マスター☆ロッド げいんざあげいん

第六話 魔王トールとハルマ君(6) 後編 その1


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 徹がハルマの目の前から去って、どれくらいの時間が経ったのかはわからない。ただひとつ確実なことは、ハルマは心の中でカードと彼女達を天秤にかけ、未だその結論を出すことはできていなかった。

 その間にも、シーリス、クレスタ、ステラの3人の体には徹により淫靡な経験値が刻み込まれていったのだ。

 どんな物語にも結末はある。

 ハルマ達の物語は今またひとつ終局へと落ちていく。逃げ場のない、彼にとっての最悪の結末に。終局への第一歩は突然の地鳴りから始まる。懊悩するハルマの周囲のダンジョン構造体がガコン、ガコンと組み替えられる。そして、ハルマを飲み込むよう暗い穴が開き、地面が傾き、彼は終りへと転がり落ちていった。



 カッ、と強烈な光がハルマを照らす、薄暗く狭いダンジョン内とは思えぬ強烈な光。それが人工的な照明というということに気づく前に、大きな怒号と叫びが彼の耳に届く。

 ――おおおおおおおおおおおおおお!!
 ――うおおおおおおおおおおおおお!!

 ふと見れば、そこには人、人、人。魔都と化したヴィンランドルにこれほどの多くの人間がいたのかと思うほどの人の群れ。彼らはハルマの登場に沸き立ち、踊り、どんどんと足を踏み鳴らす。

「――んんんんッ ――レッディース、えーんど、ジェントルメーン!!!」

 唐突にマイクからの聞き覚えのある脳天気な声。
 そう憎き敵であり、完全敗北した相手の声である。

「あ、ごめん。男しかいなかったね、お前ら。――ジェントルメーン、えーんどジェントルメーン!!」

 ――おおおおお!! トール様ああああああああああああああ!!

 みれば照明が集中し、誂えられた舞台の中央に浅黒全裸マッチョの徹がマイクを握り、腰をカクカクと前後させ、パフォーマンスをしていた。

「はっはー!! 今夜のショータイムへようこそ、クズ共!! お前らに相応しいスペシャルなゲストを紹介してやるぞー!!」

 それは異様な空気である。
 征服されて、蹂躙されたはずの王都の住民が熱狂的に徹を讚えているという光景。

「おい……、なんだよ。なんだよこれ……、お前ら、苦しんでたんじゃないの? あの魔王に好き勝手やられていたんじゃないのかよ……!!」

 そんなハルマの呟きを徹のマイクが遮っていく。

「やだなぁ、ハルマくん。君は勘違いしているぞー? 俺の国のかわいくて、きれいなおねーさんは全部俺のものだけど、それ以外の娯楽と福利厚生はどこの国にも負けてないんだぜ? この俺がかわいがった後で仲良く幸せに暮らしたい人たちには快適な環境を用意して、ちゃあんと国民として大事にしてるんだぜ?」

 ――徹様万歳!!
 ――魔王トール様万歳!!

「――そんなの馬鹿げてる!!」

「いーや馬鹿げてないんだよ、ハルマ君。よく考えてみるんだ、俺が一から十までおにゃのこを独占していたら、不倫プレイも出来ないし、人妻の情事ごっこもできやしない、若くて可愛い奥様と娘の親子丼とかが楽しめないじゃないか!! ああ、もちろんお気に入りのおにゃの娘は別だけどね?」

「意味が……わからない」

「わからなくていいんだよ、ハルマ君。女の子には快楽を、この俺には快感を、男共にはそれ以外の全てを、ここはそんなクズ達だけが残り、集まり、濃縮されたイカれた国なんだ。知ってる? うちの国の産業、アダルト投影水晶アダルトビデオと大人の玩具バイブとオナホ。闇市場で大人気よ?」

 どわあと、叫ぶ住人たちを改めて見回す。みれば彼らの血色はよく、痩せているものは皆無。むしろガタイが良い者が目立つ。

「……でだ、彼がそんな俺らの国に来ちゃった勇者ハルマくんでーす!!」

 ――うおおおおおおおおおおおおおおお!!

 カッ、とスポットライトがハルマに重なり、会場の住人達の視線が集中する。その絡みつくような眼差しに、ハルマの背筋がゾワリと沸き立つ。彼らがハルマを見る視線が、尋常ではない何かを湛えていた。ねっとりと、舐め回すような気味の悪い視線。その瞳の向こう側で得も言われぬ情景が広げられているような、不安を煽る視線である。

 そんな住人たちの視線に気圧されているハルマを他所に、徹は再びマイクを取る。

「それじゃぁ、またせたな!! おまいら!! 今日のメインの可愛い子ちゃんたちの――登!! ――場!! ――です!!」

 その徹の掛け声とともに住人の視線がハルマから外れ正面の舞台へと向く。気づけば舞台は迫り上がったT字型をしていて、下の先端にハルマ、縦と横が交わる場所に徹がいて、住人たちは縦の線の両脇に一段下がったところでひしめいていた。舞台と観客の間は概念空間で遮られていて、出入りはできないようである。そんなことをハルマが思いつつ見据えたその先に、カッ、とスポットライトが当てられた。そこには両腕を縛られ、天井から縄で拘束されている見覚えのある少女の姿。

