押さえるリアラがいた。

「私の友達が色々とダメになりそうなんで解いてもらえません?」

 とアキがトールに話しかける。

「君は随分余裕だねぇ。えーと、アキちゃんだっけ」

「まあ、私はタイトスカートタイプで余裕ありますし、ぶっちゃけ少しぐらい見えても問題無いですし、さっきから少し覗かれてるのもわかってますし、とりあえず効果のお礼ぐらいはもう少しぐらいいいかなって――、あー、でもちょっとまってなにこれすごい。もう、別にもう一時間ぐらいぐっすりでもいいかなー私は」

「ふえええぇ、アキちゃんがいつの間にかダメになってるぅ。まさかの余裕から自堕落に堕ちちゃってるよ~、先生とめて、もうとめてぇ!! でもとめないでって気持ちはあるけど、止めてくださぁい!!」

「まあ、いっか、撮るもの撮ったし」

 手足をぱたぱたしつつも決して立ち上がらないリアラと澄まし顔でぐでんと体を預けつつあるアキの体を支配していた快癒性伴った幸福感と満足感がふわりと消え去る。

「さて、頭がすっきりしたところで話を進めようか、まあ大体わかってるけどね」
「と、いいますと?」

 まだぼんやりとしているリアラよりもアキの方が早めに覚醒したらしく、トールの意味深な発言に質問を返した。トールはにんまりして、人差し指を立てる

「君たちは故郷を救いたい。具体的には半永久的な水源、もしくは安価に大量の水が補給できるような仕組みを君たちの故郷に確保したい」

 それは的確な答えだった。強いて言えば前者はアキが目指し、後者はリアラが目指していることだ。

 よく調べましたねとのアキの訝しげな表情に、トールはステラちゃんから色々と事前に聞いたからねーと、応える。アキはなにげにステラが自分たちのために傍目以上に骨を折ってくれたことに感謝し、そしてこのトールという怪しい教授も巫山戯対応をしてきたが割とまじめに自分たちの話を聞いてくれそうだと感じた。

「あの、それで――」
「アキちゃんは今出回っている魔王領の便利道具で距離や空間を無視した物があることに気づいた、そしてそれを応用すれば――」

 アキが話を切り出そう、とした時だった。トールの目の前に手の平サイズのキューブが二つ現れる。赤のキューブと青のキューブ。テーブルの上にはいつの間にかコップが用意されており、トールの手にはティーポッドが握られていた。そして赤のキューブに無造作に紅茶がそそがれる。赤いキューブに注がれた紅茶は決してあふれること無く。いや中に吸い込まれるように消えて、同時に青のキューブからトポトポと紅茶が流れ出て、目の前のコップに注がれる。

「こんなことができないか、とか考えた」

 アキは言葉を失っていた。今見せられた光景。これはもはや答えだ。しかも完璧に近いと言ってもいい百点満点の解答である。アキは考える例えばこのキューブの片方を

「そうだね、このキューブをちょろっとこの大陸の最大の大河にでも沈めて、もう一個を故郷に溜め池でも作っておけばいい。なーに、灌漑工事は鉱石掘りと共通する技術だ、受け皿は住民総出で行えば事足りるだろうし、ついでに農地開拓も始められるんじゃ無いかな」

 まるで心でも読んでいたかの様なトールの言葉に、アキははいとしか言えなかった。思考がまとまらず言葉にならない。なぜ、ここまで見透かされているとかという疑問にもたどり着けない。

「そして、リアラちゃんは、こんなことをしようとしていた。」

 同じくリアラの前に今度は2メートル四方のキューブが現れた。リアラに用意されたコップの前にキューブから蛇口が伸びる。おそるおそるリアラが蛇口をひねると、とぽとぽと紅茶が注がれて、

「なんで……、注がれた後も消えないんですか?」
「魔法で呼び出した物は魔素が無ければ維持されない、これは魔法の常識だったね?」

 火でも風でも水でも土でも、術者が提供している魔素がなくなれば無に帰る。何かを燃やし尽くすにはそれなりの魔素を注ぎ続けなければならない。体を水で潤すには魔素を供給し続けなければならない。魔素の供給が拙ければ、木は燃え残り、そして潤した喉は跡形もなく乾き始めるであろう。魔法は無から有を生み出せる物では無い。魔素との等価交換の結果である。もしそれを上回る物があるとすればそれはもはや魔法では無く。魔法という物をこの様に定めたという定義を書き換える神様の様な力に他ならない。