「バスト81!! ウエスト53!! ヒップ85!! 爽やかポニーテールミニスカ剣士の、シーリスちゃーん!! はーい、ローアングルから見える太ももがエロいですねー、そそりますねー、はーいカメラさん、ぐぐっとよってー!!」

「え? ――何これ、やっ、ちょ、こらぁ、撮るな、撮るなってばっ――」

 足は地に付いているものの、両手を縛られて身じろぎしかできないシーリスの周りをカメラ係の徹が際どい角度をつけながらぐるりぐるり、と回っていく。シーリスの健康的な太ももが会場のスクリーンに映しだされ、時折チラリと、下着が見える度に会場が沸き立った。

「ちょっとハルマ、ぼおっとしてないで助けてよ!! あぁんもう撮るなぁ!!」

「はい、可愛いですね、鳴かせたいですねー!! では二人目!! バスト91!! ウエスト55!! ヒップ87!! 清楚な顔して、たゆゆんぼでーのクレスタちゃんでーす!!」

 徹が叫ぶと同じく両手を縛られ拘束されたクレスタが現れる。

「……ふえ? ふええええええ? なんですか、これなんなんですかぁっ……」

 突如、飛び込んできたその光景にクレスタはひどく狼狽え、取り乱す。

「クレスタちゃんの特徴は、なんといってもこのやわらかおっぱいですねー、しゃぶりたいですねー、吸い付きたいですねーぇ、清楚な修道服を盛り上げる、このけしからなさ、もうたまりませんねぇこれ」

 カメラがクレスタにより、たわわな胸をこれでもかとドアップに映し出す。クレスタが身をよじる度にゆさっと大きく揺れる双丘に再び会場が沸いた。

「あぅぅ、ハルマさん助けて、助けて下さいぃぃ……」

「ぷるぷる揺れてますねー、気持ちよさそうですねー、それじゃぁラストのおにゃの娘は、バスト86!! ウエスト54!! ヒップ86!! ぶかぶかローブの下にはエッチな体、寡黙な魔女っ娘ステラちゃんだー!!」

 同様に両手を拘束され現れるステラ。

「…………はるま、無事で、良かった」

 五体満足なハルマの姿を見て安心するステラだがそのローブの裾がすすっと摘まれる。幼い魔法少女を思わせる外見だが、ローブをまくられあらわになった太ももにはしっかりと色気が宿っている。

「と、いうわけで勇者ハルマ君ご一行様は、エロくて悪―い大魔王にとーらーわーれーてーしーまーったーの」

 つかつかと、ハルマから3人を遮るように徹は立ち位置を変更し、

「――です」

 徹のマイクが黄金の錫杖にかわり、どん、と地面を打つ。

 ――刹那の舞台暗転
 ――一瞬にして静まる観衆達
 ――見ればハルマは小さな2メートル四方の立方体に閉じ込められ
 ――その六面体の内部には帯多々しい程の刃物が内を向いていた。
 ――暗闇の中、スポットライトが徹、ハルマ、シーリス、クレスタ、ステラにそれぞれ当たる。

「トール!! 約束が違う!! ハルマは……、ハルマは助けてくれるって――」
「助けるさ、ステラちゃん、俺は女の子とした約束は絶対に守るんだ、でもいいのかい? 助かるのは本当にハルマくんだけでいいのかい? ……ステラちゃん」

 声を荒げるステラに徹は優しく窘め、そしてシーリスと、クレスタを見た。ステラははっと二人をみやり、そして、目を伏せる。そのやりとりを見たシーリスとクレスタは悟る。今までハルマは何度もこんな窮地を脱してきた。そんな中で、一番戦闘面で補佐と貢献してきたのは何を隠そうステラである。その彼女が既に心折れているというこの現実。

 ――今この現状は、愛するハルマの本当の窮地である。

 シーリスから諦めたようなため息が、もれた。

「クレスタを助けて、代わりにわたしを好きにすればいいわ」
「――シーリスさん!?」

 シーリスの言葉にクレスタが驚きと、そして非難の目を向ける。

「いいのよ、クレスタ。あなたにはハルマが必要だわ、でも私は――」
「やめろ!! やめてくれ!!」

 そんなシーリスの淡々とした呟きをハルマの叫びが遮る。

「……いいんだ、僕こそ、どうなってもいいんだ、だから――」




「お や ぁ ?」




 ――その徹の声が
 ――口にしてはいけなかったことだと、
 ――酷く、ハルマは咎められた気がした



 ――そして思い当たる。思い当たってしまう。
 ――自分が、どんな約束をこの悪魔から持ちかけられたかということを



「――は る ま く ぅ ん」
「決 断 し て た ん な ら 、 早 く 言 っ て く れ れ ば い い の に」



 ―― カ ー ド か 、彼 女 達 か 、ど ち ら か を 差 し 出 せ



「あ、ああああ、あああああああ……!!」

「……はるま?」
「ハルマ?」
「――ハルマさん?」



 ハルマは思う。カードを渡す。きっと、それだけで、助かるだろう。自分も、シーリスも、クレスタも、ステラも。だが、その後はどうだ? 支配の符無しで僕に何ができるのか、そんな僕に彼女たちはついてきてくれるのか、いや問題はそんなことじゃない。支配の符無しで僕は彼女たちといままでの地位を、社会的立場を、立ち位置を、維持できるのか、積み上げてきた功績を、名誉を――それならいっそ、誰もしらないところで一から――いや彼女たちとの関係ははそんな軽いものじゃない、思い描いた彼女たちとの理想の生活のためにいままで――いやだけど――ぅぅううう



「うがあああああああああああああ!!」

 ハルマの黄金の符が展開し、3つの六芒星を型取る、それは他に支配されまいというハルマの最後の挟持。

「ぶちぬけええええええ!!」

 3つの六芒星がハルマの前方に重なり光輝く、それは発動すれば徹の概念障壁をも凌駕する一撃。障壁ごと徹の体を打ち抜き、ダンジョン構造体を打ち抜き、どこまでも伸びていく希望の閃光――、万能の符の力を一点に集中させた奥義である。

 ――そう、発動すれば。

 六芒星が切り裂かれている。ただの一振り。なるほど符は万能である。カードを並べて、象徴を作り、どんな効果でもどんな威力でも発現する。だがしかし、近接戦闘でそんなのんびりした行為を、徹が許すはずもなく――。

 支配の剣マスターソードの一振りが、ハルマの術式をただそれだけで破壊した。




「――で?」




「はひぃっ」

 徹の問いかけに、ハルマは尻もちを付き、そしてカードを抱えてへたり込む。
 その顛末をみて、クレスタはつぶやいた。

「――――ハルマさんの記憶を、消してください。その代わり私を好きにしていいです」

 徹は振り向く、そこには3人それぞれの深い愛情と、揺るぎない信愛があった。

「……馬鹿ねクレスタ、せっかく貴方にチャンスをあげたのに」

 そうつぶやくシーリスの顔は少し笑っていた。

「いいんです。私の一番は、ハルマさんの幸せですから。少し、名残惜しいですけど」



 と、なんともしんみりした空気が流れる中、空気を読まない徹の声が周囲に響く。

「いやぁ、やっぱり土壇場になると女の子は強いなぁ、うんうん、俺感動で我慢汁でちゃう」
「……ねぇ、そうするとわたしのお願い枠ってどうなるの?」

 ステラはハルマを助ける代わりに、
 シーリスはクレスタを助ける代わりに、
 だが当のクレスタはハルマの記憶を消すことを願った。

「うーん、別に聞いてあげる義理はないけどシーリスちゃんかわいいから聞いてあげちゃう、何がいい?」
「全部終わったらでいいの、私達の記憶も消してほしい」
「……シーリスちゃん優しいねぇ、嫌いじゃないよ、その考え方」

 この期に及んでまだ他の二人を気遣う彼女に徹はニンマリと笑う。
 そしてぱちん、と徹が指を鳴らすと、シーリスたち3人の拘束が解けた。

「契約成立」

 おいでおいでをして、徹は3人を呼び寄せる。
 そして、ハルマを捉えている立方体の前にどかっと座りこみ両手を広げてシーリスたちに向き直り、

「それじゃぁ誓いのちゅーだ!!」
「は、ハルマさんの前でですか……?」

 逡巡するクレスタ。
 彼女を庇うようにステラは前に出る

「……従わないと」
「ハルマが殺されちゃうってことね、上等じゃない」

 と、そのステラを追い越し、シーリスは徹の前に立つ。

「お、威勢がいいねぇシーリスちゃん。それじゃおいで?」

 座する徹の前に膝を付きながらシーリスは徹に顔を近づける。

「……いっとくけど、初めてのキスは、ハルマにあげたんだから」

 そんなちょっとした彼女の強がりが、徹の嗜虐嗜好を実によく刺激してしまった。
 そしてシーリスと徹の唇が増えるやいなやのところで、

「だめだよ、シーリスちゃん、なってないよ、せっかくちゅーするんだから、気分出そうぜぇ?」

 と、トールはシーリスの脇に手を差し入れ、ひょい、と持ち上げ、そのままぎゅっと抱き寄せる。いわゆる対面座位、ずばり、「抱っこ」の形でシーリスと徹の体が密着する。顔の距離に至っては、もう目の前だ。

「――やっ、ちょっ、みえちゃうっ」

 シーリスのミニスカートから白い太ももがまろびでて、下を向けば、下着に覆われた股間が見えていた。
 その時である。徹の中指と人差し指がシーリスの股間を下着の上から割れ目にそってくにくにとなぞりあげられ、クリトリスをくにゃりと指の腹で押し込んだ。

「はぁん♡」

 記憶が失われても体の経験値は正直である。今まで散々と徹の舌と指で弄ばれたシーリスの体は正直に反応した。覚悟を決めた凛々しい眉が八の字へと歪み、背筋を駆け上がった快感の電流が脳内をとろけさせ、紅潮した頬に熱い吐息を吐き出させる。シーリスの手足は本能の赴くままに「抱っこ」されている徹へとしがみつき、徹の肩口から見える彼女の顔は少女から牝の顔へと変化を始める。