「はい、だから、何故――」
「――消えない水ということにすればいいんだ」

 リアラは思う、そんなことは出来ないと。だがしかし、目の前にまじまじと結果を見せられているのでぐうの音でも出ない。

「これを、概念魔法と呼ぶ」

 こうして、2つ目の答えが、二人の前に提示された。両方とも文句なしの解決策である。しいて言うならば前者は半永久的なインフラ構築による解決で、後者はより安いコストで何回も行うことで供給を可能にする術である。

 二人の願いは叶うのだ。それも理想に近い形で。
 そんな希望にリアラとアキの心は一瞬高揚をするが、直ぐに事の大きさに絶望する。

 今目の前の怪しい全裸ちんぽが提案した方法は確かに自分たちが求めていた答えかもしれない。そしてきっと本物なのであろう。だがそのどちらもが一体習得までにどれだけの月日が必要になるのであろうかと。目の前にいるトールという人物がどのようにして体得したのかはまだしも、自分たちが少なくとも残りの人生すべてが最低ライン。それほどのものではないのだろうかと。

「まあ一ヶ月だろうね」

 今度こそ、二人の頭は完全停止した。

「一ヶ月ほど毎日俺のちんぽをしゃぶしゃぶしてもらえれば、身につくかな?」

 そして追い打ちのように響いた彼の言葉に、二人はがっくりと肩を落とした。やはり、答えなど無かったと。自分たちはステラ先生に担がれたのだと。考えてみれば世の中にそんなうまい話などあるわけが無い。目の前にいるこの全裸男は単に色欲にまみれた変態で、ステラはめんどくさい相談をしてくる生徒を厄介払いしただけと考えた方がしっくりときてしまう。

 あまりの悔しさと惨めさに、二人の目頭から涙が溢れる。リアラなどは両手で顔を覆い、すでに伏してしまっている。アキはリアラの肩を叩き、侮蔑と後悔の眼差しでトールを一瞥すると、無言で立ち上がった。わき上がる怒りで拳を硬くして、退室しようとドアへと振り返ったその先に、

 にゅっと、先ほどと同じように上半身を壁から生やしたステラがいた。

「……ちょっとトール。私の大切な生徒になにしちゃってくれてるの?」
「え、相談を受けたよ? 紳士的に、まじめに、俺らしく」

 壁からステラの全身が抜け落ち、とん、と床に着地すると。

「……ステラきっく」

 という声と同時に、それは物の見事なステラのドロップキックがトールの顔面にめり込んだ。

「……違う、私は真摯に、本気目マジメに教育者らしくって頼んだ」

 顔面から両足を生やすという世にも奇妙な光景がリアラとアキの目の前で広がっていたが、二人が興味を持ったのはそんなことではない。

 今、ステラも壁を抜けてこなかったかと。

「……どうせトールのことだから、問題解決したければ孕めとか肉便器になれとか、処女のままアナル開発されろとかいったんでしょ」
「いやいやいや、いやいやいやいや、さすがに俺もそこまでいってないというかアナル開発はステラちゃんの趣味でしょそれ」
「……そうだけど問題はそこじゃない、トールは一番大事なせつめいしてない、それなしじゃトールはくそくず生ごみ男ってののしられてもしょうがない」

「「じゅ、重要なことって……!!」」

 なんですかと、言葉は続かずともリアラとアキの表情が語っていた。
 ここまで目の前で理不尽を見せつけられて、はいさようならという訳にはいかない、と。

「……わたしがせつめいする」

 そういってステラはトールの顔面から降りて、そのまま椅子代わりにトールの膝にすわる。その後ろでトールの陥没した顔面がまるで巻き戻しのようにぼこんと元に戻るという新たな理不尽が繰り広げられていたが、その場の誰もツッコミをいれることはなかった。

 もう、知っていると思うけど、と前おいてステラは話し出した。当然のごとく、トールの技術は何年研鑽しようが誰も身につけることはできないということ。だがしかし、その技術は本物であり、使えるようになれば二人の願いはその通りに叶うと言うこと。

 トール自身の体の一部を取り込むことで、
 体内にトール自身という物質をため込むことで

 擬似的に習得ができる。

「トールのものならなんでもいいんだけど、血とか肉はちょっとアレだし排泄物は論外だし……」
「体液……、唾液か精液ってことですか」

  と、言葉を切ったステラに続いてアキが続けた。果物味のうんことかできなくもないけどー、と呟いたトールの下顎にステラの頭がごつんと制裁する。

「あと、見ての通りトールはものすごくみもふたもなくえっちだから――」

  トールの膝上に乗っているステラの下半身、具体的には足の間のローブがいつの間にか盛り上がっていて、ステラの手がそれを優しく撫でている。

「こうしててつだってあげると、すごーくやる気が出る」

 ステラの声色が甘く、そしてつややかなものに変わる。
 見てくれはリアラやアキと変わらない、いや下手をすればそれよりも幼い顔立ちの癖に、ローブ越しでもわかるその体の凹凸がぐにっと、逞しい男の手で歪む。