 そんな様子をハルマは一部始終、見てしまった。
 あの快活で元気で健康的な柔らかそうな唇が、今や半開きになり、

「やだ、ハルマ、見ないで……」

 徹の舌が、シーリスの唇にぬらりと接触する。

「ほら、シーリスちゃん、舌をだして、そう、いい子だぁ」

 てろてろと、高速でシーリスの舌が弄ばれる。
 当然の事ながら、舌を愛撫されている以上口を閉じることはできない。

 ――吐息が混じり
 ――時が過ぎただけ距離が侵される

 柔らかく可愛らしい舌が引っ込んだら今度は唇である。ぷにぷにとしたシーリスの唇がぬろぬろと舐められ、ちゅるりと吸われ、たぷたぷと弄ばれていく。快感とも、嫌悪とも判断がつかない唇の刺激から逃げようと口を閉じると、股間を優しくこね回す徹の指がクリトリスを摘んでこねる。

「あっ……あっ……、だめなの、それ、だめなのっ――――んむぅ」

 喘いでで口を開けてしまえば、徹の舌がシーリスの口内にまで入り込んで舌を絡めとられ、そして吸いだされる。気づけば、自ら舌先をチロチロと、動かしている。ハッと気付き躊躇いがちに顎を引くと、お仕置きとばかりに股間をくちゃくちゃと弄られる。


「いやぁ、かき混ぜ……ないでぇ♡」

 シーリスはなぜ自分の体がここまで反応してしまうのか戸惑う、自分で一人慰める時だって、ここまで強い快感はなかった。もっともそれは徹が催淫ガスで丸一日かけて散々開発したせいなのだが。

 そんなシーリスの痴態を見ながらステラは思う。彼女も同じように嬲られていたのである程度のあれがどのようなものか思い出す。体のどこかをいじられながら口を犯されると、どんどん徹との距離感が縮まってきてしまうのだ。乳首を、クリトリスを、菊穴を、舐られながら舌を弄ばれるあの感覚。多幸感と錯覚してしまうような、あの感覚。ステラは思う、きっと今シーリスは軽い絶頂を何度も繰り返しながら、口から快感とも言いがたい心地よい自堕落で緩やかな開放感を唾液とともに垂れ流しているのだ。

「ステラさん、……大丈夫ですか?」

 クレスタの声に、ステラはハッと正気に戻る。

「……大丈夫、ありがとうクレスタ」

 今自分は何を考えていたのだろうかとステラは正気に戻る。

(……これはハルマを助けるためのこと、溺れてはいけない、そう、溺れては――)

 そう戒めていたステラの思考にシーリスの喘ぎ声が割り込んでくる。

「……あっあっあっ、……やっ、……だめ、それ、きちゃう、離して、お願いきちゃう、あっ……あっ」

「抱っこ」のポーズから足だけをからませたまま、シーリスは手を後ろに付いている。当然キスなどできる距離ではない。股間をこねる徹の右手、あの動きは自分もやられた。クリトリスを皮ごとむにむにと絶妙な力加減で揉んでるのだ。決まって徹はおねだりを受け入れてもらえない時に、あのように焦らし責めることを好んできた。

「あっ、あっあっあっ、だめ、だめ――――、……ぇ?  あん……っ、またぁ、やだぁ……」

 あと少しでイけそうだったシーリスは、再び腰をくねらせ始める。

「ほら、シーリスちゃん、覚悟決めなよ、別に大したことじゃないでしょ?」

 こねこね、と股間を弄り続ける徹にシーリスは諦めたように体を起こす。

「……ごめんね、ハルマ」

 そういって、ゆっくりとシーリスは徹の体に覆いかぶさり、そして徹は仰向けに倒れる。

「んっ……んむ、……ちゅ、……ぷは、……んー、……ちゅぱ」

 ハルマの目の前でシーリスは徹に向けてキスを自ら行う。

 てろてろ、てろてろてろと、仰向けの徹が伸ばした舌先を舐り、
 ちゅぱ、ちゅぱっと、小鳥のように啄み、
 そして、熱く湿った股間には、徹の勃起ちんぽが下着越しにコツコツと、あたり、

「……あっ……んむ、――ふぁ、――あぁん♡」

 と、だらしなく喘ぎ、唾液の橋がシーリスと徹の舌を結び――、
 今、彼女の口は完全に犯された。ハルマの目の前で、完膚なきまでに蹂躙されたのだ。

「……し、シーリス?」

 そんな絞り出したようなハルマの声に、シーリスは蕩けた顔を上げる。

「……ごめんね、……ぁっ……からだ、……どうしょもないの……んっ」
「言ってることわからないよ、シーリス!!」
「――いじられ続けるとイッちゃうってことだよハルマ君!!」

 ハルマにとって絶望の声はシーリスの後ろから聞こえた。

「――あああん!!」

 そしてシーリスの体が跳ね上がり、概念障壁に両手を付く形になる。

 くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃと、容赦無い水音が鳴り響く。揺れる臀部、震えるシーリスの体、快感に歪む口元、込み上がる快楽に戸惑う視線、肝心なところはハルマから決して見えないのに、その卑猥さを伝える部分は山ほどハルマの視界に入ってきた。

「あああああああ……、いやぁああああああ……、あっあっ……あっ……あっ……あ!! ……あん!!」

 だがしかし、あのひらひらしたミニスカートの中で突き出されたお尻の中で何が行われているかは、徹の動きとシーリスの腰のくねりが雄弁に語っていた。カチコチに勃起したクリトリスの頭が何度も指の腹でぐりぐりと押し込まれる。潤とあふれた花弁の入り口がぐにぐにとかき混ぜられる。

「ふあぁぁ……あんっ、だめ♡、――だめっ、――きちゃう、きてるぅっ……♡」
「シーリスちゃん、イくときは、ちゃんというんだ」
「あああああん♡ いく、いくいく♡ いっちゃう――あんっ……あんっ!!」


 ――ちゃくちゃくちゃく、ちゃくちゃくちゃく、水音は止まらない

「あん……っ!! いっ――、……あっ♡ んあああああ……っ――いくぅ、いくぅ……♡」

 嬌声とともに大きく痙攣したシーリスを徹は後ろから抱きかかえ、そして腰砕けになってへたり込んだシーリスを受け止める。

「はぁー……、んっ……はぁー……あっんっあっ、はぁ……はぁ……♡」
「シーリスちゃん、気持よかった?」
「知らない……ん♡ こんなの知らないんだからぁ……♡」
「ほら、舌出して?」
「んむう♡ ふぁ……、ちゅ、……んむ……れろ……ちゅむ♡ ……ひん、もうだめぇ♡」
「なんで、ハルマくんが食い入るようにシーリスちゃんのあそこ、見てるよ? ほら、いこ? もう一回いこ? そーら、自分で足持って、そう、開いて、いい子だシーリスちゃん、ご褒美だぞー?」

 自らM字に開いたシーリスの股間の上と下、それぞれ徹の右手と左手か下着の中に潜り込む。合計十本の指が、シーリスの股間に滑り込みうねうねと動き出す。

「はうぅ♡ ――いっちゃう♡ ――いっちゃう♡ ……はるまぁ♡ ……いく、いくいくまたいっちゃう♡」

 ぷしゃっ、ぷしゃっと小気味良い音がシーリスの股間から周囲に広がる。

「はぁう♡ はぁうぅ……♡ はるまぁ、わたし、はるまでイきたかったよぅ♡ ハルマの指でいじってほしかったよぅ……♡」

 くてっと徹に体を預けながら、シーリスはびくん、びくん、と余韻に浸る。顔を歪めながらシーリスを見るハルマに魅せつけるように徹はシーリスの口元に唾液を垂らし、そしてシーリスはそれを無意識に嚥下する。

「いやあ、ハルマくん、君もご存知の通り、シーリスちゃんは実に感じやすい体をもってるねぇ」

 徹がぱちん、指をならすとシーリスが寝転がっている場所にソファが現れ、彼女をそのままもたれかからせる。

「それじゃぁ、次は……、……クレスタちゃんかぁ」

 既に徹の前にクレスタが一歩進み出ていた。

「やめろ……、もうやめてくれ……、クレスタ、僕は、僕はぁ……っ」

 シーリスの痴態を前にへたり込んでいたハルマが力なくつぶやく。
 だがしかし、そんなハルマを見てもクレスタは凛とした態度でハルマに声をかける。

「ハルマさん、私、ハルマさんにとても感謝しています。教会で助けていただいたあの時も、そして今までの冒険でも。今でもその気持は変わりません。だから、……だからハルマさんに何か隠し事があったって、私は気にしません。願わくは記憶がなくなった後、また出会えたらいいですね。ううん、きっと出会えます。……だってハルマさんは、この広い世界で私を見つけてくださったんだもの」

 そして、クレスタは徹へと向き直る。

「では、私は貴方に何をすればいいですか? シーリスのようにキスでもすれば後はお任せしてもいいですか?」

「うーん、そうだねぇ、クレスタちゃんにもキスの気持ちよさをしっかりと教えてあげたいから、それは外せないなぁ」

「では座ってください、貴方に抱きつけばいいのですね? うふふ、ハルマさん、体は許しても私の心はハルマさんのものです。頑張りますから、ちゃんと見ててくださいね」

 そう言って、クレスタは徹の膝元へ座ろうとするが、

「ストップ、その前にやることがあるんだよ、クレスタちゃん」

 20分後、ハルマの目の前には早くも心の砦が崩されかけてしまったクレスタが映っていた。

「こんなっ――こんなことで……っ、んあああ♡ ハルマさぁん、私、――わたしぃ♡」

 それは徹の「まくって?」の一言。クレスタは一瞬逡巡するものの、ロングタイトになっている修道服をおずおずと、腰までまくり上げる。

「はーい、それじゃぁ四つん這いね、はい、そう。うっふっふ、いくよぉ? クレスタちゃん!!」

 下着を膝までずり下げられ、動物のように下半身を突き出すクレスタ。ひやりと、冷たいものが肛門に当てられたかとおもうと、ぬぽん、とその感覚が体内に滑り込んだ。

「ふぁ♡」

 ――なぜ、自分がそんなに甘い声を出してしまうのか
 ――なぜ、自分の肛門がそんなものをすんなりと受け入れてしまうのか

 そんな思いも一瞬にして二個目のアナルパールの肛門通過により抜け潰される。

「いや、いやぁ……、なんで、なんでぇ……ふぁぁ♡ なんでぇ……♡」


 なんでと言われると、徹が分身総出でクレスタのアナルをお風呂場でほじったからである。もちろんクレスタ自身の記憶は無いが、体はいやというほど覚えこまされてしまっている。