 それと同時に

「……んっ」

 という、口元からでは無い、明らかに体の奥底から吐き出され、吐息をはらんだ大人の声が、ステラの可愛らしい唇から淫靡に漏れ出す。それは強烈な色気と卑猥さ帯びており、同性であるリアラやアキ達にとっても、無視できない刺激的なものである。二人の視線は願いとは別の興味によって絡められ、

「……んっ……ふ……んっ♡……んっ……んんっ♡」

 見ればステラの足下からはトールの左手が潜り込み蠢いており、右手は右手でローブの上からねちっこく胸を、いや乳首ごと揉み込まれているのがアキにははっきりとわかってしまった。時折不確定にオクターブが上がるステラの声、それと同時に背筋に走る電撃のような快感の刺激を、アキは知っている。

 違うのは――

「――はぁ……ふぁぁ――あっんっ……♡」

 あんなにとろんとした表情と、口から唾液の糸が垂れるほどの刺激をアキは知らない。そう、先ほどから吐息に紛れて部屋に充満しているくちゃくちゃくちゃという水の音。目の前の男の左手が蠢くたびに部屋に広がる雌の匂いと淫らな騒音。

「……ん……ふ♡、――は……んっ♡」

 ステラの声の音程がさらに上がり、眉を歪めて垂れかかった体がびくびくと、さらにびくんびくんと震え出す。トールの左手がステラのローブの中にずずっと埋まっていく。

 そんな光景をリアラは今きっとステラは指を入れられてしまったのだと、きっと入り口なんかじゃなく根元まで、ずっぷりと。いつも自分が楽しんでいる入り口ではなく、きっと奥の奥まで入れられたと。そうでなければあんな顔をするわけが無い、異物を受け入れて尚且つあのように後ろの男に体を預ける理由は――。

 リアラの両手に思わず力が入る。そんなの決まっている、決まりきっている。その先にはさらなる快感が待っているからだ、……いや、きっと快感だけでは無い。

「とーるぅ……とーるぅ♡ ――んむっ」

 よく我慢できましたとばかりに絡み合う舌と舌。唾液と唾液。二人のコミュニケーションは言葉で無く行為で成立している。ちゅぱちゅぱと優しく愛撫される口元はもっとという問いかけであり、股間から溢れるだらしない淫靡なノイズは感謝と快楽のOKサインである。

 そんな大人の行為に目を奪われているリアラとアキへ、ステラは小悪魔の様にほほえみ、そして足下からローブをまくり上げる。そこにはステラの淫らな下半身があり、その白い柔肌に絡みついたトールの左手があり、その大きく節くれ立った指が二本、ステラの股間に挿入され、ずちゃずちゃとかき回している衝撃的な光景が二人の視界に入った。

「ふふふ……二人ともえらぶの、おんなのはじらいをすてて願いを叶えるか、それともすべてをさきのばしにするか……んぁっ」

 いつの間にかリアラとアキの両足は固く閉じられ、それを守るよう両手を組んで太ももの上で押さえるように置いて見入っている。

「でもあんしんして? とーるはものすごくやさしいから、おんなのはじらいのかわりにね、……んっんっ♡」

 ――よろこびも、おしえてくれるの

 と。

 二人の膝の上にステラの手が置かれる。当然体は前のめりになり、彼女の蕩けた顔はすぐそこだ。だが彼女の下半身はローブは捲られていて丸出しで、その後にはステラの腰を掴み、そしてその股間の剛直を、ずぶぶ、とステラの股間に埋め込むトールがいて。

 その時のステラの表情を、きっとリアラとアキは忘れられないだろう。あれ程までに満ち足りて、幸せそうで、そして更にその上の何かを期待できるような、恍惚とした表情を。

「んはぁぁ♡」

 ぶちゅる、ぶちゃりという、あり得ない水濁音が部屋を支配する。目をやればステラとトールの腰がぶつかる音に併せて、ステラの股間から白く濁った本気汁がぬるぬるとあふれ出している。なぜ二人がそのことに気づけたかというと、床下まで粘液が到達しており、お漏らしと言っても過言で無い染みが彼女の足の間に出来ていたからである。