「はーい4個目―」
「うぁん♡」
「5個目―」
「……あはぁ♡」
「6個目―」
「こんなの、あんまりです、あんまりです、――あぁんっ♡」
「お、それじゃ抜く? ほーらずるずるー」

 クレスタの懇願を受け入れ、徹はアナルパールの紐を引っ張る。ぬぽぽん、と2つほど肛門からスムーズに球体がまろびでた。

「ひあああああああん♡」

 悲鳴にも近い、嬌声。だがクレスタの乳首とクリトリスは硬くしこり、その快感に打ち震えていた。

「はーい、また5個目からねー?」
「――あううう♡」

 そして合計8個のアナルパールがクレスタの肛門に収まり、そして肛門からは一本の紐が伸びていた。

「はぁ……はぁ……ん……んはぁ……♡」
「よく頑張ったね、ご褒美あげる、クレスタちゃん」

 そういって徹はクレスタを仰向けにさせると、股間に頭をつっこみクリトリスにちゅるりと吸い付いた。記憶には無いが体は慣れ親しんだ徹のクリ責めにクレスタのクリトリスは瞬く間にカチカチに勃起する。

「やあんっ……やんっ……あん……あんっ♡」

 そして、そのシコったクリに徹は素早くきゅっと皮ごとクリクリップで挟み込む。

「――あんっ!! な、何を……?」

 クレスタが事を把握する前に彼女の視界に悪辣な意図が示される。
 アナルパールとクリクリップから伸びる2つの紐、

「クレスタちゃん、まくって?」

 その徹の言葉に、だまってクレスタは従うしかなかったのだ。
 下着を改めて履かせられ、そしてまくった修道服を下ろされた。だがクレスタの修道服の中では淫靡なギミックがうごめいている。アナルパールの先端の紐は右乳首に、クリクリップの先端の紐は左乳首に。そんな状態で、クレスタは徹に吸い付かれている。両胸をもまれる度に、お尻と股間へ刺激が伝わり、体をよじればその反動で乳首がひっぱられる。もはやクレスタの頭のなかは真っ白であった。

 つまりは、徹にされるがままである。

 そんなクレスタの胸を徹は徹底的に揉み込んだ。

 仰向けで揉み込み乳首をつまみ上げ、
 後ろからゆさゆさと揺らし、
 四つん這いで垂れ下がった乳の先端を指でくすぐり、
 対面座位ではゆっくりと揉みしだきながら、唾液を存分に嚥下させる。

「んああああ……♡ だめ♡ ハルマさぁん♡ きもちい、きもちいの……クレスタこんなの初めてなの♡」
「んふふ、かわいいクレスタちゃん、もう何回いってるの?」
「わからないぃ♡ おしりもくりも、いっぱいきもちいです――、ふぁあん♡ あっいくっいくっ♡」
「よーし、ゆっくり揉んであげるよ? ほら、もう一回イキな? ほら、ほらほらっハルマくんも見てるよ?」

 その瞬間、呆けていたクレスタの意識が一瞬戻る。

「は、はるまさん……、わたし、わたし……」

 だが彼女に襲い来る快感の波は止まらない。

「――ふっ♡ ――あっ♡ ――あぅ♡」

 徹がクレスタの胸を揉み上げる度にアナルパールとクリクリップからの刺激が供給され、クレスタの体がビクンビクン跳ねる。

 そしてハルマの目の前で、徹は立ち止まり、びりりと、クレスタの修道服の裾を破く。むわっと体液の匂いが立ち込める。一体どれだけの絶頂がここであったのか。

「はぁ……はぁ……はぁ♡……んっ……はぁ♡」
「それじゃぁクレスタちゃん、仕上げだよ?」

 完全に徹に体を預けたクレスタはその徹の耳打ちに頭を振った。その目は快楽に溺れながらもそれだけはイヤだと、訴えている。だがしかし、

「どうせ記憶なくなるんだし、いいじゃん、それともこの記憶、残しておきたいの?」

 その徹の言葉に、クレスタは力なく頷く。

「ああああ……はるまさぁん、みないで、お願いみないでぇ……」

 ハルマの目の前に、おしっこポーズで抱えられたクレスタがいて、その肛門から、アナルパールがにゅるん、にゅるん、とひり出されている。

「――ふううううう♡ ――あはぁああああ♡」

 クレスタの大きなおしりから無遠慮に出されるアナルパール。抱えられた彼女の股間には徹の手が伸び、まるでギターでも引くかのようにクレスタの花弁をかき混ぜていた。アナルパールを排出する度にクレスタは気を遣っているようで、股間から潮が吹き出し、ハルマに振りかかる。

「んああああ――いく、いっくぅうううううううう♡!!」

 ごろん、と最後のアナルパールが地面に落ちる。
 同時に、クレスタの黄金のシャワーが、概念障壁を透過して、ハルマに降り注いだ。

「あは、あはははは、ははははははは…………なんだよ、これ、なんなんだよこれ……」

「いやぁ、ハルマくん、クレスタちゃんも修道女のくせにエッチだねぇ、だけどアナルが弱いところなんかなかなか奥深いよねぇ?」
「……それを僕に聞いてどうするってんだ?」
「いーや、ただの嫌味さ、ねー、ステラちゃん!!」

 そうハルマを見下ろし、徹は最後の一人であるステラを呼ぶ。

「……はるま、私、貴方に言っておくことがある」

 つかつかと、徹の側を通り過ぎ、ハルマの前へステラは立つ。

「……はるま」
「いいよステラ、もう沢山だ、どうせ好きだのなんだの言って挙句の果てには汚物のシャワーだ、シーリスもクレスタもとんだ女だった、もう沢山だ、沢山なんだ!! どうしてこうなった、どこからおかしくなった、畜生――!!」

「……聞いてはるま」
「うるさい、うるさい、うるさい!!」

 ハルマはそう言い捨て、そっぽを向き、座り込んだ。

「――もう何も見たくないし、失いたく無いんだ、放っておいてくれ」

「――ステラちゃん?」

 徹は彼女がハルマに伝えようとする内容が何となくわかっていた。それはいじらしいまでの真っ直ぐな気持ちである。それを汲んだ上で、徹は彼女に呼びかけた。

 ――原因の俺が言えた義理じゃないけど、やめときなよ。――これ以上は君が傷つくよ、と。

 だが、彼女は首を横に振り、そしてローブを脱ぎ捨てた。
 彼女の体には沢山の徹に付けられたキスマーク、そして愛撫の後がある。
 彼女はそれを隠すことなくハルマに向き合った。

「……見て、はるま」

 衣擦れの音に釣られ、ハルマは振り返る。
 ステラの裸体が、そこにあった。

「私の体は、……既に、トールに陵辱されてる。……処女はまだだけど、口も犯された、胸も弄ばれた、お尻の穴は指と舌を入れられてて、アソコだって彼の舌と指が這ってない場所なんて無い。……何度もイかされたし、……いっぱいしゃぶらされた。お尻の穴を自分で開いて、おねだりだってさせられた。嘘は言わない。気持ちよかった。ゴツゴツした指をお尻で出し入れされて、おしっこだって漏らした」

 彼女の言葉には説得力があった。そして彼女の体に付けられた徹の愛撫の跡がそれを裏付ける。

「……だから、どうしたってのさ」

 そんな、気だるそうなハルマを涙ぐみながら、ステラは勇気を出して、問いかけた。

「……こんなになった今でも、私ははるまが好き、愛してる。……はるまは、はるまは、こんなわたしでも、いっしょにいてくれる? 恋人じゃなくていいの、側にいることを許してほしい」

 徹は確信していた。ステラは、この強靭な意志を持った少女は、論理封印ロジックシールも記憶改竄メモリーリライトも自力で破ったこの少女は、きっと全てが終わった後の記憶操作からも元の記憶に辿り着くだろうと。だから彼女は今ハルマに真実を告白したのだ。全てが終わった後でまた、巡りあった時に、再び仲間としての関係を築けるように――。そんな彼女の鋼鉄のように硬く、そして何者にも染まらない彼女の意志があるからこそ、彼女を支配したいと、徹は望んだのだ。


「……寝言は寝てから言えよ売女」


 ――だがしかし、徹の操作に抗い、そして一瞬の迷いもなく、ハルマの安全を願ったステラ。彼女は、彼女だけはどんな陵辱を徹から受けようとも、ハルマを愛し続けることができた唯一の存在であろう。彼女とハルマの未来にはもしかしたら幸せな未来があったかもしれない、そんな蜘蛛の糸を、ハルマはあろうことか自ら撥ね退けてしまった。

「……か」

 ハルマはもはやステラを見ようともしない。

「……はるまのばか」

 大粒の涙が一つ落ち、ステラは振り返り、ローブを着直して徹の元へ向かう。ただ、彼が幸せな姿を彼の側で見たかった。見続けたかった。我が身を犠牲にしても迷いなくそれだけを願った。――しかし、叶わなかった。
 ハルマは去りゆくステラの背中に、何か取り返しがつかないものを僅かに感じたが、その先の徹を見て、また情事が繰り返されるのかとの気持ちが勝り、それに二度と気づくことは無かった。

「……なんか疲れた、できればやさしくしてほしい、いろいろ忘れたい気分」

 ステラは肩を落として徹に話しかける。

「うーん、なんか俺が悪いみたいじゃん? この流れ」
「……みたいじゃなくて貴方が全部悪い……、でもいい。とりあえずこの虚しさの責任とって」

 げしっと、ステラのつま先が徹の向こう脛を蹴り飛ばす。

「しょーがないなぁもう」

 徹はひょいっとステラの小柄な体を持ち上げて、対面座位の体位に移行する。

「うん、やっぱ基本はこれだよねぇ、これ、じゃあステラちゃん。ハルマくんに見せつけてやろうぜ?」

 ステラの口元がわずかに開く、それを合図に二人の舌が絡まり、ぴちゃぴちゃと淫靡な音を立てていく。

「ん、……ちゅ……はぁ……ちゅ、――ぷは、……ちゅる、……ちゅむ、んむ、あんっ♡」
「……相変わらず手癖悪い、舌絡ませてる時にクリ転がさないで、……噛んじゃう」
「……噛んでいいよ、ほら、ほーら、こりこりこりっと」
「……んんっ♡ んふぁ……、あっ……あっ……あっ、そこっ♡ ――あんっ、ふぁんっ♡」
「きもちい? ステラちゃん?」
「……んっ♡ ……あ……あ、…………ぁ、あうぅぅ……ばかぁ、いきなり、……いれるなぁ♡」