「んっ♡ ――ふっ♡ ――ふあっあんっ♡――ふあっんっ♡」

 途切れない力強いピストンに、リアラとアキの膝に置かれたステラの手が震え、不定期に膝を掴む。リアラとアキがステラの表情を見れば、食いしばるような表情から、しばしば痙攣する舌とだらしなく開いた口が何回も見て取れ、ステラがトールに後ろから腰を突かれながら複数回の絶頂を迎えていることを悟らせた。

 ごくりと、リアラとアキは同時に唾を飲み込む。

「あ♡ あ♡ だめ♡ とーるっ♡ だめっ……だめだめっ♡」
「あ゛ーステラちゃん、出す、出すぞおおお!!」

 少なくともステラは十回以上の絶頂を迎えていて、それでも意識を失わないご褒美とばかりに、ここで初めて自分本位に腰を受け付けるトール。そしてそれによってもたらされる快楽の波に耐えようとするステラ。そんな二人のクライマックスからリアラとアキは目を離せない。

「やだぁ♡ あん♡ やだやだぁ、あ、ああ、あぁぁぁぁ♡ やだぁ♡ んあああ♡ いく、いくいく♡」

 歓喜の涙、幸福の涎、堕落の嬌声。

「あふ♡ んん♡ い♡ ……っくぅ……っ♡」

 それらがぐちゃぐちゃに混じったステラの甘美な絶頂を。

「ん゛っ♡ ――あ゛っ♡」

 がくん、腰が抜け、リアラとアキ二人に縋り付くようにぺたんと尻を突いたステラを。

「ん♡ はぁ♡ はぁ♡ ……ん♡ ふぁぁぁ……♡」

 限りない間近で二人は見てしまった。そしてその二人の目の前で、だらしなく開いた彼女の口に、トールの一物が差し込まれ、どくん、どくんと脈打ちながらはき出される白濁液を、幸せそうに喉を鳴らしながら嚥下するステラを――

 二人は、ほんの少し、ほんの少しだけうらやましいと思ってしまった。

 ――思ってしまったのだ。

 だから、防げなかった。
 快感に酔いしれながらも、近づいてくるステラの、彼女の唇を。

 かの非常識で理不尽極まりない誰がどう見てもエロガッパとしか言えない男の精液にまみれた彼女の唇を。

「……おすそわけ♡」

 その目的を知ったとしても、二人は拒めなかったのである。
 最初はアキに、次はリアラに、一息ついてさらにリアラに、そしてアキに。

 ちゅぱり、ちゅぱりと、粘つく二人の口元からステラの唇が離れ、糸引く度に執拗にステラにかき回された二人の口元は、すっかり淫靡に染まってしまっていた。

「さてと、ステラちゃんまだまだだぞー?」

 二人を正気に戻したのは、二回戦目をお風呂プレイで始めようと、トールが呼び出したお風呂+マットセットであった。

 意外にもいち早く覚醒したのはリアラで、

「アキちゃん、もういこ? ステラ先生、トール教授、ありがとうございました」

 と、アキを連れ立って部屋をでた。去り際に、

「2日ください。確かめますから」

 と、残して。

 そんな二人をみて、

「へー、アキちゃんよりリアラちゃんの方が意外と修羅場に強いのかもねぇ」
「うん、二人ともいいこだよ、かわいいし」
「うん、かわいい、そこ大事。だからそんな娘を紹介してくれステラちゃんには、ご褒美いっぱいあげちゃう」

 と、お湯の中でゆったりしているステラのお尻につぷりとトールの小指が挿入されていく。
 朝まで?とかわいらしく小首をかしげるステラに、トールは一日中?とお尻をこちょこちょと嬲る。

「……えへへ、やった。だからとーるだいすき。ハルマとは持続力がちがうの」

 そう、ステラは微笑むと、不思議道具Tカードをぽん、と手からだし、

「あ、シーリス? わたし今日ってか明日も帰らないからごはんもいらない、え? うん、そうそう、――え? だめだよ、これはわたしのごほーびだもん。んじゃね、ばいばい」

 と、一方的に通話を切ってぽんという効果音とともにTカードを消した。
 なんかシーリスちゃん達叫んでたけどいいの?というトールに、

「……わたしのごほーびだから、――あんっ♡」

 と、きゅっとおしりを締めることでステラは応えるのであった。


 ――その夜


 リアラとアキは、二人とも未だかつて無いほど自慰に没頭した。
 お裾分けされた唇の中を、なんどもなんども味わいながら。
 隣の部屋に泊まっているリューイのことなどお構いなしに。

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ぬける  
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