 ステラの肛門に徹の節くれだった中指が根本まで挿入される。こしょこしょと直腸をくすぐられる度に、ぎゅうぎゅうと、ステラの肛門が徹の指に噛み付いた。

「……あぁん♡ ……ばかぁ、あっ♡ あっ♡ あんっ♡」

 徹は右手の中指をステラの肛門に埋めたまま、親指を這わせてステラのクリトリスをくにくにと弄ぶ。

「……やあぁん♡」

 ぴくん、とステラの腰が痙攣し、軽い絶頂が彼女の体を駆け抜ける。ぴくぴくと震えるその体にあわせて徹はステラのアナルにささった中指をゆっくりと前後に動かし始める。

「……あっ……んっ……あっ……あふ♡」
「ステラちゃん、ほら、自分で足開いて?」

 ステラはローブをまくり上げ口で咥える。
 そして仰向けに倒れ、カエルのように足を広げ、徹を迎える。

 ……ぬちゃ、……ぬちゃ、とゆっくりとステラのアナルを前後する徹の右手はそのままに、徹の舌と左手がステラの無防備な股間へと、近づき。

「……はぁん♡」

 ステラの花弁が舌でかき回され、愛液がずぞぞ、と啜られる。

「……やあん♡」

 じゅぱ、じゅるる、じゅぱっと淫靡な音がするたびにステラの姿勢が仰向けから横になり、逃れるようにうつ伏せになり、お尻を突き出す格好で愛撫を受ける形になる。

「ね、ステラちゃん、動かして、ね?」
「……え?」

 小声で囁いた徹の意図をステラは一瞬理解できない。だが、アナルに突き立った指をこしょこしょと動かされることで、徹がどうしようも無いことを考えていることを看破してしまったのである。それはとても羞恥心を煽る、いやらしい行為。だが、ステラは失恋の投げやりな気持ちと前後の動きだけでなく指先でアナルを優しく弄ばれることによる快楽の供給に、意志がなが流されてしまう。

「……ん♡、……あっ♡ ……ん♡ すごい……、これ、すごい……きもちい♡」

 徹がお尻を貫いている指の位置を固定し、犬のようにステラが腰を振る。直腸の気持ちがいい場所を自分で探し当て、徹にこしょこしょをお願いする羞恥心、手足を踏ん張り、快楽のために腰をカクカク振る被虐感。ステラはここに来てまた新しい性欲の扉を開いてしまった。徹が指を立てると、ステラは足をガニ股に開き、屈伸運動の要領で、指の出し入れを受け入れる。

「あん♡ やん♡ あん♡ とーる、そこ、そこ♡、こしょこしょしてぇ♡ ああんっ♡」
「ははっ、見なよステラちゃん。ハルマ君、あんなことステラちゃんに言ったのに、ステラちゃんのおしりをガン見してるよ」

 概念障壁の向こう側、みればハルマが手をつきこちらを食い入るように見ていた。ステラはだぶついたローブを着たままなので、前からでは徹の指がどこに入っているのかは見ることができない。ただ、後ろから手を突っ込まれて、ずんずんやられているだけである。

「……あは、ハルマに見られてる♡ きもちいこと見られちゃってる♡ あはぁ……♡」
「よーし、ステラちゃん、そろそろイかしてあげるね?」

 右手の指の抽挿速度が速まり、そしてもう一方の指で花弁がかき混ぜられ、クリも弾かれる。

「あっ……あっ……あっ……やっ、あぁぁん……♡、ふぁぁん……♡ いく、いくうううう……♡」

 びくん、と大きくステラの体が痙攣し、そして前へと倒れこむ。腰が折れ曲がり、尻を天に突き出しびゅーびゅーと、快楽の証をまき散らす。

「んはぁああああああ!!、だめ、だめだめぇ、イッてる時にかき混ぜちゃだめぇ♡、――ああん♡」

 ちゅくちゅくと5本の指で煽るように次々と指が連続して掬い上げられる。ステラのクリを掠め、縦筋をなぞり、膣の周囲を刺激し続ける。

「……イくの、イッてるの、もうイッてるの♡、だめ……だめなの♡、でちゃう、でちゃうぅ……♡」

 だめぇ、という嬌声と同時に、ステラの股間から地面まで放尿のアーチがかかる。

「……あはぁああああ♡ きもちぃ……♡」

 止めどなく流れ出る尿といっしょに、プライドや羞恥心なども一緒に流れ出ていってしまうような危うさを感じながら、ステラは未だねちっこくつきだした股間を舐ってくる徹の手の感触を無条件で楽しむのであった。


 股間をしとどに濡らし、横たわる3人の少女と、うなだれるハルマとまだ元気マンマンの徹。その様子を見て、ニンマリ笑うと、徹はマスターロッドを振りかざす、会場の照明がフル稼働し、まるで時間が止まったように静かであった観客達の怒号が復活する。

「よーし、それじゃあ、お祭りの本番いっくぞおおおおおおおおおお!!」

 心を犯す時間が終わり、肉体が思う存分犯される時間が始まる。
 そう、ここからはなんでもありの祭りの始まりである。

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ぬける  
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